番組表
ヒューマン
2019年07月01日
No.56 グラフィックアーティスト ステレオテニスさん(都城市出身)(2019年6月29日放送)
今回のヒューマンでご紹介するのは80年代をテーマにしたデザインで注目を集める都城市出身のグラフィックアーティスト ステレオテニスさん。
華やかなショーイベントのメインビジュアルや人気アーティストのオフィシャルグッズなど、ポップな可愛らしさの中にもどこか懐かしさを感じるデザインを手がけています。
ーいつも追い求めてきた自分らしさー
Q:ステレオテニスさんにとってグラフィックデザインとは?
「グラフィックデザインは写真やイラストや文字を組み合わせて魅力的な絵にするものですが、私はエンターテイメントな要素の強い見せ方やアピールをする仕事だと思っている。」
企業コラボやグッズデザイン、キャラクターなど多岐にわたるステレオテニスさんのデザインはノスタルジックなモチーフを作品に取り入れ今の時代にフィットさせたもの。
デザインのテーマは80年代です。
ステレオテニスさんはこの80年代の魅力を「色の使い方や文字の入れ方に規則破りが多い80年代。この規則に沿っていない好きなように作っている。自分にとってエネルギーです。」と話します。
資料探しから戻ると蓄積したイメージをアウトプットする作業をします。
作業場の本棚にも80年代のアートやカルチャーに関する書籍がたくさんあります。
その中に少女コミックを発見。
これをステレオテニスさんは「記憶思い出し装置」と話します。
たまに読んで記憶をもとに戻し、純粋な楽しいという気持ちをすぐに思い出せるものとして置いてあるそうです。
都城市に生まれ育ったステレオテニスさんは幼い頃から絵を書くことが大好きでした。
当時からおしゃれに敏感だった少女は中学生になると音楽に目覚めます。
特に好きだったのはオザケン(小沢健二)。
「プリクラに小沢健二さんのポスター突っ込んで2人で写真を撮るくらい好きだった。女子カルチャーを全力で楽しんでいた。」と当時を振り返ります。
音楽を聞いている時にCDジャケットを作るグラフィックデザインの仕事を知ります。
大学は京都に進学しデザインについて学びながらVJ(ビデオジョッキ)としても活動し、卒業後デザイン事務所でアルバイトをしながらグラフィクデザイナーとしての活動を開始しました。
人の繋がりから生まれた小さな仕事をコツコツと積み重ねていきます。
信じ続けた自分のデザイン。
それに時代が追いつくように仕事も少しずつ増え始め、2018年人気アイドルももいろクローバーZの公式パーカーのデザインを担当し、ステレオテニスの名は一気に広まりました。
活躍の幅はさらに広がりを見せ2018年には日本最大級のファッションフェスタ「TOKYO GIRLS COLLECTION」のメインビジュアルをデザインしました。
ー自分を指名してくれることのありがたいプレッシャー。生半可な気持ちでは挑めないー
ステレオテニスさんの実家は地元でも評判のお寿司屋さん。
去年43年の歴史に幕を降ろしました。
長年店を切り盛りしてきたご両親にステレオテニスさんは新しいプロジェクトを提案しました。
それは店の歴史を新たな形で継承するだし巻たまごサンドの開発でした。
ステレオテニスさんがデザインした可愛いロゴのパッケージに入ったたまごサンドは地元のマルシェで人気商品となりました。
都城市立図書館で行われているトークイベント「おしえて先輩!」にステレオテニスさんの姿がありました。
自分の好きを仕事にし、楽しく生きる人達に学ぶ人物紹介型トークイベントです。
ステレオテニスさんが自ら図書館に持ちこんだ自主企画でこれまでに7回開催され、様々なゲストが自分の生き方や働き方について語りました。
また今年の春から地元のめがね屋さんとの共同プロジェクトもスタートしました。
70年代後半~2000年代までのビンテージめがねだけをセレクトして販売し、ブランディング再開発からプロジェクト全体をプロデュースしています。
在庫として残っていためがねが新しいお客さんの手に渡る良い機会になり、渋谷で行われた展示飯場会には多くのお客さんが訪れました。
ステレオテニスさんは「待つ仕事より自分で仕事を作る方が楽しいことに気がついた。都城市やローカルな場所にこうゆう人がいるんだということを気がついて欲しい。自分が先駆けになって新しいことを生んでいく、また引っ張っていけるような存在になりたい。」と考えています。
いろいろなカルチャーが生み出された80年代のデザインを今の時代にフィットさせるステレオテニスさん。
これからの更なる活躍が楽しみです。