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【処方薬の負担増】先発医薬品を選ぶと「特別の料金」が発生 背景には46兆円を超える医療費

2026年07月16日

2026年6月から、病院で処方される先発医薬品を選択した際の自己負担額が引き上げられた。
背景には、年間46兆円を超える規模まで膨れ上がった日本の医療費問題がある。
国は安価なジェネリック医薬品(後発医薬品)の普及を促すことで、医療保険制度の維持を図る構えだ。
制度の仕組みや負担額の変化、負担増の対象外となるケースについて、薬剤師の知見を交えて解説する。

【動画】【処方薬の負担増】先発医薬品を選ぶと「特別の料金」が発生 背景には46兆円を超える医療費

先発薬とジェネリック

病院で診察を受けた際に医師から処方される医療用医薬品には、先発医薬品とジェネリック医薬品(後発医薬品)の2種類が存在する。

01 医療用医薬品

先発医薬品には「新薬」も含まれ、開発には基礎研究や非臨床試験、臨床試験、承認申請、審査などを経て販売に至る。
開発期間は9年~17年と長い年月を要いし、価格が高くなる傾向にある。

先発医薬品には一定期間「特許」があるが、その特許が切れた後に同じ有効成分を同じ量含有し開発した薬がジェネリック医薬品だ。
基礎研究などの過程を簡略化でき、開発期間は3年~5年と短いため、先発医薬品と比べて安価になる傾向だ。

医療費抑制が制度の狙い

2026年6月から始まった新制度では、患者が先発医薬品を希望した場合に、薬局で支払う自己負担額が増加することとなった。
県薬剤師会の常務理事を務める井上尚彦さんは、制度導入の背景には膨らみ続ける医療費の問題があるという。

02 県薬剤師会 井上尚彦常務理事

  • 県薬剤師会 井上尚彦常務理事:
    年間に日本全体で結構な額の医療費がある。薬剤料を削減することで医療費全体を削減していく。国民皆保険を守っていきたいというのが大きな狙い。

03 医療費と薬剤費に推移

私たちが医療を受けた場合、医療費の1~3割が自己負担、7割~9割が公的医療保険によって賄われている。
2022年度の医療費は約46.7兆円に達し、そのうち薬剤費は約9.9兆円と全体の約20%を占めている。

今回の制度は、高齢化が進み医療費が増加の一途をたどる中、薬剤費を減らすことで医療費全体を抑えることを狙いとしている。

なぜ、先発医薬品の自己負担を増やすことが医療費を抑えることになるのだろうか。

  • 県薬剤師会 井上尚彦常務理事:
    薬の値段が先発医薬品とジェネリック医薬品で差額が生じている。ジェネリック医薬品を促進することによって薬剤料を抑えて医療費全体を圧縮していく。

同じ有効成分の医薬品の場合、ジェネリック医薬品よりも先発医薬品の方が高額になるため、公的医療保険から賄われる医療費も高くなる。
国は先発医薬品の自己負担を増やし、安価なジェネリック医薬品の利用を促すことで、医療保険財政の改善を図るものだ。

窓口負担額の変化

実際、自己負担額はどれくらいの差になるのだろうか。

(先発医薬品-ジェネリック医薬品)×1/2+消費税=「特別の料金」

具体的な負担増の仕組みは、先発医薬品とジェネリック医薬品の価格差の2分の1に、消費税を加算した分が「特別の料金」として上乗せされるというものだ。

04 医療用医薬品自己負担イメージ

例えば、有効成分が同じ2000円の先発医薬品と1000円のジェネリック医薬品を比較した場合、差額1000円の2分の1である500円に消費税を加えた額が「特別の料金」となり上乗せされる。
自己負担が3割の患者であれば、最終的な支払額はジェネリック医薬品が300円であるのに対し、先発医薬品は1150円となる。

05 先発医薬品とジェネリック医薬品の比較

先発医薬品「ヒルドイドソフト軟膏(25g)275円」ジェネリック医薬品「ヘパリン類似物質油性クリーム (25g)47円」を例にとると、先発医薬品を選択した場合、窓口での支払額は約220円増加する計算になる。

ジェネリック医薬品に対して「見た目が違う」「効果に不安がある」といった声もあるが、井上さんは、同薬局でのジェネリック利用率は数量ベースで約91%に達しており、治療において大きな差は見られないと話す。

  • 県薬剤師会 井上尚彦常務理事:
    この制度の目指しているところはジェネリック医薬品の更なる利用促進。もちろん患者様が窓口で支払う料金も安くなる。これを機会にジェネリック医薬品の使用を検討してほしい。

安価な薬を選択することは、物価高に直面する家計の助けにもつながる。

負担増の対象外となる場合

先発医薬品を選択してもすべてのケースで負担が増えるわけではない。

06 特別の料金がかからないケース

以下の条件に該当する場合は、先発医薬品を選択しても「特別の料金」はかからない。

  • 効能・効果に差異があり、先発医薬品を処方する必要がある
  • 副作用や他剤との飲み合わせによる相互作用の懸念がある場合
  • 学会が作成しているガイドラインにおいて、後発医薬品へ切り替えないことを推奨している。
  • ジェネリック医薬品の形状では服用が困難な場合
  • 薬局にジェネリック医薬品の在庫がない場合

患者一人一人が薬の特性と制度を正しく理解し、自身の状況に合わせて選択することが重要となる。
不明な点がある場合は、かかりつけの薬局や薬剤師に相談を。

(テレビ宮崎)

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