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2023年01月06日

映画「すずめの戸締まり」 新海誠監督インタビュー(未公開エピソード)

映画「すずめの戸締まり」 新海誠監督インタビュー

舞台の1つに宮崎が選ばれた理由とは

大ヒット上映中の映画「すずめの戸締まり
宮崎も舞台の1つとして描かれています。
2022年12月、新海誠監督に永井友梨アナウンサーがインタビューしました。
※放送ではお伝えしきれなかったお話もたっぷりお届けします!

永井アナ永井アナ
今回の作品では、宮崎も舞台になっていることが宮崎で生まれ育った一人としてとても嬉しく感じました。宮崎が舞台の1つに選ばれた理由は何でしょうか?

新海監督
鈴芽は九州に住んでいて、だんだん東の方に旅をしていくという物語ですから、日本列島を横断するような物語にしたいなと思って。宮崎にしたのはいくつか理由があり、ひとつは主人公のヒロインを岩戸鈴芽(いわとすずめ)という名前にしているんですけど、その岩戸というのが天岩戸(あまのいわと)伝説の岩戸なんですよね。宮崎にも天岩戸のアメノウズメノミコトを祭ったような場所もありますよね。高千穂に高天原があったり、神話の始まりの場所であったりもしますので。今回の映画は鈴芽の名前をはじめとして日本神話をモチーフにしているところがありますので、神話のふるさとの宮崎がしっくりくるかと思ったのが1番大きい理由ですね。

永井アナ
ちなみに全国の中で宮崎が浮かんだのは何番目だったんでしょうか。

新海監督
何番目...2番目ぐらいですかね(笑)

最初は大分をロケハンしていたんです。フェリーで愛媛まで行くという展開がありまして、実際のフェリーの航路を調べると大分から出ているんですよね。宮崎を舞台にするとフェリーの航路を架空のものにしないといけない。どっちがいいかなと思ったときに、物語を作るうえでの理由でしかないのですが、ちょっと大分だと愛媛に近すぎるなということがあり、もう少しだけ遠くしたくて(笑)
宮崎の場合は、神話の由来もあったのでよりしっくりくるかなと思って。2番目の候補として考えていた宮崎にしたというのが実際の流れですね。

永井アナ
宮崎が選ばれて良かったです(笑)新海さんの中で宮崎はどのような印象ですか。

新海監督
宮崎の印象は人がすごく大らかな感じ。というのも宮崎出身の友人がいて、すごくゆったりしていておおらかで。あまり細かいことを気にせず、なんだか素敵な人たちだなという印象はありました。「宮崎何もないよ、でもいいところだよ」と教えてくれました。

永井アナ
映画では宮崎の方言も出てきて、県民としては「訛っちょ~」とにやにやしつつ、より親近感がわきました。完成した作品をご覧になったとき、宮崎の方言や風景はどのように感じましたか。

新海監督
鈴芽の町の風景は、宮崎の特定の一つの町を舞台にしたというよりは、なんとなく九州全体の雰囲気をミックスして作ってはいるんですよね。僕も含めてスタッフみんなで九州の雰囲気が出るように作ったので、宮崎に住んでいらっしゃる方が「宮崎っぽいよね」と思って頂けたなら、そこはすごく嬉しいと思います。

宮崎の方言に関しては、作っているときに難しいなとよく思いました。なんとなく僕たちがイメージする九州の方言ってちょっと博多っぽい言葉や、「~だけん」みたいな感じでした。今回、言葉は完全に宮崎にしなければと思って、台本もそうですし、自分で書いている小説も含めて、宮崎弁が分かる人に監修に入ってもらって、セリフを直していったんですよ。そうすると普段聞いたことがない語尾が入ってきて、「~ちょ」とか「~ちゃ」とかちょっと可愛らしい言葉がたくさん入りますよね、語尾に。発見することが多かったですね。
それを実際に深津絵里さんにお芝居して頂いて、「なるほど、こういうことなんだ」と初めて腑に落ちてきたというか。台本の言葉の上だけだと、「本当にこの語尾でいいの?」とちょっと不安になるような感じだったんですけど、宮崎弁を話している人にも監修に入って頂いて、深津さんでアフレコをさせて頂いたときに、「本当に可愛らしい言葉だな」という風に実感として思いました。

永井アナ
宮崎も舞台となっている「すずめの戸締まり」、公開から1ヶ月以上経ちましたが、反響はどのように感じていますか。

新海監督
いろんなことを感じるんですけど、自分たちが何ができたのか、この映画を作ることで何か今までと違うことができたのかどうかというのは、分かるまでもう少し時間がかかるだろうという気がします。いろんな声は聞こえてはきているし、とても嬉しいお声はあるんですけど、今回の映画を受けて、次どういう方向に向かうべきかというものがだんだん見えてきたら、自分の中で整理がつくと思います。まだちょっとそれをお客さんの声を聞きながら探している最中なので、気持ちとしてはちょっと宙ぶらりんな感じですね。完成して見て頂けてよかったなという安心はすごくあるんですけども、今もみなさんがどういう気持ちで見てくれているのか、もっと知りたいなという風に思っております。

永井アナ
過去の作品を含めて、新海監督はストーリーをどのように発想されるのかとても興味深いです。今回も「閉じ師」という仕事が出てきたり、「戸締まり」がタイトルになっていたり。最初の発想のきっかけは、シーンやモチーフ、テーマなど何からスタートして、どのように肉付けされているのでしょうか。

新海監督
僕は物語の最初のプロットを組み立てるのにいつもすごく時間がかかります。今回も数カ月から半年ぐらいかかった気がするんですけど、毎日ひたすら考えていろんなことを書いていって。ですので、何か一気にインスピレーションが湧いてきて、物語全体像がひらめいた!と見通せてしまう感じでは全くないんですよね。それでも最初のきっかけは何だったか思い出すと、1つには今の日本を舞台にした冒険物語を作りたいという風に思いました。だんだん舞台が移動していくような物語にしたいと。それを架空の世界ではなくて、今僕たちが生きているこの日本という場所にするんだという風に思いました。場所を移動して何をしていけばいいんだろうと思ったときになんとなく思いつくのが、昔はすごくにぎやかだったけど今は人が減ってすごく過疎になってしまった場所や、あるいは廃墟になってしまった場所というのが思いついたんですよね。それは多分、実際今日本ではそういう場所が増えているからだと思うんですよ。東京で生活していても、空き家が現実に増えていたりするし、僕は長野が地元なんですけど、地元に戻っても自分が学生時代に比べたら、やっぱり学校も町もだんだん小さくなっていっている。それは日本全体がそういう流れの中に今いるからだと思うんです。そういう風に思うと、冒険物語なんだけどいっそ廃墟を巡っていく物語にしようと思いました。廃墟を巡っていくんだったら、その廃墟で主人公たちは何をやるんだろうという風に、またそれを課題に考えてみようと思って。何日も考えていったときに、人が亡くなってしまうときに人はお葬式をやったり人を悼んだりするけれど、場所が消えてしまうとか場所から人が消えてしまったときに、人はその場所に何をするんだろうという風にふと疑問に思って。実際は何もやらないでなんとなく場所が消えていくんでしょうけど、だったらその場所を悼むような職業の人がいてもいいんじゃないかという風に考えがだんだん固まっていって。じゃあ閉じ師という職業があったらどうだろうという風に考えていって、閉じ師と一緒に旅をする物語にしようと。そんな風にちょっとずつ時間をかけて肉付けして考えていったという感じですね。

永井アナ
宮崎も舞台となっている「すずめの戸締まり」。宮崎のみなさんにどう楽しんでもらいたいですか。

新海監督
宮崎のみなさん、この映画はまず宮崎が舞台となってスタート地点として出てきます。宮崎の言葉であったり、どこかで見たことある風景であったり、宮崎の方が映画を見て頂けると、「これは知っている」というところがたくさんあると思うんですよね。ですので少しでもご興味を持っていただけたら、ぜひ劇場に行って映画の中にある宮崎を探して頂ければ、とても幸せに思います。

どうぞ楽しんでください。よろしくお願いします。

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