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特集
2025年05月26日
宮崎発・未来の空を担う若者たち 航空大学校のリアルな日常に密着(2025年05月24日放送)
宮崎空港に隣接する航空大学校は、日本で唯一の公的なエアラインパイロット養成機関。
設立から71年、これまでに数多くのエアライン・パイロットを輩出してきました。
入学倍率は10倍以上。全国から夢を抱いた若者たちが集うこの場所で、どんな日々が送られているのか・・その現場を追いました。
夢のスタートは宮崎から
航空大学校は宮崎・帯広・仙台の3拠点体制。
入学した学生たちは、まず宮崎で座学を受け、航空工学や気象学、航空法規など飛行の基礎知識を学びます。
その後、帯広・宮崎・仙台で、実践的なフライト訓練に進みます。
現在、宮崎キャンパスでは、座学生とフライト課程の学生計79人が学んでいます。
今回は、フライト課程に進んだ学生の一日に密着。
中でも注目したのは、同期で唯一の女性の学生、野島光夏さん。
航空祭での経験や、パイロットとの出会いをきっかけにこの道を志した彼女は、「後輩女性パイロットの働きやすさも整えられるような存在になりたい」と、確固たる信念を語ってくれました。
1日のスケジュール
- 6時:天気図を見てフライトで注意するポイントをチェック
- 6時45分:朝食
- 7時:フライト準備
- 8時:教官とのブリーフィング
- 8時40分:フライト訓練
- 12時40分:昼食
- 13時:午前フライトの反省
- 14時:座学「航空力学」
- 17時40分:夜間フライト訓練
- 20時:訓練終了
フライト訓練のリアル:天候、判断、そして緊張感
訓練に使われるのは、4人乗りのシーラス式SR22型。
朝から天気図をチェックし、経路や非常時の対応を想定したブリーフィングを行います。
この日の訓練は、離着陸の訓練と宮崎~佐賀間を往復する約3時間15分のフライト。
訓練は有視界飛行方式で行われ、雲との距離を一定以上キープしながら飛行します。
天候によってより早い判断が求められます。
空の上では、予想以上に視界が悪化。
さらには他の訓練機とのニアミスで、咄嗟の判断が求められる場面も。
学生は判断に迷い、教官の指示で回避行動を取ることに。
後の振り返りで教官から「スレット(想定)と対策を常にセットで考えることが必要」と、プロフェッショナルとしての意識を叩き込まれていました。
厳しさの中にある、仲間との絆と支え
航空大学校は全寮制。
学生たちは一つ屋根の下で生活を共にし、支え合いながら成長していきます。
食事の際には「まず野菜から」など健康への気遣いも。忙しい中にもユーモアと連帯感がにじみ出ています。
変わる受験条件、広がるパイロットの門戸
かつては厳しかった受験条件にも変化が。
以前は視力などにも厳しい制限がありましたが、現在は眼鏡をかけている学生もいます。
また、身長158cm以上という制限は2026年度の入学募集から撤廃され、より多くの若者に、夢への道が開かれています。
卒業後は航空会社に就職し、さらに専門的な訓練を経てようやく旅客機の操縦席に立つことができます。
航空大学校は、まさにその「基礎を築く場所」。
空のプロフェッショナルを育てる熱い現場が、ここ宮崎にあります。
日々、厳しい訓練に臨む未来のパイロットたち。その姿からは、ただ空を飛ぶことへの憧れだけではなく、「人の命を預かる」ことへの責任と誇りが感じられました。
今後、空の旅で皆さんが出会うパイロットの中には、この宮崎で育った若者たちもいるかもしれません。
夢と努力が飛び交う航空大学校の現場から、明日の空への第一歩が始まっています。