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日本唯一の公的なエアライン・パイロット養成機関「航空大学校」【後編】大空へ羽ばたく!パイロット養成機関で訓練に励む学生たちの1日に密着【宮崎発】
2025年05月14日
宮崎県の宮崎空港に隣接する「航空大学校」。エアライン・パイロットを養成する学校だ。今回は航空大学校・宮崎本校で学ぶ学生の1日に密着した。前編では朝食前から入念なフライト準備までを追った。後編ではいよいよフライト訓練に挑む!
【動画】日本唯一の公的なエアライン・パイロット養成機関「航空大学校」学生たちの1日に密着
午前8時40分 フライト訓練
入念なフライト準備を終えた学生たちは、いよいよフライト訓練開始だ。
訓練に使用されるのは、シーラス式SR22型。
4人乗りの飛行機だ。
操縦は片手で行う。
訓練前には機体のチェックを行う。
航空大学生 野島光夏さん:
チェックリストがあって、チェックリストに従って機体を飛ばすのに十分な状況か、異常がないか確認する。
この日は 離着陸の訓練、そして 宮崎と佐賀を往復する3時間15分のフライトだ。
訓練をする学生3人は、上空で操縦席を交代しながら訓練を行う。
宮崎でのフライト訓練は「有視界飛行方式」というもので行われ、雲との距離を水平方向に600m以上、上方向に150m以上下方向に300m以上あけた状態で飛行機を飛ばさなければならない。
この日は予想通り、視界が悪い状態...雲が行く手を阻む。雲の上に行くと天気はよくなるが自分の居場所が分かりづらく、下に行くと別の学校の訓練区域があり、他の機体の邪魔になる。
飛行機が動き続ける中で、より早い判断が求められる。
すると、島原半島付近で教官から「他の機体がいる」との指摘が入る。右側にいた飛行機を見落としていた。
上空では、自分から見て右側が優先。今回はこちらが避けなければならない。
しかし、瞬時にどう避けるか決心がつかず、教官の指示で高度を下げることになった。
フライトを終えた野島さんは...
野島光夏さん:
通るはずの高度に雲があって、避けなければならないというのがあって、そこの判断が結構難しいフライトだった。
午後0時40分 昼食
束の間の休息だ。
Q.みなさん、食事で意識していることは?
学生たち:
食べる順番。野菜から食べる。なるべく。
野島光夏さん:
学校の看護師の方から「食べる順番を気をつけた方がいい」とか、「納豆とかキムチとか発酵食品を取りなさい」みたいな話があった。
それにしてもみなさん食べるのが早い...
野島光夏さん:
このあと、さっきのフライトの振り返りがあるので、それに向けて急がないと...日にもよるけど、追われるときは結構忙しい。
午後1時 午前フライトの反省
野島光夏さん:
雲があることを予期して早めに気付けたのはよかったが、上に避けようという判断をしたが右側の方が明らかにあいていた。
小川泰司教官:
訓練前のブリーフィングで出した注意点が今日は本当に起こったわけだから、必ず注意点を出すだけではなく、それに対する対策を立てたうえでフライトに臨む。
学生たちについて小川教官は...
小川泰司教官:
計画通りにやるのであれば、ちゃんとできる状態にはあるので、あとは先行性と判断力を鍛えていけばもう十分パイロットになれる素質はあると思う。
Q.皆さんの授業態度は?
小川泰司教官:
Very Good!
午後2時 座学「航空力学」
航空機が飛行する際に動く力や飛行の原理などについて学ぶ。
午後5時40分 夜間フライト開始
訓練は午後8時頃まで続く。
野島光夏さん:
やっぱり景色がすごい。九州のいろんな海や、長崎の方に行ったら島がいっぱいあるとか、地図でしか見ていなかったのが眼下に広がっているのを見ると楽しいなと思う。
Q.どんなパイロットになりたい?
野島光夏さん:
まずは自分が立派なパイロットになるのが1番大事だと思う。最終的には後輩の女性パイロットたちが働きやすい職場環境を整えられるように、まずはその見本となれるようなパイロットになりたいなと思っている。
学生たちはこのあと、乗客などを乗せて飛行するための「事業用操縦士」と、視界不良の中でも安全に飛行機を飛ばすことのできる「計器飛行証明」のライセンスを取得して卒業。エアライン・パイロットになるための基盤ができあがる。
多くの乗客を乗せ、空を飛ぶ日を夢見る未来のパイロットたち。この宮崎から大空へ羽ばたけ!