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入社3年目の女性ディレクターが「ミスシャンシャン馬」に挑戦!歴史ある祭りを自ら取材 江戸時代には3~4日かけた安産祈願の旅だった

2025年11月18日

「神武さま」の愛称で県民に親しまれ100年以上の歴史を持つ「宮崎神宮大祭」。その中で特に華やかなのが、76年前から行列に参加している「ミスシャンシャン馬」だ。今回、UMKテレビ宮崎の今栖那菜ディレクターが「ミスシャンシャン馬」に参加することになり、「神武さま」「シャンシャン馬」の歴史を自ら取材した。

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入社3年目 今栖那菜ディレクター

「ミスシャンシャン馬」には県内8つの企業から1人ずつ選ばれている。今回、テレビ宮崎から選ばれたのは、入社3年目の今栖ディレクター。「山間部や県内の謎・歴史ネタが好き」という今栖ディレクターは、せっかくの機会だからと、自らカメラを持って、「ミスシャンシャン馬」に挑戦した。

100年以上の歴史「宮崎神宮大祭」

秋の風物詩、宮崎県宮崎市の宮崎神宮大祭。「神武さま」の愛称で宮崎県民に親しまれている。

行列では、宮崎市のメインストリートを1000人以上が行列を作り練り歩く。

「神武さま」は今から100年以上前の1909年頃に、現在の隊列を組む形式で行われるようになったと言われている。

宮崎神宮 本部雅裕宮司:
神武天皇のご東遷(とうせん)というのがありましてね、神武天皇が宮崎の宮を出発されて、(日向市の)美々津から"おきよ丸"に乗って行かれて、奈良の橿原(かしはら)でご即位されたということがありますけど、それを模したものがこの御神幸行列だと言われています。

宮崎神宮 本部雅裕宮司:
神武天皇が鳳輦に乗って行かれる。そのご鳳輦を皆さん方が神社の外で親しくお参りができるということ、神武天皇にとっては、宮崎の様子・人々の生活の様子を直に見られる、1年に1回の両方にとって大事なお祭り。

神武さまの行列は御神幸行列と、その行列にお供し神様を賑やかす神賑行列(しんしんぎょうれつ)で構成されている。

御神幸行列の様子。

神賑行列で賑やかす。

神賑行列の1つで、「行列の華」とされるのがミスシャンシャン馬だ。

新婚夫婦が日南市の鵜戸神宮にお参りする風習を再現したものである。

鵜戸神宮 黒岩昭彦宮司:
江戸中期~後期あたりから始まったと言われているのですが、今でいうと新婚旅行の先駆けなんですよね。なにゆえ鵜戸にお参りしたかと言うと、ここは安産祈願の神様でそういう信仰がすごく息づいているんですね。

黒岩宮司によると、かつて、新婚夫婦は宮崎市の当時の繁華街・中村町を出発点とし、海岸沿いや峠を越える険しい鵜戸街道を3日から4日かけて歩いていたという。

鵜戸街道は現在の道路で約40kmの道のりだ。

日南市宮浦の道路沿いには、当時、新婚夫婦が歩いていたとされる峠に入る道が残されていた。

今栖ディレクター:
え?これ?道なき道を進んでいく感じだったんですね。足場も悪いですし、ずっと坂です。

鵜戸神宮 黒岩昭彦宮司:
結婚するというのは山あり谷ありで、そんな簡単に行く訳ではないんですね。新婚旅行という形で、「七浦七峠」という非常に高低差のある峠を越えながら、2人で苦しみを分かち合いながら、助け合いながら超えていくというところにやっぱり意味があったわけですね。

 76年の伝統、親子二代で受け継がれる想い

「ミスシャンシャン馬」の歴史は76年前に遡る。現在は、県内企業から選ばれた8人が花嫁役を務めるが、かつては市や町の代表制だった時代もあった。

宮崎市田野町に住む渡邊真利子さん(73歳)は、1974年、いとこの推薦で22歳のときに田野町代表を務めた。

渡邊真利子さん:
当時はあまり笑って歯を見せてはいけないとかいう決まりがあったりですね。昔は神武さまって言ったらね、 もうすごいお客さんで、あ~幸せだな~って、宮崎に生まれてよかったなってというのがありましたね。

神武さまの後には「お見合いの話が来たり、手紙をもらったりしました」と当時を振り返る。

また、渡邊さんの娘である友子さんも1999年にミスシャンシャン馬・田野代表を務めている。

友子さんは「人がたくさんいて、歓声が上がっているのを鮮明に覚えています。感動しますよ。もう一度乗りたい」と当時の感動を話してくれた。

ふたりは今回花嫁役を務める今栖ディレクターに「楽しんでください」とエールを送った。

準備は万全、花嫁役たちの決意

10月11日、本番を3週間後に控えた花嫁役たちは、宮崎神宮で乗馬練習に励んでいた。

今栖ディレクター:
乗馬練習の会場となっている宮崎神宮にやってきました。 初めて馬に乗るのでとても緊張しているんですが、早速行ってきます。

シャンシャン馬の8頭は、県内はもちろん、熊本や鹿児島からもやってきている。

今栖ディレクターがペアを組む馬は、都城市山之口町からやってきた「はなこ」という20歳の大切に育てられた馬だ。

はなこの馬主 中西文夫さん:
大人しいのは、天下一品ですわ。ちょっと年をいっているんですけど、うちの宝ですね、ずっといますからね。

今栖ディレクターはだいぶ緊張した表情だったが、何とか馬に乗ることができた。

乗馬時の目線の高さは約2.5m。

最初で最後の練習は何事もなく45分で終了。

今栖ディレクター:
(高さは)思ったより。高くない。自然と馬に愛着が湧いてきます。ちゃんとバランスよく乗れるかが不安だったんですけど、意外と安心感がありました。

他の「ミスシャンシャン馬」は...

宮崎空港ビル 小野由里加さん:
Q. 馬の上からの目線は?
すごく優越感に浸れるような、すごく楽しかった。

宮崎ガス 吉村由衣子さん:
最初ちょっと怖かったけど、すぐ慣れた。笑顔で自分らしく務めたいなと思っている。

華やかな装い、伝統を身にまとう

そしていよいよ本番当日。午前5時、花嫁役たちは着付け会場へと向かった。

花嫁役がまとうのは黒留袖の着物、帯、そして角隠し。

柄や色は一人一人の雰囲気に合わせ、美容師が選び抜いたもので、着付けが完了すると、ようやく実感が湧いてきた様子だった。

地域に愛される「神武さま」、未来への願い

午後1時に御神幸行列が始まった。

「ミスシャンシャン馬」も、宮崎神宮を出発。

宮崎神宮から瀬頭御旅所を目指して進む。

御旅所までは約2時間かけて市街地を練り歩く。

沿道からは、「ミスシャンシャン馬」や行列への温かい声援が送られた。参加者や観客からは、「すごく楽しいお祭り」「神話の宮崎県らしいイベント」「なくなってほしくない」といった声が聞かれた。

子供:
乗ってみたくなった。

観客:
沿道で声援を送ることができるので、すごく楽しいお祭りだと思う。

観客:
歴史があるので素敵だなと思っている。ずっと長く続いてほしいなと思う。

観客:
神話の宮崎県らしいイベントだなと。

観客:
独身時代から近くに勤めていた。そしたら、店長が「交代で神武さまを見て来なさい」と言われて見せてもらった記憶があって、今でもそれが忘れられなくて今も見に来ている。これはかけがえのないお祭り。神武さまは。なくなってほしくない。

11月2日、神武さま2日目。

2日間で18万人が訪れる行列は、瀬頭御旅所から宮崎神宮に戻り、2日間の長い旅路も終わりを迎える。

馬から降りる今栖ディレクター:
お疲れさまでした。すごいグラグラで足が...。1人1人の顔がちゃんと見えて、アイコンタクトを1人ずつにしていくような感じで、みなさんが笑顔になって下さるので、いいなと思いました。本当にいろんな方に愛されているお祭りなんだなというのを身をもって実感しました。2日間やり切ってよかったなと思いました。

改めて後日、シャンシャン馬を振り返る今栖ディレクターは...

今栖ディレクター:
2日目は体力的に疲れたけど、最後に宮崎神宮の直前で沿道の人たちから「あともう少しだから頑張って」と励まされて、やり切ることができました。実際に参加してみて、美容師さんたちがずっと前から準備している、着付けやメイクも何回も納得いくまでやり直すこだわりを感じました。歴史とこの日のためにかける人たちの思いを感じながら今後、神武さまを見に行ってほしいなと感じました。

ミスシャンシャン馬はこれからも地域の人々に愛され、受け継がれていくことだろう。

(テレビ宮崎)

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