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若者の大麻検挙者数が過去最多75人に 背景に「ハードルの低さ」入手経路はネット経由が4割「軽い気持ちで人生台無しに」専門家が警告
2025年09月30日
宮崎県内で、若者の大麻検挙者数が過去最多を更新している。専門家は、「入手経路の容易さ」や「誤った認識」を原因として指摘し、警鐘を鳴らす。また、地域コミュニティの特性が、大麻の拡散に拍車をかけている可能性も懸念されている。
【動画】若い世代に大麻蔓延 弁護士に聞く「キーワードはハードルの低さ」
宮崎県、若者の大麻検挙者が急増
2025年1月から7月までに宮崎県内で大麻取締法違反で検挙された人は75人に上り、前年1年間の66人を既に超え、過去最多となった。検挙者のうち、20代と10代が61人と全体の8割を占めている。高校生が校内検査で大麻所持が発覚するケースや、大学生が海岸で所持しているところを逮捕されるケースなど、深刻な状況だ。
5月以降、県内では高校生の大麻所持、大学生や若者の大麻所持・栽培、SNSを利用した密売グループの摘発などが相次いでいる。
背景に「ハードルの低さ」
弁護士法人きさらぎの高山桂弁護士は、大麻で逮捕された人の弁護も担当し、YouTubeで若い世代に広がる大麻の危険性を訴えている。
「大麻なら手を出してもいいかという、精神的ハードルの低さが、大麻に手を出す方々が多くなってしまっている大きな要因だと思う」と指摘する。
警察庁の調査によると、大麻を初めて使用した動機は「好奇心・興味本位」が最も多く、次いで「その場の雰囲気」で、この2つで約6割を占める。
大麻は「ゲートウェイドラッグ」と呼ばれ、その要因として、(1)誤った認識の広まり、(2)入手しやすさ、(3)コミュニティの3点が挙げられる。
誤った認識
弁護士法人きさらぎ 高山桂弁護士:
色々な誤解がある。例えば、海外では合法な国があるとか、そんなに身体に害がないとか。
覚醒剤と大麻の危険性の認識の違いを比較すると、覚醒剤は「大いにあり」「あり」と回答した人が約8割だったのに対し、大麻は約2割にとどまった。
入手しやすさ
高山弁護士は「覚醒剤は化学物質。つまり、化学合成しないと生成できないが、大麻は大麻草を栽培して、そこから樹脂等を生成していくので、作りやすい。
インターネットの闇サイトで、ブロッコリーや野菜などの隠語で、簡単な取引で買える」と説明する。
10代と20代の入手経路は「インターネット経由」が約4割を占め、その他は知人・友人からの紹介や譲渡が多い。
コミュニティの影響
宮崎県の特徴として、コミュニティの狭さが大麻拡散に影響している可能性があると、高山弁護士は指摘する。
弁護士法人きさらぎ 高山桂弁護士:
宮崎という地域だからこそ、コミュニティが小さい。コミュニティが小さいからこそ、そのコミュニティ内でぶわーっと広まる。コミュニティが狭くて濃い分、断りにくい。
法改正で厳罰化
2022年12月の法改正により、大麻は麻薬と位置づけられ、「所持」「譲渡」に加え、「使用」も禁止された。営利目的ではない所持も、これまでの5年以下の懲役から7年以下の懲役に厳罰化された。
高山弁護士は「(大麻は)麻薬であるという考え方が国際的な流れ。日本としても、その国際的な流れに合わせるという理由がひとつ。大麻は麻薬であるということをはっきりと法体系で整理するというのが2つ目。3つ目としては、増加がずっと続いているので、罪を厳罰化して、その数を減少させる」と説明する。
氷山の一角
高山弁護士は、県内で逮捕が相次ぐ現状は氷山の一角だと警鐘を鳴らす。
弁護士法人きさらぎ 高山桂弁護士:
常習されている方は多くいる。抜け出せなくなっている方を、我々生で見ているので、だからこそ最初の1回目から手を出さない。
高山弁護士は、「ひとつの軽い気持ちで手を出したものが、自分の人生というものを全て台無しにしてしまうのが、大麻の怖さ。もし、友人や先輩に誘われた時にでも、強い意思を持って断ってください」と若い世代に呼びかけている。