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2026年04月13日

直接死より関連死が4倍「準備8割、自分に合った備えを」熊本地震で支援に入った保健師士と2週間の車中泊を経験した防災士に聞いた(2026年04月11日放送)

2016年4月、わずか28時間の間に最大震度7の地震が2回発生した熊本地震は、熊本県内で死者275人、負傷者2739人、住宅被害約20万棟という甚大な爪痕を残した。
発生から10年を迎え、改めて浮き彫りとなっているのが「災害関連死」の深刻さだ。
今後懸念される大規模災害に向けた備えの在り方を、当時の支援者や被災者の証言から検証する。

直接死の4倍に上る災害関連死

災害関連死」とは、地震や津波などの災害において直接的な被害で死亡するのではなく、震災による負傷の悪化や避難所生活などにおける身体的負担による疾病で亡くなることだ。
熊本地震の場合、死者275人のうち、地震による直接死が50人であったのに対し、災害関連死は225人と4倍以上に達した。

災害関連死の原因
  • 地震のショック、余震への恐怖による肉体的・精神的負担
  • 避難所等生活の肉体的・精神的負担
  • 医療機関の機能停止による初期治療の遅れ
  • 電気・ガス・水道等の途絶による肉体的・精神的負担
  • 社会福祉施設等の介護機能の低下

避難所の衛生管理と余震の恐怖

災害関連死が多かった熊本地震。

01 岩田恵美子さん

本震から1週間後に阿蘇市の避難所に派遣された保健師の岩田恵美子さんに話を聞いた。

02 広いフロア

  • 【話:岩田恵美子さん】
    広いフロアに大勢の人が集まり、畳や毛布を敷いて雑魚寝をするのが避難所の環境だった。周囲の物音で眠れず、いつ帰宅できるか分からない不安の中で生活していた。

岩田さんが支援に入った避難所では、乳幼児から高齢者まで約300人が身を寄せていた。
岩田さんは避難所の環境整備や避難している人たちの体調、食事の管理などに当たっていたが、断水が発生していた避難所では手洗いなどの衛生管理が行き届かず、感染症のノロウイルスが発生。嘔吐下痢や発熱のある人は別室に移ってもらうなどの対策を取っていたという。

追い打ちをかけたのが頻発する余震だ。発生から15日間で観測された震度1以上の地震は約3,000回に上った。

岩田さんは当時の状況について「わずかな揺れでも避難者の表情は険しくなり、一瞬固まって、上を見て、外へ出ていた」と話す。
こうした極限状態のストレスが持病を悪化させ、体力の低下を招いたことが、災害関連死が多く発生した一因とされる。

不安を抱え、普段とは全く異なる環境で過ごす避難所生活において、日頃からの地域の人たちとの繋がりが大きな支えとなる。

  • 【話:岩田恵美子さん】
    地域の交流がある方は、皆さんとお話し合いをしたりしていた。なにか困ってることなどを発信して誰かに助けていただくことは必要かなと思う。

熊本地震から10年。こうした節目を自分や家族の命を守るために防災を見つめ直すきっかけにすることが重要だ。

03 岩田恵美子さん

  • 【話:岩田恵美子さん】
    災害は前ぶれもなく来るもの。常には意識できないかもしれないが、こういう節目にはご家族との話し合いや備蓄の見直しなどをしていただければなと思う。

私たちが気をつけるべき南海トラフ巨大地震の場合、宮崎県内で1700人から3500人もの人が災害関連死で亡くなると想定されている。
岩田さんは精神的・体力的な負担やストレスを少しでも軽減するために、食事、水分、睡眠は取れる時にしっかり取ることが重要だと話していた。
また災害関連死で亡くなった人の多くは既往歴がある人だった。普段から薬を飲んでいる人はお薬手帳を常備しているとスムーズな医療処置に繋がる。

避難者の7割が選択した車中泊

そして熊本地震で特に多かったのが車中泊の避難だ。熊本県によると、実際に避難した人への調査で「避難した場所はどこですか」という質問に対し約7割の人が「自動車の中」と回答したという。

一方で、長時間同じ姿勢でいることで血栓ができ、胸の痛みや呼吸困難などを引き起こす「エコノミークラス症候群」になる人も多かった。
そこで今回、熊本市で実際に被災し、車中泊で避難生活を送っていた男性に、より快適に過ごせる車中泊のポイントを教えてもらった。

04 矢野周一さん

単身赴任中に被災し、2週間の車中泊を経験した矢野周一さん
前震や本震、そして度重なる余震の恐怖に耐えきれず、近くの小学校に避難した。

05 運動場

  • 【話:矢野周一さん】
    運動場、体育館は人で溢あふれていた。自分がどうしたらいいのか、何をしないといけないのか、みんな頭が真っ白になっていたと思う。余震が続き、前震からずっと寝てないような状況から本震に入った翌朝は、泣いている方や震えている方が多数いた。

本震の発生直後は避難所の運営が行き届かず、現場は混乱していたという。

06 2週間の車中泊

そうした中、矢野さんは避難所の運営に携わりながら2週間の車中泊生活を送った。
車中泊をする人で多かったのは、女性、ペットを飼っている人などで、準備不足であればエコノミー症候群になったり、体に異変を生じて腹痛や発熱、寒気などをうったえる人が多かったという。

防災士が推奨する車中泊の装備

熊本地震から2年後に宮崎県へ戻った矢野さんは、自らの経験を伝えるべく防災士の資格を取得した。

07 防災士の資格を取得

現在は企業や学校などの防災教育において、車中泊の方法などを指導している。

08 車中泊用の備蓄品

矢野さんは常に車中泊用の備蓄品を車に積んでいる。
装備品は50アイテムほどあり、水、非常食、電池、カッパ、使い捨て下着、簡易トイレ、体を拭くシート、医療品などが含まれる。

09 できるだけ足を伸ばす

車中泊において課題となるのが睡眠だ。
座った姿勢のままでいると下半身に血が偏り、エコノミー症候群になりやすい。
できるだけ足を伸ばし、体を広げて寝ることが重要だ。

10 後部座席

後部座席が倒れる車は倒してフラットな状態にする。エアベッドを活用すれば、身体的にも精神的にも余裕が生まれる。
矢野さんは「長期で避難することになれば、本当にここの快適さが一番重要なところ」と話す。

11 サンシェード

また、通気や防犯の観点からサンシェードで目隠しをし、窓を全開にしないよう注意を促した。

温かい食事がもたらす心理的効果

避難生活が長期化する中で、食生活の質も生死を分ける要因となる。

12 温かいお湯

矢野さんは「発災から10日が経過してようやく届いた支援物資は、冷たいおにぎりだけだったので、温かいお湯を飲みたいと思った。そのあと、温かいお湯を一口飲んだ瞬間に、張り詰めていた神経が癒やされるのを感じた」と振り返る。

白湯やコーヒー一杯でも、温かいものを口にすることが、絶望的な状況下での大きな支えになるという。
いつ発生するか分からない自然災害矢野さんは防災という枠に捉われず、レジャーなどで普段使えるものから徐々に備えを進めそれぞれの家庭環境に合わせた準備をしてほしいと呼びかけている。

  • 【話:矢野周一さん】
    準備8割。訓練したってやっぱり準備がないとそこに行き着かない。いつ起こるか分からない災害時に絶対役に立つはずなので、一人でも多くの方に準備していただきたい。

震災の教訓を風化させず、一人一人が「自分事」として防災に向き合うことが、来るべき大災害から命を守る唯一の道となる。

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