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「輸送力維持」と「働き方改革」どう両立する?トラックドライバーの労働時間規制 4年後には輸送力34%不足の予測も...フェリー活用や機械化で進む現場の対策を取材した

2026年01月15日

物流業界で2024年から施行されたトラックドライバーの時間外労働制限。働き方がかわる一方で、懸念されるのが輸送力の低下だ。農畜産物の輸送を支える宮崎県のマキタ運輸では、「輸送力の維持」と「働き方改革」の両立に向けた取り組みが加速している。

【動画】トラックドライバーの労働時間規制 4年後には輸送力34%不足の予測も...フェリー活用や機械化で進む現場の対策

繁忙期を迎える現場の最前線

2025年12月20日、都城市にある運送会社・マキタ運輸では、年末年始の需要増に向けた積み込みや荷下ろしが行われていた。

マキタ運輸では約200人のドライバーが、宮崎県内の農畜産物や乳製品を関東・関西方面へ輸送している。

取材した12月20日、ドライバーの一人、葉山拓朗さんは、都城~東京の往復を5泊6日の行程で終えたばかりだった。

前日19日の午後5時に北九州市の門司港を出発し、福岡市の営業所で荷下ろしと積み込み。その後、休憩を挟みながら翌朝8時ごろに都城市まで帰ってきた。

休むときはトラックの座席後ろのスペースにある少し狭い寝台で眠る。葉山さんは「一番長く過ごす場所であり、家のような愛着がある」と話す。

2030年に輸送力34%不足の懸念

農林水産省の統計によれば、日本の農産物や食品輸送の96.5%をトラックが占めている。

マキタ運輸の社長であり、宮崎県トラック協会の会長も務める牧田信良さんは、かつて一部の企業が無制限の時間外勤務などを行い、ドライバーも賃金を求めて無理な運行を続けていた過去を振り返る。

こうした状況を是正しようと、2024年4月からドライバーの時間外労働上限が年間960時間に制限され、原則1日9時間の休息などが設けられた。

働き方が変わる一方で、懸念されるのは輸送力の低下だ。

国土交通省の予測では、対策を講じなければ2030年には輸送力の34%が不足するとされている。

牧田さんは、このままでは生鮮食品の流通が止まり、現在の当たり前な生活が維持できなくなると、強い危機感を示した。

 フェリー活用と機械化による効率化

輸送力の低下を防ぐため、マキタ運輸では県内から関東・関西へ輸送する際の一部区間でフェリーを利用している。

ドライバーはフェリー乗り場まで荷物を運び、フェリーには乗らずに日帰りする。その後、別の拠点のトラックが目的地まで運ぶ。牧田さんは、この方法によりドライバーの月間労働時間を「大幅に短縮できる」と話す。

また、荷物の積み替え作業の効率化としてフォークリフトによる「パレット化」も。

従来はベテランの作業員でも3枚の積み替えに1時間を要していたが、機械の導入により1枚あたり約1分半、5分程度で3枚が積み替えられるという。大幅な効率化だ。

行政の支援と業界全体の課題

こうした現場の努力を後押しするため、宮崎県は9月の補正予算に約250万円を計上し、運送会社がフォークリフトの運転技能講習を受けるための費用を補助している。

県トラック協会 牧田信良会長:
県もしっかり物流対策には力が入っているように思える。ドライバーたちの環境は間違いなく一歩ずつ変わってきている。

一方で、規制導入から1年半以上が経過した現在も、深刻なドライバー不足により労働時間の遵守が困難な企業も存在するという。

安定した物流を維持するためには、運送業界の努力だけでなく、荷主企業や消費者の理解を含めた社会全体でのシステム構築が不可欠となっている。

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