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2022年02月14日

美郷町の備長炭、受け継ぐ若者の思い(2022年02月12日放送)

日本三大備長炭の一つである日向備長炭
その県内生産量約8割を占める美郷町で作られた炭は「宇納間備長炭」と呼ばれ、肌つやの良い見た目と火付きの良さから、全国からの指名が後を立ちません。

01 宇納間備長炭 1
02 宇納間備長炭 2

しかし炭焼き職人の高齢化が進み生産量は減少しています。
今回はそんな技術と伝統を守るため立ち上がった若者達の思いに迫りました。

この日行われていたのは、1,000℃以上に熱した窯から炭をかき出す窯出し。

03 辰野 宏視さん

  • 【話:辰野 宏視さん(64)】
    去年の暮れに窯に炭を入れて20日ぐらい焚いています。それが終わってから窯に火を付けて1週間程焚いて、今日ようやく窯出しという状態です。

1回の炭作りで窯に入れる原木(アラカシ)はおよそ8t
乾燥や炭化が行われ実際に炭として生産されるのは1割でおよそ800kg
1,000℃という熱に耐えながらの窯出しは丸2日かけて行われます。

  • 【話:辰野 宏視さん(64)】
    うちの場合はまだ手作業ですけど、他のところは機械化してもうちょっと楽にやっている所もあります。重労働ですね。あと何年やれるかな・・・

04 保存会メンバー

江戸時代から産業として栄えた美郷町の備長炭作りは最盛期の昭和初期には500基以上の窯があり、東京や京都の料亭などに出荷されてきました。
現在炭焼きを行うのはわずか29人。
伝統を次の世代に引き継ぐため発足されたのが「美郷町備長炭製炭技術保存会(会員29人のうち13人が移住者)」です。

保存会メンバーの一人、延岡市出身の清田幸輔さん(38)は、これまで地域に残っていた窯で炭を作っていましたが、移住して6年、自分の窯を作ることを決心しました。
昨年の9月末から4ヶ月に渡り、炭焼き窯も製作中です。
元々、陶芸の道に進んでいた清田さんでしたが、山仕事がしたい思い立ち、美郷町に移住しそこで出会ったのが炭焼きでした。

05 清田 幸輔さん

  • 【話:保存会メンバー 延岡市出身 清田 幸輔さん(38)】
    炭焼きを長くやりたいなと思ったので、それなら自分の窯を持ちたいなと思って、今回作らせてもらっています。炭焼きは美しいなと思いました。火に携わる仕事がしたかったので、これはいいなと思って始めました。やっぱり良い炭を焼きたいなと目標がはっきりしているので、それに向けて工夫したり、地元の人や経験者の話を聞いたり、まずは僕がやり続けたいなと思います。

06 辰野 宏視さん

  • 【話:辰野 宏視さん(64)】
    木は生きていますからね。ここまで育つのにも何十年も経っているから、命を切るみたいでちょっとかわいそうだなと思う。切りっぱなしでも30年後には同じ場所に炭の原木が育っている。

07 ひかりさん

宏視さんの娘のひかりさんは高校進学と同時に美郷町を出て、去年故郷に帰ってきました。
現在は父から炭焼きの仕事を学んでいます。

08 辰野 ひかりさん

  • 【話:辰野 ひかりさん(31)】
    15年ぶりに故郷に帰ってきました。
    小さい頃は全然炭焼きに興味がなくて、自分が炭焼きをしている姿も想像してなかったけど、仕事やプライベートで疲れてしまって、少し休もうと思って帰ってきたのがきっかけです。
    ここの窯にいると周りに山がたくさんあって、この空気だけですごく癒されていました。
    父が機敏に動いていて、ビックリでした。
    家のお父さんと全然違うので、頑張っているんだなと実感しています。
    機械の作業が難しそうだなとか、山に入るようになって伐採の難しさを知ったので、徐々に覚えていけたらいいなと思います。

慣れない山仕事を始めて半年、ある思いが芽生えてきました。

  • 【話:辰野 ひかりさん(31)】
    歴史がある仕事をさせていただいていると常に思っていて、保存会の人もだんだん年齢が上がってきているので、次の後継者が減っている現状をどうにかしたいという気持ちがあります。
    女性一人では難しい仕事ではあるので、保存会や地域の人と一緒に炭焼きを守っていきたい。

窯から出した炭は灰を被せて冷まし、15分後に灰の中から炭を取り出します。
窯出し中、ひかりさんは炭の選別を担当します。
父からの指導はありません。

技術と経験が必要な窯出し、その難しさ以外にも宏視さんがひかりさんに積極的には教えはしない理由がありました。

Q:ひかりさんが「炭焼きをやってみたい」と言った時どう思いましたか?

09 辰野 宏視さん

  • 【話:辰野 宏視さん(64)】
    やれるのかなって半信半疑ですね。収入面が安定してればいいけど、給与じゃないから、やっただけやから、食っていけるかなと心配はしています。炭焼きはできればずっと残していきたいですよね。大変な作業ですけど。

自分がやってきたからこそ分かる過酷さと収入面の心配から本当にやっていくことができるのか信じきれないでいる宏視さん。
父の思いを受け止めながらもひかりさんはその背中を追っていくと決めました。

  • 【話:辰野 ひかりさん(31)】
    炭焼きを元にやりたいことがたくさんあるけど、実現できるほど知識がない部分があるため、もうちょっと勉強が必要だなと思っています。

備長炭が希望の灯りになることを願っています。

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