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南海トラフ新想定 宮崎県の死者数4,000人減少も「避難に高いハードル」専門家が解説

2026年03月08日

宮崎県は南海トラフ巨大地震が発生した際の県独自の新たな被害想定を明らかにした。前回2020年の想定と比較して死者数は約4,000人減少したが、これは「早期避難率の向上」が主な要因である。しかし、実際の避難行動には多くの課題が存在するという。宮崎公立大学で地震の研究をしている山下裕亮准教授と、被害想定について考える。

【動画】みんなと防災 南海トラフ巨大地震 県独自の新たな被害想定とは

南海トラフ新想定、死者数約1万1,000人に減少

宮崎県は南海トラフ巨大地震の新たな被害想定を明らかにした。

 2026年の新たな被害想定と、前回2020年を比較してみる。

2020年の被害想定 → 2026年の被害想定
死者数 約1万5000人 → 約1万1000人
負傷者数 約2万人 → 約2万人
建物被害(全壊棟数) 約8万棟 → 約8万2000棟
避難者数(最大)約37万人 → 約43万4000人
災害関連死者数 想定なし → 約1,700人~3,500人

この新たな想定で最も注目すべき点は、死者数が前回の2020年想定の約1万5,000人から約1万1,000人に減少したことだ。

 山下准教授はこの減少要因として「早期避難率の向上」が挙げられると分析。

早期避難率とは

「早期避難率」とは、地震が発生してからすぐに避難する住民の割合を示したものだ。県では「早期避難率」が仮に20%だと死者数は約2万1000人に増え、逆に「早期避難率」が70%に上がると死者数は約5400人に留まるとしている。

 前回2020年の調査では「早期避難率」は55.5%だったのに対し、今回は59.3%で+3.8ポイント上がっている。(今回の59.3%は2024年度に実施した県民の意識調査の結果をベースにしている)

 「早期避難率」を上げることが非常に重要であるが、山下准教授はその定義の厳しさを指摘する。

宮崎公立大学 山下裕亮准教授
早期避難率とは「すぐに避難する住民の割合」だが、この「すぐに」というのがポイントで、地震発生の揺れが収まってからではなく地震が起こったその瞬間から、昼間なら5分語、夜間なら10分後に避難を開始するということ。ただ、これが現実問題として本当に早く逃げられるかどうか、これはまた別問題。

現実の避難行動に潜む困難

県民の早期避難への意識は高まっているものの、実際に短時間で避難行動に移れるかについては別の課題がある。

山下准教授によると、大きな地震は長く揺れるため、逃げる時間が少なくなるという。

宮崎公立大学 山下裕亮准教授
実際に揺れている時間は、東日本大震災では3分ぐらい揺れていたが、南海トラフ地震でも同じぐらい揺れると想定されている。昼間だと、実際2分ぐらいしか早期避難の時間がないということになる。また、それだけ長い揺れが続くと、家の中がどのような状態になっているのかも分からない。家具が倒れたり、ガラスが割れたり、夜間だとこれに停電が加わる。実際の早期避難はかなりハードルが高い。そのため、住宅の耐震化や家具の固定といった事前の対策が極めて重要。

災害関連死対策と備蓄場所の見直し

今回の新たな想定では、「災害関連死者数」が初めて示され、約1700人~3500人となっている。津波や地震の揺れから命を守った後、避難生活でどう命をつないでいくかということも考えていく必要がある。

 山下准教授は「備蓄については津波浸水エリアに住む場合、自宅に備蓄しても流されてしまい利用できない可能性があるため、自宅だけでなく、避難先やより安全な場所に備蓄を分散させるなど、考え方の転換が必要」と話す。

南海トラフ巨大地震は、今後30年以内に60%から90%以上の確率で発生すると予測されている。もし明日起きたとして、自分の命、そして大切な家族の命を守る事ができるのか、改めて考えていきたい。

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