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緑のゲレンデを滑走する「グラススキージュニア世界選手権」に挑む兄弟の絆

2026年10月16日

国内で25年ぶり、宮崎県内では初となる「グラススキー・ジュニア世界選手権」が国富町の法華嶽公園で開催された。キャタピラ式の道具を足に装着し、緑の斜面を滑走するグラススキー。今大会には日本代表として井上遼・斗真兄弟が揃って出場した。吹奏楽部との両立を経て代表をつかんだ兄・遼選手と、全日本選手権ジュニアの部で優勝の実績を持つ弟・斗真選手。スキー一家に育った兄弟の挑戦と、世界舞台での奮闘を追った。

緑のゲレンデを滑り降りるスポーツ

1960年代にドイツで誕生した"グラススキー"は、キャタピラ式で動く道具を足につけて緑の斜面を滑り降りるスポーツだ。冬のアルペンスキーのシーズンオフ、暖かい季節のトレーニングとしてヨーロッパを中心に世界へ広がった。

そのジュニア世代の世界大会が、国内で25年ぶり、宮崎県では初めて国富町の法華嶽公園で開催された。

夏の暑さが残る9月下旬、美しい緑のゲレンデで本格的な練習に励んでいたのは、九州唯一のグラススキーチーム「宮崎レーシング」。小学生から大人まで約20人が所属し、法華嶽公園を拠点に活動している。

スキー一家に育った井上兄弟

このクラブに所属する兄弟、井上遼選手(19)と弟・斗真選手(16)が、兄弟そろって「グラススキー・ジュニア世界選手権」に出場した。

2人は祖父の代からグラススキーに親しんできたスキー一家に生まれ、父・功さんがコーチを務める環境のもとで技術を磨いてきた。

弟の斗真選手は、アルペンスキーのシーズンオフの練習として幼少期からグラススキーを始め、去年の全日本選手権ジュニアの部で優勝。さらに3年前にも世界大会出場経験がある、ジュニア世代の国内トップレベルの実力者だ。

弟・井上斗真さん:
目標は世界選手権で海外の選手に勝つことです。初めて兄弟で出る世界大会なので、頑張ります!

3つ年上の兄・遼選手は、斗真選手と同じく幼少期にグラススキーを始めたが、中学・高校時代は学校の吹奏楽部で活動。二足のわらじを履いて努力を重ねてきた。

宮崎レーシング代表/父 井上功さん:
兄弟の祖父が九州にグラススキーを持ち込んだ人で、自分も大会に出たりしていたので、子供にもやらせようと思った。(兄・遼選手は)高校の時はよく両立していたなと思う。吹奏楽部が休みのときだけ練習していたので、練習量に関しては斗真より少ない中でここまで技術を伸ばしてきたのはすごいなと思う。

兄・井上遼さん:
弟の斗真は中学2年生から世界大会に出ているので、自分の中で弟は憧れでもある。そんな斗真と一緒に世界大会に出ることができて嬉しい。斗真はおもしろくて、本当に悪ガキだけど、スキーに対してはすごく真剣にやっているので、その滑りを見ていてかっこいいと思う。日本代表として恥じないような滑りをしていきたい。そして、斗真と一緒に少しでも上に行けるように頑張っていきたいと思う。

弟・井上斗真さん:
お兄ちゃんも選ばれて嬉しかった。ちゃんと気合いを入れてやっていきたいなと思う。

世界の強豪との熱戦

世界各国の16歳から21歳の選手が出場する「グラススキー・ジュニア世界選手権(10/1~10/5)」。

今大会には4種目に7か国(チェコ・ロシア・イタリア・オーストリア・スロバキア・台湾・日本)から約50人が出場し、日本からも7人の選手がエントリーした。

大会初日、最初に行われた競技は「大回転(GS)」。グラススキー場の頂上からスタートし、左右に並んだ赤と青の旗間をターンしタイムを競う。体の大きな海外選手がパワーとテクニックで次々と好タイムをマーク。

初めての世界大会に「緊張がものすごい」と話していた兄の遼選手が順調な滑り出しを見せるも、カーブで板がロックして激しく転倒しリタイアとなった。

兄・井上遼さん:
やらかしました。こけた。滑っていて板がロックしちゃって・・・壊れて、前方に転倒した。怪我はないです。大丈夫です。

一方、弟の斗真選手は・・・

目標としていた6位入賞には届かなかったものの、日本人トップとなる12位で初日の競技を終えた。

2種目目の「スーパー大回転(SG)」は、ターンするポールの間隔が広く数も少ないため、より高速でのレースとなる。

初日に転倒した遼選手は、目標である完走を目指してスタート。

最後まで見事に滑りきり、兄弟そろって結果を残すことができた。

14位 井上斗真 26.9422位 井上遼 29.59

4日間続いたトップアスリートたちの熱い戦いは人々の心に大きな感動を与え、新たな歴史を刻んだ。

兄・井上遼さん:
初めての世界大会で、いろんな国の人たちと一緒に競って、とても貴重な経験をさせていただけました。

弟・井上斗真さん:
やりきったのもあるし、まだまだ実力が足りてないなっていうこともありました。まだあと5年あるので、世界チャンピオンを目指して、日頃の練習も欠かさずちゃんと頑張ってやりたいと思います。

雪のスキーとは異なり、気候を問わず豊かな緑の中で楽しめるグラススキー。世界という高い壁に挑んだ悔しさと経験を糧に、さらなる高みを目指す井上兄弟の未来から、これからも目が離せない。

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