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2025年12月15日

ユネスコ無形文化遺産登録を目指す背景と、継承への挑戦(2025年12月13日放送)

01 神楽 無形文化遺産登録提案

先月、日本の伝統芸能である神楽をユネスコ無形文化遺産登録に提案することが決定しました。
ユネスコ無形文化遺産は、芸能や伝統工芸技術など、人類にとって大切な「無形文化遺産」を守り、次世代へ伝えていくための国際的な制度です。

現在、日本からは能楽や歌舞伎など23件が登録されています。
宮崎県に関係するものでは、2022年に登録された「風流踊(ふりゅうおどり)」の一つ、五ヶ瀬町の荒踊りがあります。
また、去年は「伝統的酒造り」として、本格焼酎などの酒造技術も登録されました。

そして今回、新たな候補として「神楽」がユネスコ無形文化遺産を目指すことになりました。
その背景と、登録によって期待される効果を取材しました。

宮崎に息づく200の神楽

02 4つの神楽

神楽は、神様を祀り、五穀豊穣や地域の安全を願って奉納される伝統芸能です。
宮崎県内にはおよそ200の神楽が存在し、そのうち4つは国の重要無形民俗文化財に指定されています。

地域の人々によって古くから受け継がれてきた神楽ですが、現在、多くの地域で保存と継承が大きな課題となっています。
数年前の新型コロナウイルスの影響で、各地の神楽は中止や規模縮小を余儀なくされました。
さらに、少子高齢化や人口減少による後継者不足が深刻化しています。
舞い手だけでなく、舞台設営など祭りを支える人手も減少し、神楽の継承は全国的に危機的な状況にあります。

ユネスコ登録がもたらすもの

こうした現状に歯止めをかけるため、ユネスコ無形文化遺産登録に向けた動きが始まりました。
登録されれば、神楽は世界的な評価を受けることになります。
それによって人々の興味関心が高まり、継承者の意欲向上や後継者育成につながることが期待されています。

実際に、2009年に登録された岩手県の早池峰神楽では、登録後に全国各地で披露する機会が増え、地域の学校に神楽サークルが誕生するなど、後継者育成の成果が生まれました。

また、登録されることで、現地に足を運ぶ観光客が増え、神楽を核とした地域コミュニティの活性化につながることも期待されています。
また、道具の整備や後継者育成、資料映像の作成などにかかる費用について、国の補助を受けやすくなるというメリットもあります。

03 神楽継承振興知事連合

宮崎県は、34の道府県知事でつくる「神楽継承振興知事連合」の共同代表を務めるなど、登録に向けて積極的に取り組んできました。
これまで神楽に関心がなかった人たちが現地を訪れることで、地域の活性化につながることも期待されています。

子どもたちが舞う、西米良村の独自の取り組み

04 越野尾神楽

そんな中、西米良村の神社では、神楽を舞う小学生の姿がありました。
国指定重要無形民俗文化財「米良の神楽」に含まれる越野尾神楽では、舞い手の減少により、かつて夜通し行っていた33番の演目を、現在は13番に減らして奉納しています。

次の世代へつなげようと、西米良村教育委員会は今年4月、小学生と大人を対象にした神楽講座をスタートしました。
越野尾地区と村所地区から集まった小学生5人が参加し、月1回、そして秋には週1回の練習を重ねてきました。

05 花の舞

霜月祭当日、子どもたちは「花の舞」を堂々と披露。
児原稲荷神社の宮司・甲斐法長さんは、「過疎で普段は町場に住んでいる方も祭りの日は帰ってくるから地域が活性化する。西米良の子供たちがみんな積極的に参加してくれたら大きな成果につながるのでは」と語ります。

06 地域の存続を象徴する存在

神楽を観に来ていた人からは「神楽は伝統的なものだからこそ、みんなが積み上げてきた歴史が伝わって、感慨深い」「小さい頃から見てきた神楽がなくなってしまうのは寂しい」「どうにか受け継いでほしい」という声も聞かれました。
こうした声が、神楽が単なる伝統芸能ではなく、地域の存続を象徴する存在であることを物語っています。

次の50年、その先へ

神楽のユネスコ無形文化遺産登録については、来年3月末までに政府が申請書を提出し、2028年に審査が行われる見通しです。
これまで日本がユネスコに提案した案件はすべて登録されており、神楽も登録への期待が高まっています。

日本の宝」である神楽が、やがて「世界が守る文化」へ。
その一歩が、今、宮崎から踏み出されています。

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