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特集
2020年11月09日
変わる外食のカタチ コロナ禍で急拡大「デリバリサービス」(2020年11月07日放送)
今回は、コロナ化で大きく変化した外食の形についてお伝えします。
新型コロナウイルスの影響で外出自粛が続いたことから飲食店では大きな打撃を受けました。
そうした中で急速に拡大しているのがデリバリーサービスです。
出前の市場規模は年々、拡大を続けています。
宮崎市でも今年8月から、「Uber Eats」 「出前館」のサービスが始まりました。
現在は一部エリアのみの配達となっていますが、利用者にとって手軽にお店の味が楽しめるという一方で、飲食店にとっても新たな流通経路の獲得が売り上げ回復の大きな鍵を握っています。
コロナ禍で新たな顧客獲得に力を注ぐ県内の飲食店、そして企業を取材しました。
宮崎市吉村町に去年オープンしたレストラン、ペレスキッチン。
メキシコ人のオーナー、ペレス サンティアゴ ベルナルドさんが作る本格的なメキシコ料理がいただける人気のレストランです。
ペレスさんは、ニューヨークでシェフをしていた時に留学中だった由香理さんと出会い、結婚しました。
その後、由香理さんの故郷 宮崎へ移り住み、夫婦2人で店を始めました。
- 【話:杉本 由香理さん】
去年の9月にオープンしてから、お客さんは増えていたけど、新型コロナの流行で店内飲食の数は激減しました。
店内飲食だけでは売り上げの増加が厳しかったです。
お客さんから「持ち帰りはしないんですか?」と言われたことがきっかけで今年の3月から持ち帰りを始めました。
持ち帰りを始めて少しずつ注文は増えましたが「お店まで取りに行けない」「配達をしてほしい」との要望もあったと言います。
配達員を雇うことも難しく、悩んでいたところにデリバリーサービスを世界各国で展開する「Uber Eats」が宮崎でもサービスを始めることになりました。
アメリカ在留中よく利用していたこともあり、迷わず導入することを決めました。
- 【話:杉本 由香理さん】
「Uber Eats」からの注文は多い時で1日10件以上入ることもあります。
また、新規のお客さんが多く、「Uber Eats」を利用した方がお店に食べにきてくることも多くなったので嬉しく思います。
デリバリーの増加に加え、店を訪れる客も増え売り上げは以前と同程度まで回復してきました。
一方でデリバリーができるエリアは限られているため、ペレスキッチンでは更なる顧客獲得に向け、テイクアウトアプリを導入するなど、取り組みを広げています。
- 【話:杉本 由香理さん】
飲食店として厳しい年だったので自分たちのできることをしていきたいし、お客さんの幅を増やすとかお客さんがどういったものを求めているとか、そういうことを考えながら広げていけたのではないかと思います。
また、コロナ禍の逆境をビジネスチャンスと捉えてデリバリ市場に参入した企業もあります。県内で飲食業や運転代行業などを営む宮崎市のサンテル。
全国各地でデリバリーサービスを展開する「出前館」から委託を受け配達の代行業務を今年8月から請け負っています。
- 【話:サンテル 山本 貞輝社長】
当初始めた時は、宮崎の市場でデリバリー文化があるか懸念はかなりありました。
しかし、いざ始めてみるとかなり需要があって売り上げは右肩上がりで伸びています。
サンテルは自社でも複数の飲食店を経営しておりコロナ禍で大きく打撃を受けていました。
そして飲食とは別の部門でも深刻な影響がありました。
- 【話:サンテル 山本 貞輝社長】
運転代行業務も行なっているが夜のニシタチの客も急激に減り、代行スタッフの雇用を守るため何ができるか考え出前館の配達ができるのではないかということで始めました。
出前館の配達代行は運転代行の車とそのドライバーが担っています。
コロナ禍で空いたモノと人材をうまく活用し新たなビジネスへと転換させました。
- 【話:サンテル 山本 貞輝社長】
売り上げが減った分のある程度のカバーが見込めてきているということが嬉しい。
8割の戻りで雇用も守れているのでよかったです。
どの飲食店も売り上げが少ない中、どうやろうかと考えて、知恵を出してやっている中、弊社がデリバリーで少しでもお助けできればいいと思っています。
宮崎の個人店にもぜひ導入してほしいです。
サンテルでは現在の配達サービスのエリア外の飲食店からもデリバリーを始めたいという相談を受けていて年明けにも対象エリアを拡大する予定です。
<拡大を続けるデリバリーサービスを街の人はどのように利用しているのか>
- ウーバー利用者(10代)
コロナで外出できない時に使った
プラスされる金額があるけどその分頼むと楽だからいい - 出前館利用者(40代)
仕事で帰りが遅くて外に出るのも大変な時に利用した
待っている間にいろんなことができるので便利 - 利用経験なし(20代)
使ってみたいが自宅がサービスの範囲外 - 利用経験なし(40代)
料金的なものとかまだはっきり分からないので利用するまでに至っていない - ウーバー利用(70代)
今日も利用した
高齢者の方も助かるサービスだと思う
もう少しわかりやすくしないといけない。年寄りにもわかるようにしてほしい。 - 利用経験なし(60代)
自分でお店に取りに行く
興味はある、動けなくなった時に使う
利用者にとって便利なサービスであることに加え、実は配達員として働く側にもこれまでとは違った需要が生まれています。
- 【話:ウーバー配達員(歴 2カ月)】
副業でやっています。仕事がない時や空いた時間にやっています。
多い時はだいたい30件弱1日で周ります。
もともとはダイエット目的で始めたら意外と楽しかった。4キロ痩せました。
魅力は自分のやりたい時間にピンポイントでできること。1日30分でもいいのです。
自由な働き方ができる柔軟さからUber Eatsでは学生の他に会社員、主婦など様々な肩書を持った人が活躍しています。
一方で首都圏では配達中の事故や交通ルール違反などが度々問題になっていて、Uber Japanでは警察と連携し配達員に交通安全講習を行うなど事故防止に向けた取り組みを始めています。
コロナ禍で大きな転換期を迎えた外食産業。生き残りをかける店舗にとってこうした新たな販売チャネルの獲得が今後の大きな鍵となりそうです。
- <料理代行サービスの仕組み>
利用者→代行業者のアプリやサイトからメニューを選択 → お店に伝わる → 代行業者が配達員を手配
→ 配達員が飲食業店に取りに行く → 注文者に届く - <料金の流れ>
注文者が代行業者に飲食代、配達料等を払う → 代行業者は飲食店に料理代を払う
→ 飲食店は代行業者に手数料を支払う → 配達員はその配達に応じた報酬を代行業者から受け取る
まだまだサービスのエリアが限られていますが、今後更に広がっていけば飲食店、そして利用する私たちにとってもメリットや選択肢が広がることが期待できそうです。