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番組表
第412回 平成18年9月26日
期日 | 平成18年9月26日(火) |
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場所 | 株式会社テレビ宮崎 会議室 |
議題 | 「蘇れ!神話鉄道 ~高千穂線 台風被害から1年~」 |
放送日 | 平成18年8月11日(金)15時00分~15時55分 |
議事の概要
- 元気な頃の高千穂線の映像が大変美しく、運転士の生き様も捉えられており訴えるものがあったが、このテーマは単に経営断念をした地元路線を残したいというノスタルジックなものではなく、過疎化、高齢化、交通弱者などの問題を抱えた地域のインフラ整備を、どのように、どの程度施していくかという大きな社会問題であり、行政の関わり方の難しさを感じた。また「蘇れ」の言葉に郷土愛を感じた。
- 広範囲な取材でありながら、資料も整理され、色々な分析が多因子的にできており、労力を要して制作された番組だと感じた。しかし、希望的観測の描かれていない内容と、「蘇れ!」とついたタイトルがミスマッチだという印象が残る。特に、地元住民に「不要」という否定的な意見があったのが何故なのかは知りたかった。経済や鉄道事業に詳しくない視聴者にも解りやすい資料や説明もほしい。
- 住民や関係者にとって、この路線の必要性がはっきりしていない。この問題はその点を探る視点が必要だったと思う。「国鉄ならすぐに修理される」という発言に、民間としての意識の希薄さを感じたが、最後、線路の上を歩いていく猫の後姿が、全てを物語っている気がする。
- 昔の白黒フィルムを含め、過去の資料を残すことの大事さを感じた。ただし、映像を使う際は撮影年月を入れて欲しい。今回は、BGMのうるささが一番気になった。また、「観光鉄道」「住民の足」としての側面とその必要性を訴えるには、それを裏付ける具体的な数字を示す必要があったのではないか。
- 表情、アングルを含め、映像が非常に美しく、カメラワークが素晴らしい。長年撮りためた映像が見事に編集されている点を高く評価したい。正直、運転士のドキュメンタリーなのか、過疎地の鉄道が無くなる社会問題を取り上げているのか、テーマが混沌としていたのは否めないが、違和感無く上手に編集・構成されていた。
- 涙を誘う情緒的なものだけでなく、第三セクター時代からの問題点、それに対する行政側の所見を含む具体的な対応策、今後の経営予測など、視聴者が見てわかる数字上の理論を示してほしかった。ナレーションは落ち着きがあり、トーンも早さも良く聞き易かった。
- 多額の赤字を抱えていたこの路線が倒産するのは時間の問題であり、台風災害はその引き金に過ぎない。これまで何の策も講じてこなかった台風以前の問題点を取り上げるとよかった。また、他県の観光鉄道との比較については、本県の実情と照らし合わせ、今後参考になりうるところを取り上げるとよかった。
- 放送後、周囲で話題になった番組であり、視聴者の興味をひいた点では成功である。多少内容が盛り沢山で、絞り込んだほうがよかった。ヒントの多い番組であったが、この路線を受け継いでいく新会社は変わりうるのではないかと思う。
- 県民が知りたいのは今後の経営の行方や可能性である。情緒的、感傷的な部分に多くが割かれ、構成の時間配分には一考を要する。感情だけに流されず、ドキュメント番組をどう作っていくかの姿勢は問われるところであろう。存続への想いを熱くする県外在住の宮崎県人の声が大きいが、他所から見た高千穂の魅力を分析するのもこの問題の対策の糸口と捉え、解決の可能性を探ってほしかった。