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特集
2026年03月02日
高齢化率58.8%の島で若手が挑む"100年後につなぐ島おこし"(2026年2月28日放送)

延岡市沖に浮かぶ有人離島、島野浦。
人口約600人のこの島は、いま深刻な課題に直面しています。
令和6年度の高齢化率は、全国平均が29.3%、宮崎県が34.0%。これに対し島野浦は、今年1月時点で58.8%と、およそ6割が65歳以上です。
2人に1人以上が高齢者という状況で、その割合は年々上昇しています。
そんな島でいま、故郷を未来へつなごうと奮闘する若手の姿を追いました。
かつて"イワシの舞う島"と呼ばれた島野浦

島野浦は、漁業や魚の加工業を主な産業とする地域です。
1950年代の最盛期には約3400人が暮らし、イワシが豊富に水揚げされることから"イワシの舞う島"とも呼ばれていました。
しかし、人口は減少の一途をたどります。
教育環境や雇用環境の不足から、若者の多くが進学や就職を機に島を離れ、そのまま戻らないケースも少なくありません。

島で40年以上養殖業を営む「木下水産」。
その専務を務めるのが木下拓磨さん(38)です。
自社ブランド「しまうら真鯛」を育てながら、サイズや品質を見極め、注文に応じた出荷を行っています。

1987年、島浦で生まれ育った木下さん。
高校が島にないため中学卒業後に島を離れ、一度は就職しましたが、東日本大震災をきっかけに帰郷を決意しました。
しかし、久しぶりに見たふるさとはかつてのにぎわいを失っていました。
「自分が小さい頃にいた人たちもいなくなり、昔のような活気はなかった」それでも「この島が大好き。なくしたくない」という思いが、木下さんを突き動かします。
島唯一のカフェレストラン「Blue Reef」誕生

木下さんが力を入れているのが、島唯一の飲食店 Blue Reef(ブルーリーフ)の運営です。
去年7月、自ら店長としてオープンしました。
しまうら真鯛を使って、ここでしか食べられない贅沢なメニューを提供しています。
実は開業当初、経営面の不安から父親は反対していたといいます。
しかし「自分たちが最後の世代かもしれない。なんとかしないといけない」という熱意が伝わり、最終的に背中を押してくれました。
若手が結束 未来を描くNPO設立

島の活性化に向けた動きは、飲食店だけではありません。
去年、若手有志によるNPO法人「しまうら未来開発プロジェクト」が立ち上がりました。
月に2回の会議を重ね、観光振興や産業維持の方法を模索しています。

目指すのは、観光客が「来て楽しい」と感じる島づくりと、今ある産業を次世代へつなぐ仕組みづくり。船の活用や補助金の活用方法など、具体的な議論も進んでいます。
「10年後、20年後が見えない状況。でも、今できることを一つずつ積み重ねれば、50年後、100年後の未来が見えてくるはず」
木下さんたちは手探りながらも、前を向いて歩みを進めています。
新たな拠点も誕生へ

島では2026年3月に、新たな宿泊施設「Island Base SHIMAMI」がオープン。
民宿をリノベーションした施設で、ドミトリー1室とツイン3室を備えます。Blue Reefの食事付きプランも検討中です。
島浦へは延岡市から高速艇でおよそ10分。ゆったりと流れる時間の中で、島の海の幸や自然の魅力を体感することができます。
人口を大きく増やすことは簡単ではありません。それでも木下さんが描く理想は、「たくさんの人が行き交い、島に元気が戻ること」。
Blue Reefは、その第一歩。
地元の人と観光客が交流する場として、新たなにぎわいを生み出そうとしています。
高齢化率58.8%という厳しい現実の中で、それでも未来をあきらめない若手たち。
島浦の挑戦は、静かに、しかし確実に動き始めています。
■島cafeレストラン Blue Reef
営業時間:11:00 ~ 15:00
問い合わせ:080-6394-0750
定休日:火曜





