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「珈琲画家」セピア色で描く「悲壮美」 水彩絵の具などにコーヒーを混ぜて幻想的な世界観を描き出す コロナ禍で思春期をすごした作者が向き合う思いと憧れ

2026年01月19日

宮崎市出身の珈琲画家、松本心音さん(21)が、地元宮崎市で初の個展を開催した。松本さんはコーヒー特有の風合いを活かした「珈琲染め」の手法を用い、幻想的な世界観を描き出す新進気鋭の作家だ。独自の感性で紡がれる物語の魅力を探る。

コーヒーの色彩で描く懐かしさと奥行き

セピア色の温かみと、細部まで描き込まれた繊細なタッチ。

宮崎市の「ギャラリー石蔵」で開かれた個展。会場には、コーヒーを画材として用いた独特の作品が並ぶ。

作者の松本心音さんは東京を拠点に、珈琲染めを利用して絵を描く「珈琲画家」として活動している。松本さんは「古びた本や昔読んだ絵本のような、懐かしい感じを表現できるのが珈琲の良さ」と話す。

個展のテーマは「譚(はなし)」。

松本心音さん:
作家1年目として上京し、歩んできた「冒険談」みたいな感じで、東京でこれだけ成長したということを宮崎の人に見ていただきたいという思いを込めて「譚」というタイトルにした。

会場には、絵画・立体アートなど約40点が展示された。

作品には引き込まれるような奥行きがあり、レトロな雰囲気が漂う。

 自分らしさを求めて辿り着いた独自の技法

コーヒーを使ってどのように描いているだろうか?制作工程では、まずコーヒーを使用して下地を作る。意図する模様を作るため、ドライヤーで液体を動かしながら乾かしていくことも。

その上に、太さの異なるミリペンを使い分け、下書きをせずに直感的に描き込んでいく。

色は水彩絵の具などにコーヒーを混ぜて、色の深みを表現する。

松本さんがこの技法に辿り着いた背景には、表現者としての葛藤があった。

宮崎市内の高校で芸術学科に在籍していた際、周囲と比較して「自分らしさがない」という悩みに直面。そのとき、先生に「コーヒーで描いてみたら?」ときっかけをもらった。

当時、コーヒーを使って描いた初めての絵が絵画コンテストでグランプリを獲得。それから全ての絵にコーヒーを使うようになった。

高校卒業後、専門学校でファッションを学びながら、珈琲画家としての活動を継続。

松本さんの作品の中には、人物が身に付けているリボンや衣服に、彼女のデザイン画の世界観が反映されているものも多い。

捨てられない豆に宿る思い

専門学校時代にはこだわりの珈琲豆との出会いもあった。

使用しているのは、北海道小樽市の「小石珈琲」の豆だ。「客には出せないが、思い入れが詰まった豆なので捨てられない」という店主の話を聞き、松本さんがその豆を絵として活用したいと直接交渉したことで実現した。

作品の軸「悲壮美」

作品にはどこか悲しさを感じる表情の少女や、繊細に描写された蝶が多く描かれている。

松本心音さん:
「悲壮美」という言葉を軸に制作をしている。コロナ禍で思春期の人格が成形されていく時期に、人と会わないとか、そういう悲壮感あふれる気持ちこそ向き合っていかないといけないなとすごく感じている。まだ成熟していない少女だったり、自分にとっては憧れとかロマンの象徴が「蝶」。

タイトル「月下」。満月の夜、月下美人が咲いている瞬間に赤ちゃんが泣き出し、蝶はさなぎから羽化して飛んでいく。現実を見たくない苦しさと胸の中にある理想、そのギャップから生まれる悲壮感を満月の夜の美しさとともに届けたいと描かれた作品。

2026年の干支「馬」にちなんで描いた作品「おとどけもの」。言葉にならない思いや祈りは、誰かに渡したかった気持ちそのもの。その思いを少女と馬がやさしさとともに届けていく。

珈琲とファッションの融合

松本さんは専門学校卒業後に自身のブランド「Shinon Matsumoto」を立ち上げ、絵画だけでなくアパレルなどファッション分野でも活動してる。

松本心音さん:
絵とコンセプトは同じで、ちょっとロマンティックな感じの中にある美しさみたいなものをベースにしている。

個展の会場となった・ギャラリー石蔵の徳丸さんは作品について「人物の表情がとても魅力的だが、その人物が身に着けているリボンやアクセサリーなどにも彼女の世界観が反映されていて、ファッションが好きな人も楽しめる」と話す。

アーティストの道を歩み始めた2025年。松本さんは「社会人として何を伝えていけたらいいかとすごく考えた。学生はなんだかんだで守られているが、1人でやっていくとこうことに不安があった」と話す。

それでもたくさんの縁に恵まれ、その一つ一つの出会いを大切にしながら、様々なことに挑戦することができたと振り返る松本さん。

松本心音さん:
2026年は、自分が経験してきたことを大事に、去年の縁や出会った人たちを大切にしながら、人の、触れられないけど、心には触れるような作品を制作していきたい。

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