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2025年12月01日
中学校の部活動はどう変わる?──宮崎市で進む「地域クラブ」移行の現場(2025年11月29日放送)
今回は、中学校の部活動をめぐって大きく変わろうとしている「部活動地域展開」についてお伝えしました。
「部活動地域展開」とは、国が進める部活動改革の一環で、これまで学校が担ってきた部活動を、自治体が運営する地域クラブへと移行する取り組みで、複数の学校がエリアごとに一つのクラブとして活動する形となります。
学校から地域へ──進む"部活動地域展開"

この背景には、少子化による生徒数の減少・部員不足による選択肢の縮小・顧問教員の長時間労働の深刻化といった課題があります。
かつては当たり前だった土日の練習試合や長期休暇の合宿。
しかし、現場では教員の負担が大きく、改善の必要性が高まっています。
宮崎市では7エリアで地域クラブを計画

宮崎市では市内を7つのエリアに分け、それぞれで地域クラブを立ち上げる方針を掲げています。
これまで市は、部活動指導員の確保や外部指導者の支援体制づくりに取り組んできました。
今年度は次のステップとして、各エリアで競技ごとの合同練習会を開催し、運営方法や課題を確認しています。
来年度秋には、休日の活動を地域クラブへ移行予定。2030年度には平日も含めた全面移行を目指しています。
佐土原エリアの合同練習会に33人が参加

今回は、佐土原エリアで行われたサッカーの合同練習会を取材しました。
宮崎市が開いた合同練習会には、佐土原エリアの佐土原中学校・久峰中学校・広瀬中学校の3校のサッカー部員33人と顧問、部活動指導員が参加しました。
いずれの学校も部員が十数人と、試合を行うのにぎりぎりの人数。
生徒たちは「大人数で練習できるのが嬉しい」など、交流を深めながら、一緒に汗を流しました。
一方、「生徒が自力で通える範囲」でエリア分けをしていますが、実際に通ってみると、距離が遠い・自転車移動が大変・送迎の負担が大きい といった課題が見えてきました。
保護者・顧問教員たちの不安と期待
見学に訪れた保護者からは、さまざまな質問が寄せられました。
「外部コーチは来るのか」「顧問の先生は関わるのか」「移動手段はどうなるのか」「距離が遠く、自転車では心配」「まとまった移動手段があると助かる」といった声もあり、今後の運営方法への関心が高まっています。

顧問教員からは、「授業準備などに時間を使えるようになる点は良い」という声がある一方で、「学校生活と部活動はつながっている。部活動が切り離されることで、生徒の様子が見えにくくなるのではないか」という不安も聞かれました。
これまで学校内で一貫して指導できたからこそ気づけた変化もあり、地域クラブ化による教員と生徒の距離が心配されます。
大会はどうなる?──チーム編成は柔軟に
これまで学校単位で出場していた大会は、宮崎市7つのエリア単位で出場することになります。
ただし、佐土原エリアのように合同で30人以上となる場合は、「チームを分ける」「競技志向と楽しむ志向のチームを分ける」など、各エリアの判断で柔軟に対応できる方針です。
宮崎市は「より生徒のニーズに合ったチームづくりが可能になる」としています。
2030年度の全面移行へ──課題を一つずつ解決しながら
宮崎市は、今年度の合同練習会で明らかになった課題に向き合いながら改革を進めています。
「子どもたちが安心安全に活動でき、やりたいことを実現できる環境づくりこそ目標です」と市の担当者は話します。
部活動地域展開が、より良いクラブ環境の実現につながることを期待されています。





