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2026年10月26日

「体重が10kg以上減り、何度も吐血...」水回りや土から感染するNTM症 初期症状と対策(2026年10月24日放送)

結核を超える勢いで患者数が増加している呼吸器の感染症「NTM症(非結核性抗酸菌症)」。初期症状は風邪に似ており、経過が緩やかなことから見過ごされがちだが、進行すると肺機能が低下し、重篤な状態に陥ることもある。
女性を中心に注意が必要とされるこの疾患について、専門医の解説や実際の患者の声をもとに、その実態と感染リスクを減らすための対策を解説する。

結核を超える患者数、広がる「NTM症」

全国的に患者数が増加傾向にある呼吸器の感染症「NTM症(肺非結核性抗酸菌症)」。

01 罹患率の推移

患者数は2007年から2014年までの7年間で約2.6倍に増え、結核の患者数を上回っている。
さらに死亡者数も2000年代前半から徐々に増加し、2019年ごろを境に結核による死亡者数を超えた。

年代別ではほとんどの年代で女性の感染率が高く、特に60代や70代では女性が男性の2倍以上となっている。
9月には厚生労働省が早期受診を呼びかける啓発活動を行うなど、社会的な警戒感が高まっている。
しかし、街頭で話を聞くと、「聞いたことがない」「初めて知った」と答える人が多く、一般の認知度はまだ低いのが現状だ。

自然環境に潜む菌、人から人へは感染せず

NTM症を引き起こす病原体は結核菌に近い仲間の細菌だが、結核とは異なり人から人へ感染することはない。

02 峰松俊夫医師

  • 愛泉会宮崎医療福祉センター 峰松俊夫医師:
    NTMはもともと環境中にいる細菌で、よくいるところは水とか土壌とか埃とか、そういった自然環境にいます。そういったところからたまたま人の体内に入ってきて、それが原因で発症するのがNTM症。気管支拡張症や慢性閉塞性肺疾患を患っている人、過去に肺結核を経験した人は肺にNTMの細菌の塊ができやすく、発症リスクが高まります。

3人に1人は無症状

宮崎市にある「かいクリニック呼吸器内科」の飯干医師は、患者の増加を肌で感じている。

03 飯干宏俊医師

  • かいクリニック呼吸器内科 飯干宏俊医師:
    患者からNTM症についての問い合わせは度々あります。咳と痰が2週間以上続くのは、普通の風邪とは、急性期とは違うので、慢性的に2週間から4週間続くので、と来られる方が多いです。

04 NTM疾患者の症状とその割合

NTM症の初期症状は風邪と似ており、息切れ、胸の痛み、体のだるさ、37度台の微熱、血痰などがある。
しかし特筆すべきは無症状の人が多いことで、感染した人の34%、実に3人に1人は無症状というデータが出ている。

さらに、医師が警鐘を鳴らすのはその進行の遅さだ。

  • かいクリニック呼吸器内科 飯干宏俊医師:
    結核は数か月ごとに広がっていくけど、非結核性抗酸菌症は知らずのうちに10年、20年かかって感染していることが分かってきます。治療のタイミングが遅れると、肺の機能が落ちてしまいます。

05 レントゲン

  • 愛泉会宮崎医療福祉センター 峰松俊夫医師:
    肺の広い範囲が障害されて呼吸不全になると、低酸素血症や大量の吐血が起こったりします。二次感染を起こして入院や在宅酸素療法が必要になるケースもあります。

「頭が真っ白に...」診断された患者たちの現実

実際にNTM症と診断された人からは、戸惑いや苦しみの声が寄せられている。

  • 「5年くらい前に痰が増えて検査をしたらNTMでした。しばらく抗菌薬と去たん薬を服用しました。今は1年に1回胸のレントゲンとCTで経過を見ています」(50代女性)
  • 「先日なかなか咳が治らないと思い、近くの呼吸器内科でNTM症と診断されました。他人事と思っていた病気でしたが、いざ自身で診断されると頭が真っ白になりました」(40代男性)

また、長期の闘病生活に苦しむ深刻なケースもある。

  • 「私はNTM症を発症して10年以上となります。ひどいときは体重が10kg以上減り、何度も吐血していました。完治が難しく、薬の副作用か倦怠感と吐き気とふらつきで思うように動けません」(60代女性)

感染が疑われるチェックリストと治療方法

06 チェックリスト

NTM症に感染していないか、以下の項目で確認することができる。

  • 2週間から4週間、咳が続く
  • 胸のあたりが痛い
  • 血痰が出る
  • 体のだるい日が続く
  • 微熱がある
  • 過去にCT検査やレントゲンで異常を指摘されたことがある

当てはまるものが多いほど、感染している可能性がある。
もし検査で診断がついた場合でも、全員がすぐに薬を飲むわけではない。
症状や進行度合い、無症状かどうかに応じて判断され、治療を行う場合は約3種類の抗菌薬を約1年以上にわたって服用することになるという。

なお、近年の患者増加は菌の感染力が増したわけではなく、高齢化に伴い免疫力の低下しやすい「感染しやすい人」が増えたことが背景にある。

  • 愛泉会宮崎医療福祉センター 峰松俊夫医師:
    九州は全国の中でもNTMを意識すべき地域になっていると言っても間違いではないかなと思います。NTM自体が土壌に生息しているので、気温や湿度、降水量、水の環境、土壌の性質、そういった原因が菌の繁殖に大きく絡んでいると思っています。菌自体はどこにでもいるので、みんなが浴びる可能性があり、「予防」というよりも「感染しやすい人」をどうするかになってきていると思います。今後、注目していくべき疾患です。

07 感染予防

NTM症から身を守るためには、浴室や水回り、これから使用機会が増える加湿器などを清潔に保つことや、シャワーヘッドのぬめりを落とすことや、ガーデニングや土いじりの際にマスクを着用することが、感染リスクを減らすうえで重要となる。

菌自体は身の回りのどこにでも存在し、誰にでも感染する可能性がある。
咳や痰などの体調の変化が気になった場合には、決して放置せず、早めに呼吸器内科などの医療機関を受診することが求められる。

(テレビ宮崎)

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