NOW ON AIR !

番組表

「昔は見なかったのに...」イノシシ被害が前年比3割増 集落で子どもが闊歩・トラクターの近くを平然と歩く 高齢化で「巻き狩り」困難に

2025年12月09日

宮崎県内各地ではイノシシによる農作物被害が深刻化している。長年、鳥獣駆除に携わる日之影町の有害鳥獣駆除員は、イノシシの生息数増加と被害拡大を肌で感じており、「昔はイノシシを見ることがなかったが、今は集落近辺で子連れのイノシシが歩いている」と現状を語る。高齢化による狩猟者の減少が、この問題に拍車をかけている。

【動画】「昔は見なかったのに...」イノシシ被害が前年比3割増 集落で子どもが闊歩・トラクターの近くを平然と歩く 高齢化で「巻き狩り」困難に

県内で深刻化するイノシシ被害

九州ではクマによる被害の心配が少ない一方、宮崎県内各地ではイノシシが頭を悩ませる存在となっている。

県によると、2024年度のイノシシによる農作物などへの被害額は約1億3,000万円に上り、前年度に比べ約30%増加した。

日之影町で20年近く鳥獣駆除を行っている田中弘道さんは、「昔はイノシシを見かけることはなかったが、今は田んぼや集落付近でも子どものイノシシが連なって歩いている。かなり増加していると思う」と話す。

田中さんが田起こしをしていた際に撮影した映像には、イノシシがトラクターの近くを平然と歩く様子が記録されている。

日之影町によると、2024年度のイノシシによる農作物などへの被害額は約470万円。

ここ数年、国の事業を活用して防護柵を設置するなど対策の効果があり被害額は減少傾向にあるものの、農業を基幹産業とする日之影町にとっては依然として深刻な問題である。

有害鳥獣駆除員 田中弘道さん:
この畑は昨年まで作付けがあったが、イノシシが全て掘り返している。ミミズを食べるために掘り起こす。今年から作付けができない状態。

さらに足跡をみつけ、「かなり大きい」と話す。

田中さんも農作物を守るため、防護柵など様々なイノシシ対策をとっているが...

有害鳥獣駆除員 田中弘道さん:
この向こう側に栗とかあるから入らないように作ったけど、獣道を通ってきて、これだけ押し上げて獣が中に入っている。

高齢化で失われる伝統的な駆除方法

かつてこの地域では、複数の猟師が協力して獲物を追い込んで仕留める「巻き狩り」が盛んに行われていた。

しかし、高齢化による狩猟者の減少で「巻き狩り」が困難となり、イノシシ増加の一因となっていると田中さんは感じている。

現在、田中さんは罠を仕掛けて年間約150頭のイノシシを駆除している。被害を減らすには、地道に狩猟を続けるほかないと話す。

有害鳥獣駆除員 田中弘道さん:
地域住民が一緒になってですね、罠で一匹一匹捕獲するしかないと思う。

イノシシ遭遇時の注意点

県内の農作物に被害をもたらすイノシシは、人にも危害を加える恐れがある。

万が一イノシシに遭遇した場合、大きな声を出したり騒いだりすると突進してくる恐れがあるため注意が必要だ。

イノシシに背中を向けずにゆっくりと後退し、物陰や建物の中に逃げるようにしよう。

arrow_forward_ios
もっと読む
00:00
01:50
03:00

Top