番組表
知られざる「公務員獣医師」の仕事 食肉の安全から動物愛護まで...全国的に人手不足
2026年09月22日

動物愛護センターや食肉衛生検査所などで働く「公務員獣医師」の人手不足が全国的に深刻化している。背景には、認知度の低さや民間との待遇差が存在する。宮崎県内でも今年度の採用数が予定枠を下回るなど厳しい情勢が続くなか、県は初任給調整手当の増額や修学資金制度、中学生段階からのキャリア普及など、人材確保に向けた多角的な取り組みを開始した。地域産業と暮らしを支える現場の最前線と対策の現場を取材した。
【動画】人手不足が課題となる公務員獣医師 宮崎県による人材確保の取り組み
多岐にわたる現場の仕事 食肉検査から動物愛護まで
公務員獣医師の果たす役割は極めて幅広く、地域の安全と健康に直結している。

県の都農食肉衛生検査所の獣医師・指宿明星さんは、管轄する食肉処理施設で枝肉の汚染リスクを点検するなど、食肉の安全性を厳格に審査している。
都農食肉衛生検査所は、ミヤチク都農工場をはじめ、イスラム圏に牛肉の輸出を行うSEミート宮崎など、5つの牛・豚・鶏の食肉処理施設を管轄。現在37人の獣医師が勤務しており、食肉処理施設に出向き、食の安全を守るために点検や指導を行っている。

県都農食肉衛生検査所 指宿明星主査:
私たちが管轄している施設は輸出認定を取得しているので、海外の基準に合わせた高いレベルの衛生管理が求められていて、それに対して努力していくところはすごく面白いところかなと思う。

一方、みやざき動物愛護センターで働く井上日湧河さんは、保護された犬や猫の治療・健康管理、譲渡活動を担当する。さらに小学生に向けた「いのちの教育」などを通して、動物を大切にする心を育んでいる。
県動物愛護センター 井上日湧河技師:
獣医というと動物を助けるイメージが強いが、公務員であれば人と動物の両方の健康や安心のために働ける。
認知度の低さと待遇差 採用枠を下回る厳しい現状
こうした地域に密着した重要な職務であるにもかかわらず、公務員獣医師の確保は難航している。
2024年の全国の獣医師の就業状況は、47.2%が動物病院などの臨床現場に従事する一方、都道府県職員としての勤務者は17.4%にとどまる。
宮崎県においても、今年度の採用予定人数15人に対して入庁者は9人となり、厳しい状況が続いている。

県動物愛護センター 井上日湧河技師:
獣医になる方は臨床(動物病院)のイメージを強く持たれている方が多いと思う。公務員という選択があることを知ってもらうのはとても重要なことだと思う。
民間との給与差も指摘されており、県は具体的な処遇改善に着手。初任給調整手当を月額7万円へと引き上げた。
また、高校生向けに開催していた県獣医師ガイダンスは、2024年から対象を中学生にも拡大。さらに昨年度からは修学資金を貸与し、卒業後に県の職員として働くことで返還を免除する「修学資金・地域枠制度」を導入した。
地域枠で入学した大学生は...

宮崎大学農学部1年 岩田麻生さん:
まずは第一に宮崎県を支えるということをベースにしつつ、もっと宮崎県の魅力を高めていけるように、より高みを目指せる人材になっていきたい。
産業や人と動物の健やかな暮らしを守る公務員獣医師。口蹄疫や鳥インフルエンザといった家畜伝染病のリスクと隣り合わせの畜産王国・宮崎県において、公務員獣医師のマンパワー確保は命題だ。行政・教育機関が一体となった人材育成の取り組みは、今後も加速していく。










