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特集
2025年09月15日
宮崎市で着物リメーク服を制作する・愛甲 晃子さん(2025年09月13日放送)
福祉とファッションを結ぶ舞台
9月6日、宮崎市で「福祉×ファッション」をテーマにしたファッションショーが開かれました。
ステージで披露された衣装は、すべて着物をリメークして生まれ変わった一点物。
手がけたのは「キモノ リメイク カンパニー アコ」の代表 愛甲晃子さんです。
きっかけは祖母の遺品整理
愛甲さんがリメークを始めたのは、祖母の遺品からたくさんの着物が見つかったタイミングに、友人から着物リメーク教室に誘われたことがきっかけでした。
2018年には会社を立ち上げ、寄付や依頼者が持ち込んだ着物から年間およそ60着を制作。
日常で着やすい服から華やかな舞台衣装まで、幅広い作品を生み出しています。
娘の存在が原動力に
愛甲さんは、2002年に長女・花菜さんを出産。
花菜さんは「先天性ミオパチー」という難病を抱えて生まれ、人工呼吸器が欠かせない生活でした。
母として寄り添い続ける中で、自分の人生について考えることもあったといいます。
そんな中で出会った「着物リメーク」。
以前からおしゃれをするのが好きな娘のために洋服をリメークすることがあり、その経験から着る人の状況に応じて「おしゃれを楽しめる工夫」を盛り込む発想が生まれたといいます。
たとえば車椅子利用者のために、スカート風に見えるパンツなど、実用性とデザインを両立させた作品もあります。
世代や障害を超えたファッションショー
2020年からは、宮崎県保健福祉専門学校と、福祉団体「UP to MEバリアフリーサークルみやざき」と連携し、着物リメイクファッションショーを年に一度開催。
ショーを通じて福祉への関心を高めることが目的です。
モデルは、障害のある人、老人ホームに入居する高齢者、専門学校の学生などで、今年は4歳から93歳までの27人が参加しました。
衣装はすべてモデル一人ひとりの個性を踏まえて制作され、観客から大きな拍手が送られました。
愛甲さんは「皆さんの笑顔を見ながら嬉しい気持ちでいっぱいだし、パフォーマンスする方たちもいろんな思いで出てくださっているので、そういう思いも受け取りながら胸が熱くなるような思い」と語りました。
参加者は、「当事者目線で作っていただいているので、普通の人だと気づかない配慮がされている。滅多にない場面で楽しい一時を過ごせた。」「和気あいあいとしていてよかった」と目を輝かせていました。
着物に込められた思いを未来へ
「おしゃれは誰にでもできる自己表現のひとつ。服をきっかけに"どこかへ行ってみたい""誰かに会いたい"と思ってもらえたらうれしい」と語る愛甲さん。
「娘を育てる中でたくさんの方に支えられご縁があり、人とのつながりに生かされているなと感じる。これからは自分も仕事を通じて誰かの役に立ちたい」と話します。
今後は同じ境遇の母親たちと一緒に働ける場をつくり、着物リメークを通じて社会とつながる活動を広げたいとしています。
着物に新しい命を吹き込むだけでなく、人と人の思いをつなぐ愛甲さんの挑戦。
その取り組みは、ファッションの枠を超え、心を支える活動として注目を集めています。
■キモノ リメイク カンパニー アコ
TEL:090-4343-1226
HP:https://www.kimono-ako.com/
Instagram:https://www.instagram.com/kimono.ako/