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2025年05月19日
終末期医療に特化した老人ホーム「医心館」に注目(2025年05月17日放送)
終末期医療とは?
終末期医療(ターミナルケア)とは、病気の回復が見込めない患者に対して、身体的な治療だけでなく、精神的・社会的なケアも含めて総合的なサポートを提供する医療のことです。
患者本人だけでなく、家族の心のケアも重視され、安心して最期の時を迎えられるようサポートします。
厚生労働省が一般の人を対象に行った調査によると、病気が治る見込みがない場合、どこでケアを受けたいかという質問には、次のような回答がありました。
- 医療機関:54.8%
- 自宅:27.3%
- 介護施設:8.0%
- その他:9.9%
多くの人が「医療機関でのケア」を希望していますが、その背景には家族に負担をかけたくないという思いや、信頼できる医療スタッフに見てもらいたいという安心感があるようです。
一方で、国は、高齢化社会が本格化する中、入院日数の短縮や在宅での療養を推進し、計画的な医療費の適正化対策を進めています。
しかし、末期がんなど医療依存度が高い場合は、自宅での療養や介護施設でも介護体制に不安を感じるという方も多いのが現状です。
高齢化社会で求められる選択肢―ホスピス事業の拡大
終末期医療をより身近に、安心して受けられるように、宮崎市の住宅型有料老人ホーム「医心館」(本社東京)では、ホスピス事業に力を入れています。
この施設は、がん末期や人工呼吸器、気管カニューレ管理が必要な患者、慢性疾患の長期療養が必要な方などを受け入れ、24時間365日、看護師が常駐しています。人工呼吸器療法や点滴などの医療処置も行っています。
医心館の特徴
- 看護師と介護士の比率が1:1・・・・看護師・介護士を合わせると入居者さんと同じぐらいの人数がいるような手厚い体制
- 24時間の医療処置対応(人工呼吸器、点滴など)・・カテーテルの扱い方やターミナルケアに入った方の専門的ケアの対応
- 家族がいつでも面会できる(24時間365日可能)・・・面会の制限を設けずいつでも面会することができる
こころとからだ診療所の萩野寛理事長は、「病院以外で、常時多数の看護師さんが専門的なケアができる施設は他にはありません。細かい指示も出せて、しっかり密に連携を取りながら患者さんを見ることができる。これから高齢化社会になると、がんの患者さんが増えるのでしっかり見られる施設が増えてくるということはとても大切なこと」だと話します。
この体制により、患者だけでなく、介護する家族の心の負担も軽減され、穏やかな時間を過ごせる環境が整っています。
家族の安心と患者の笑顔
医心館に母親を預けることを決断したある女性は、「ここがいいに決まっているわ」と母が笑顔で話したことが、安心につながったと語っています。
一人で介護していた時は心に余裕がなく、母に優しく接することが難しかったそうですが、施設に預けたことで、心にゆとりが生まれ、穏やかな時間を過ごせるようになったといいます。
地域に根ざした終末期医療の拡充へ
医心館は全国125カ所(2025年5月時点)に展開しており、都市部ではがん末期の患者が8割を占め、地方では長期療養が必要な患者を多く受け入れています。
地域ごとの医療ニーズに応じた柔軟な対応を目指し、入居者本人だけでなく、その家族にとっても安心できる「第二の家」として、地域医療の課題解決に貢献しています。
「家族に負担をかけたくない」「安心して過ごしたい」という願いを叶える場所として、医療機関だけでなく、ターミナルケアを行う施設の存在が求められています。
患者本人だけでなく、支える家族にも安心感をもたらす取り組みが、これからの終末期医療を大きく支えていきそうです。