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特集
2026年01月12日
宮崎市中央卸売市場 水産物部 初競りと仲卸しに密着(2026年01月10日放送)

年間1万3,000トン以上の水産物が売買される宮崎市中央卸売市場水産物部。
早朝から競り人の威勢の良い掛け声が響き、仲買人たちが魚を競り落としていきます。
今回は、年明け最初の「初競り」と、水産物中卸業者の一日に密着しました。
初競りの朝

1月5日午前3時。初競りを前に、競り場には県内各地、さらには全国から届いた魚介類が次々と並びます。
この日は、潮の流れや月夜の影響で全体的に入荷量はやや少なめ。
若き三代目仲卸しの挑戦

競り場をスマートフォンで撮影しながら歩くのは、鳥原大樹さん(38)。
水産物仲卸「鳥原鮮魚店」の三代目です。(※仲卸=卸売市場で商品を仕入れ、小売業者や飲食店に販売)
撮影の目的は、飲食店向けにその日の競り場の状況やおすすめの魚を、公式LINEで毎朝発信するため。

「自分たちが魚を揃えないと、お店にも並ばないしその先のお客さんまで届かない」。
注文に合った価格と品質の魚を揃えるため、日々競りに挑んでいます。

大輝さんは若い頃、水族館で働く夢を抱き、専門学校を経て「東海大学海洋科学博物館」に就職。
海洋生物の飼育管理に携わりましたが、23歳の時に家業を継ぐため宮崎へ帰郷しました。

家業を継いで15年、現在大樹さんは仲買人歴約40年の父・鳥原肇さんとともに市場に立ち続けています。
父親の肇さんは「魚を見る目も、お客さんへの対応も安心して任せられる」と、息子の成長を静かに見守ります。
一瞬の判断が明暗を分ける競り

午前6時30分、初競りスタート!
並べられた魚が次々競り落とされていきますが、相場は通常の2~3倍の高値に。

大樹さん「相場が高すぎて、欲しいものが思うように買えなかった」。
数秒の迷いで競り負けてしまう競りの世界。
思い切って声を出す判断力と相場を読む鋭い感覚が求められます。
その難しさを、大輝さんは実感していました。
休む間もなく仕分け作業へ 魚を通じた信頼と喜び

午前7時に初競りが終わると、休む間もなく店舗で仕分け作業。
市場で仕入れた魚介類を店ごとに仕分けていきます。
仕分けが終われば配達へ。

納品先のお店の料理人からは「店に合う魚を提案してくれる」「配達時に直接話せるので意思疎通ができ、信頼できる」と高い評価。

夜12時に出社し帰宅するのは夕方6時と生活リズムは不規則で厳しいものの、魚を納品したお客様から「美味しかった」「お客様が魚を食べに来てくれた」という声が何よりのやりがいだといいます。
減りゆく魚と、背負う責任
水揚げ量の減少、漁師の高齢化、魚を扱う店舗の減少――。
水産物を取り巻く環境は年々厳しくなっています。それでも大輝さんは、「食の流通に関わる者としての責任」を強く感じながら、今日も競り場に立ちます。
私たちが何気なく口にする一切れの魚。
その裏側には、仲買人や市場の人々の努力と覚悟があります。
これからは、魚を味わう一口一口に、そんな背景への感謝も添えていきたいものです。





