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特集
2025年11月24日
2026年3月末に閉校 ─ 在校生2人の坪谷小学校、最後の運動会(2025年11月22日放送)

日向市立坪谷小学校は、宮崎が生んだ歌人・若山牧水の母校として知られ、149年の歴史の中で延べ1848人の卒業生を送り出してきました。
しかし、少子化の影響により、来年3月末に閉校することが決定しています。
今回は、 先月26日に行われた最後の運動会を取材しました。
在校生はたった2人

朝のあいさつとともに登校してきたのは、6年生の山口創大さんと水野大珠さんの2人です。
坪谷小では児童はこの2人だけ。
毎朝の登校時には若山牧水の短歌を一首朗読することから始まります。
授業はマンツーマン。
穏やかで気配り上手な水野さんと、明るくムードメーカーの山口さん。
先生たちも「逆に元気をもらうことが多いです」と温かく見守っています。
"地域総出"でつくる坪谷小の運動会
8月の運動会に向けた結団式では、赤団団長:水野さん、青団団長:山口さんに決定。
ユニークな"児童2人・団長2人"の体制が決まりました。
坪谷地区の運動会は、地域住民が選手として参加する「地域一体型」の行事です。
児童が2人であっても、運動場には毎年たくさんの住民が集まります。
当日に向けて、水野大珠さんは「一生懸命頑張ったら最高の運動会になるので、今頑張っています」山口創大さんは「本番は緊張して間違えることが多くなると思うけど、絶対できます」と意気込みを語ってくれました。
運動会に向けて2人が作った短歌
最後の運動会、笑顔と涙

当日は快晴に恵まれました。開会の言葉で水野さんは、
「僕たちのために参加してくださりありがとうございます。みんなで思い出に残る運動会にします。」と力強く宣言しました。
競技は、2人による100m競争や、小中一貫校の東郷学園に通う子どもたちのレース、住民参加の競技もあり、運動場は終始、笑顔と拍手に包まれました。

運動会で披露するため5月から練習してきた「ぶちあわせ太鼓」も披露。
坪谷小の児童・先生の最初で最後の太鼓演奏披露となりました。
子どもの成長を地域全体で見守る"大きな家族"のような運動会。住民にとっては年に一度の楽しみであり、同窓会のような行事にもなっています。
地域住民は、「小学校がなくなっても地域の運動会ができればと思う」と目を潤ませていました。
「最高の運動会でした」

閉会後、山口さんは「今の気持ちは悲しい、けど楽しかった。僕にとっては最高の運動会でした。」と感想を述べ、水野さんは「悔いなくきちんとできた。地域の人たちがぼくたちのために最後まで支えてくれました。その恩返しがしたいです。」と語りました。

テント張りや準備、後片付けまで、地域の人たちが"家族"のように支えた最後の運動会。
2人の思いと地域の願いが詰まった一日は、149年の歴史にふさわしい温かな幕引きとなりました。
閉校式は来年2月
坪谷小学校は、来年2月22日に閉校式を予定しています。
在校生2人、歴代卒業生、地域の人々が集まり、長く続いた伝統に感謝を捧げることになっています。
学校は姿を消しても、この地域を支え続けてきた絆は、これからも変わらず受け継がれていきます。
※現在、坪谷小学校閉校記念式典の協賛金をクラウドファンディングで受付中です。





