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2019年05月06日

開村100年の理想郷 新しき村に生きる人達(2019年5月4日放送)

みなさんは木城町にある「新しき村」をご存知でしょうか?
今から約100年前に文学者の武者小路実篤が理想社会の実現を目指して開いた農業共同体の村です。
ここでは今でも共同生活をしながら自給自足に近い暮らしを続けている人たちがいます。

オープニング

その村への道は1本だけ。
細い山道をひたすら進むと見えてくるのが児湯郡木城町石河内。
小丸川に突き出したかのような小さな集落。
そこが「日向 新しき村」です。

暮らしているのはわずか2世帯。住民は3人です。
松田省吾さん(76歳)は有機農業で米や野菜を作り、放牧飼育の豚を育てながらこの村で50年以上生きてきました。

日向 新しき村/松田省吾さん

新しき村は今から100年ほど前、明治の文学者武者小路実篤が理想を目指して始めた農業共同体です。
1日6時間の義務労働を果たせばあとの時間は何をしても自由。
住む所と食事は村が全て保証するという自立した暮らしです。
最盛期には約50人がここで共同生活をしてきました。

 

しかし開村から21年後、ダム建設により土地が水没し、そこに住めなくなった住民が村を離れ埼玉県に新しき村が建設されました。
残ったのは1家族。実篤の元妻の房子とその夫杉山正雄だけでした。
埼玉に移った新しき村にいた松田さん夫婦は二人の生き方に共感。25歳の時、日向新しき村に移住し二人が亡くなるまで身の回りの世話をしました。
「子牛1頭売ったら30万円ぐらいで売れた。子牛1頭売ったら杉山さんからお小遣いが1万円もらえる。年間1頭しか売れなかったら小遣いは年間で1万円しかもらえない。ただ、お米や野菜があったから、何やら修行しているような感じで、そういうのがいいと思ったんです。」と松田さんは話します。
3年前に妻のヤイ子さんが亡くなり、今は松田さんが一人で村の土地を守っています。
村に残るもっとも古い建物は実篤が住んだ家です。
痛みが激しいこの家をたった一人で再生しようとしています。
「村の生活はそう収入にはならない。自活しているから。困らないけど、村で生活していること自体が豊かなんです。まだ活かせるものはいかして大事にしていく。」

松田さん

松田さんは「ただ物を売ってお金のやり取りをするだけの中には入りたくない。極端に言えば、毎日食べるものさえあれば生きられるという気がする。自然から生かされているのではないかなという面が強いので、だから自然に立ってどう生きられるのか関心を持った。」と考えています。

種まきが始まりました。手伝うのは村外会員です。
村の精神に賛同し、会費を収めることで村に関わることができる仕組みです。
新しき村の維持には欠かせませんが、以前より減ってきているのが現状です。
そこに通う人は「ここに来るとほっとする、時が止まるから。彼の魅力ですよね。」と話します。

 

埼玉県の新しき村は、ダム建設で木城の土地を失った住民が新たに作った村です。
現在6世帯8人が暮らしています。
新しき村の寺島理事長は「村の財布は一つ。つまり会計が一緒だということ。村は家庭を延長したようなものだと思う。家族を発展させたような形で、自分の働いたお金が自分のためにもなるし相手のためにもなる。」と話します。

埼玉県の新しき村の旗

ここでは全員が村の係を受け持ち、1日6~8時間の義務労働をしています。
食べるためと売るために始めた農業で椎茸や米、野菜などをつくり、住居や食事と生活に関わることは全て村で負担しています。月に3万5000円の個人費も支給されます。村は全てが平等です。同じ時間に同じメニューで食事をし、家族のような共同生活をしています。月に2回開催している全員会議には村の全員が出席します。ここもまた木城の村と同様、人口現象と高齢化が進んでいました。

埼玉県の新しき村

かつては大規模な養鶏を行い、住民が60人を超えた時代もあった新しき村
そこには、子供たちの笑顔がありました。
村最年長の河内さんが見せたいものがあると、自宅に招いてくれました。
そこに飾られていたのは開村100年を記念したポスター
河内さんの息子が描いたものです。
現在イラストレーターとして活躍している息子の樋口篤郎さんは高校を卒業するまで村で暮らしていました
「このポスターは息子の好きなように描いてもらった。息子の仕事はここの村では交流ができないので難しい。息子は村で生活して育ったからああいう子になったのかなと思う。それが何よりの誇りです。」と河内さんは話します。
ポスターには樋口さんの心の中で今も息づく新しき村。色褪せることのない確かな記憶です。

新しき村

ある日、日向新しき村に訪問者が訪れました。
農村の暮らしに憧れるアメリカ出身のキャメロンさん。妻を伴って鹿児島から訪ねてきました。
松田さんは今、村の将来を託す若者を探しています。
キャメロンさんの家族はアメリカで、代々林業の仕事をしています。キャメロンさんは現在、鹿児島で通訳や旅行ガイドの仕事をしています。
近い将来、自然の豊かなところで暮らしたいという思いでこの村を訪問しました。

松田さんは「世の中には僕のような人間もたくさんいると思う。そういう人間がこの村を知ればやっていきたいと思うと思う。こんなにありがたいなと嬉しいなと感じる生活をしているから。出てこなかったら知らない人の損失ですわ・・・」と笑いながら話します。

キャメロンさん夫妻

武者小路実篤が愛し、若者たちが夢見た理想郷「日向新しき村」。
再び輝く100年へ。新たな時代が今、始まろうとしています。

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