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ガソリン90円台から180円台まで 乱高下に翻弄された「あの1年」【榎木田朱美の宮崎アーカイブ・2008年】
2026年05月30日

テレビ宮崎の榎木田朱美社長がアナウンサー時代に手掛けた取材とアーカイブ素材から、「今」につながる様々な出来事をひもとく特別企画。今回は2008年の「ガソリン価格の乱高下」を振り返ります。
【動画】ガソリン90円台から180円台まで 乱高下に翻弄された「あの1年」【榎木田朱美の宮崎アーカイブ・2008年】

今から18年前の2008年。この年ほど、宮崎県民が「ガソリン価格」に一喜一憂し、翻弄された1年はなかったのではないでしょうか。政治の「ねじれ」による暫定税率の失効と復活、そして原油高騰から一転しての低価格競争。車が生活に欠かせない宮崎において、給油所の看板に掲げられた数字は、死活問題に直結していました。(2008年4月~12月放送)
4月:暫定税率失効による「値下げ」
2008年春、日本中が「ねじれ国会」の余波に揺れていました。ガソリン税の暫定税率が期限切れを迎え、4月1日から全国でガソリン価格が一時的に引き下げられたのです。当時の価格は120円台。今では考えられない安値です。

暫定税率の期限が切れると、県内のガソリンスタンドでは値下げが始まり、宮崎市内では「値下げ競争」にまで発展しました。

榎木田朱美アナ(当時):
今、まさにガソリンの価格が変わろうとしています。表示価格が122円から121円に下がりました。(2008年4月3日のリポート)

あるガソリンスタンドの店長は、「宮崎市内は競争が激しく、他店の状況を見ながら価格を下げざるを得ない」と話していました。1日に最低3回は他店の価格をチェックして回り、1円の差にしのぎを削っていました。「キャンペーン中だと思って、赤字覚悟でやらせていただいています」とのこと。値下げすれば赤字、維持すれば客が離れる。ガソリンスタンドは悲鳴を上げている状態でした。
5月:税率復活、駆け込みの夜
しかし、この値下げは長くは続きませんでした。道路特定財源の暫定税率をめぐる関連法案が衆議院で再可決されると、5月から再びガソリン価格が引き上げられました。

値上げ幅は、暫定税率分の25円と石油元売り価格の価格改定分5円分を合わせた30円程度。値上げ前夜には、「駆け込み給油」による混乱が発生しました。
午後8時すぎ、幹線道路沿いのガソリンスタンドは、給油を待つ車で大渋滞となっていました。翌日からの値上げを前に、市民が殺到したのです。

一夜明けて33円の値上げとなったスタンドでは、客足が途絶える事態となりました。
ガソリンスタンドの店長:
開店休業状態ですね。昨夜の閉店間際には在庫も売り切れました。混乱、混乱で、どうしていいか分からない1か月でした。
利用者からは、「昨日入れておけばよかった。1日違いでこんなに差が出るのは頭にきます。国には庶民の立場に立って考えてほしい」などの声が聞かれました。
7月:原油価格高騰でさらなる値上げ
混乱にさらに拍車をかけたのが、原油価格の高騰です。7月に入り、一部のガソリンスタンドでは、レギュラー価格が182円に達する店も現れました。

こうした動きは県内のガソリンスタンド、特に小規模店の経営を圧迫し、廃業が相次ぐこととなりました。この年、県内で4月から7月までに廃業・閉鎖したスタンドは15軒。前年の1年間の件数に迫る勢いでした。
小規模店の経営者:
大手との値下げ競争にはついていけない。不安だらけです。もう、先が見えません。
一転して値下げ競争、100円を切る店も
県内のガソリン価格は8月上旬に184円という最高値を記録しましたが、その後は原油価格の下落や円高により、一転して値下がりが続きました。約20週にわたって毎週、価格が下がり、11月中旬には132円、12月に入ると120円台にまで下落しました。

宮崎市のガソリンスタンドでは、価格競争が激化し、ついには100円を切る店舗も現れました。8月の最高値184円を付けたことが嘘のような状況です。
利用者:
100円を切るとだいぶ違いますね。毎日200キロ走るから助かります。でも、極端すぎますよね。また上がるんじゃないかと不安になります。
利用者にとっては歓迎すべきことでしたが、販売側にとっては死活問題です。石油情報センターでは、「異常に下がりすぎ」と指摘し、スタンドの厳しい経営状況を危惧していました。
2008年度のガソリン価格は130円で始まり、184円の最高値を付けた後、109円で終わりました。価格差は実に75円。まさに乱高下の1年間でした。
榎木田社長の回想:
当時、ずっと「ガソリン価格」を追いかけていたことをよく覚えています。本当に、スタッフみんなでパトロールしていましたね。

「価格表示を変える瞬間を撮影したい!」と思ってガソリンスタンドに聞いても、「いつ変えるかはわかりませんので」と言われ、ずっと周辺でスタンバイしていたり。「夜討ち朝駆け」でスタンドに電話して、「きょうはどうですかねー?」と聞いて、下がりそうだと感じたら、「よし、撮影に行こう!」とか。

逆に「明日からグッと上がるらしい」と聞いて、ニュースが終わって夜に取材に出てみると、車が渋滞していたり。取材車を遠くに止めてカメラスタッフとトコトコあるいてインタビューに行きましたね。価格が下がるときは答えてくれるんですが、上がるときはみなさん怒っているから、なかなか答えてくれませんでした。「仕方ないから入れなきゃ」とか、「何リットルで」と刻んで給油しているとか、切実な声を聞いたことをよく覚えています。

消費者ももちろんなのですが、ガソリンスタンドの経営者のみなさんは、先が見えない乱高下で経営上の不安が大きくなっていて。このころまだセルフ式のスタンドはそんなに多くなかったと思いますが、この時期から人件費など様々な形で考えられて、セルフ式がどんどん増えていった記憶があります。

ニュースキャスター時代は、世界の経済事情を見ながら、「宮崎はどうだろう?」と落とし込んで考えることを常に心掛けていました。ガソリン価格に影響が出ると、やはり宮崎は車社会で農業県なので、本当に皆さんの生活に直結する問題になるので、すぐに取材しようと動いていましたね。
2026年: 現在もガソリン価格に翻弄される日々
2026年現在も、私たちはガソリン価格に翻弄されています。2025年末で暫定税率が廃止され、ここ数年180円前後に高止まりしていたガソリン価格は、1月に入ると161円まで値下がりした。ところがその後、中東情勢の緊迫化により世界情勢が不安定になると、3月には一気に史上最高値の194円まで急騰しました。現在は政府の補助金などで170円台に抑えられているものの、車社会の宮崎にとって、エネルギー価格は常に生活を左右する大きな懸念事項となっています。

2008年のあの喧騒は、単なる過去の出来事ではなく、現在の中東情勢やエネルギー自給の課題と地続きの教訓です。「1円」の重みを知っているからこそ、私たちはエネルギーの未来について、より切実に、より真剣に向き合わなければならないのかもしれません。











