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特集
2025年08月25日
宮崎発!異色の文芸誌「文学と汗」-プロじゃなくても表現できる場所を(2025年08月23日放送)
宮崎県発の文芸誌、その名も「文学と汗」。
編集長を務めるのは、えびの市出身で写真家・音楽家・ラジオパーソナリティと幅広く活動するグンジキナミさんです。
タイトルには一見違和感のある"文学"と"汗"という言葉。
グンジさんは、文学をもっと身近に。
誰もが汗を「かく」ように誰もが言葉を「かける」という思いを込めたそうで、"いい違和感"を大切にしています。
書き手はみんな"プロじゃない"
この文芸誌の大きな特徴は、寄稿者の多くがプロ作家ではないこと。
医療従事者、農家、演劇人、音楽家...ジャンルは違えど「宮崎にゆかりのある人たち」が、それぞれの言葉を綴ります。
「書きたいのに発表の場がない人にこそ活躍の場所を」とグンジさんは語ります。
原稿はオンラインや対面で一文ずつチェック。
ときには深夜まで議論を重ねることもあるそうです。
グンジさんは「納得できない部分は最後まで粘る」と話し、書き手の意図を表現することを大切にしているといいます。
寄稿者の一人、進藤アヤノさん(平日は専門学校の事務職員 週末は脚本を手掛ける演劇活動)は、「自分で読みたいものを書きたい。まず書いて出すことで誰かの目にとまるのかも」と話します。
音楽家や農家も執筆
宮崎出身の作曲家・ピアニストの横山起郎さん(U-dokiの天気コーナーBGMを手がける)も執筆。
ピアノをテーマにしたエッセイは、難解な言葉を避けて日常を瑞々しく切り取っています。
12年前に畜産農家を営む祖父がいる川南町に大阪から移住し、畜産業を営む木林きききさんは、イラストや漫画などを描くアーティストとしても活動しています。
今回は、今年1月に亡くなった祖父との思い出を描いたエッセイを寄稿。
「祖父と暮らしていくなかで、自分の知らなかった祖父の一面を知れた。文章にすることで、祖父が自分にとってどんな存在だったのか再確認できた。読み手さんが親しい人との関係性を思い出すきっかけになれば」と話します。
グンジさんについては「生き方が綺麗な人。繊細なものを感じ取って、自分には見えないものが見えて、綺麗に表現できる人」。
グンジさんは、木林きききさんについて「現代の宮沢賢治のよう」と評します。
本は"お守り"のような存在に
グンジさんは「本や言葉はこれから大切さが見直されされていくと思う。同じ町に住む人がこんな素晴らしいものを書いていると知ること自体が感動します。本は、お守りのように寄り添ってくれる存在。宮崎の方の読者人口を増やしていきたい」と語ります。
「文学と汗」第5号は 8月30日(土)発売。
宮崎市HAROW広島通「Zine it! BOOKS」ほか、オンラインストア「文学と汗STORE」でも購入可能。
デジタル化の時代だからこそ、手に取ってページをめくる一冊が心を温めてくれるかもしれません。