番組表
「市民と話すのが怖い」カスハラ対策義務化 弁護士に聞く、正当な苦情とカスハラの境界線は?
2026年11月04日

客からの理不尽な要求や暴言といった「カスタマーハラスメント(カスハラ)」対策が、10月から企業などの法律上の義務となった。宮崎市内の飲食店や行政でも深刻な被害が表面化する中、働く人を守るための具体的な対策や、正当な苦情との境界線について専門家に聞いた。
【動画】10人に1人は被害を経験 カスハラ10月から対策義務化 県内の飲食店や行政の取り組み
深刻化するカスハラ被害の実態
厚生労働省が2023年に実施した調査によると、働く人の約10人に1人がカスハラ被害を経験しており、被害が原因となった休職や離職が深刻化している。
そこで、厚生労働省は企業などに対し、カスハラ対応の基本方針の明確化や相談窓口の設置などを義務付ける方針を定めた。
宮崎市の繁華街を中心に居酒屋など7店舗を展開するコンフォートダイナーでは、酒に酔った客が店員を30分以上にわたって拘束する事案や、従業員のミスに対して過度な要求を受けるカスハラが発生していた。

コンフォートダイナー 竹井倫世副社長:
弁償するということは当然だが、高級な店舗での購入を依頼されたり、高額な必要以上のクリーニング代の請求をされたりした。また、カスハラが起こるとスタッフが萎縮して退職につながるケースが多々見受けられる。
コンフォートダイナーでは、対策としてマニュアルを作成し、役員や提携する保険会社を相談窓口にするなど対策をとっている。
コンフォートダイナー 竹井倫世副社長:
お店はお店でミスをしないような対策をしながら、法律にのっとって毅然と対応することが必要かなと思う。
自治体でも進む職員保護の条例化
対策の義務化は自治体にも求められている。

宮崎市が2025年に職員約2800人を対象に実施した調査では、16.5%がカスハラ被害を受けたと回答した。このうち「市民と話すのが怖くなった」と答えた職員が150人以上にのぼった。

こうした事態を受け、宮崎市は2025年8月に対応マニュアルを策定、2026年4月に「ハラスメント防止条例」を施行して市長に対策を義務付けるなど、職員を保護する制度を整えた。

宮崎市総務法制課 佐伯賢宏主査:
カスハラ対策をしたことで、1人で対応するわけではなく組織で対応するという意識が定着してきている。まずは職員個人を守る。職員を守ることで円滑な行政サービスの提供、市民サービスが低下しないように努めていきたい。
法的義務化と企業が負うリスク
今回の法改正に基づくカスハラ対策について、県内外で法律事務所を運営する髙山桂弁護士は、単なる努力目標ではなく全事業主に課せられる法律上の義務であると指摘する。

髙山弁護士:
義務を怠った結果として労働者が精神的な不調に陥った場合、企業は安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求を従業員から受けるリスクがある。企業に求められる具体策としては、「会社方針の明確化」「カスハラ判断基準の明確化」「相談窓口の周知」などがある。
消費者が購入した商品やサービスに不備があった際、適切な対応を求める行為は法律上認められた正当な権利だ。
正当な苦情とカスハラの境目はどこにあるのだろうか?
髙山弁護士は、大声を出す行為、土下座の強要、不当な金銭賠償の要求など、手段や方法、内容を誤った場合はカスハラに該当すると注意を促す。
健全な職場環境を維持するため、企業側には明確な基準に基づいた毅然たる対応態勢の確立が求められている。










