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【特集】幼稚園・保育園・小学校で連携 都農町「小1プロブレム」解消に向けた取り組み

2025年10月17日 18時20分

プロブレムという言葉をご存じですか。
プロブレムとは、幼稚園・保育園の子供が小学校入学による環境の変化に適応できない状態のことをいいます。
こうした問題を解決するため、宮崎県都農町では来年春に小学校に入学する子供たちが新しい環境にスムーズに適応できるように、幼稚園・保育園・小学校で連携しようという取り組みが今年度から始まっています。


都農町にある信楽寺保育園です。

(江川琴実記者)
「こちらでは子供たちが体いっぱい使って楽しそうに遊んでいます」

マットの上で転がったり室内を走ったり…
年長の子供6人が参加したのは「体育あそび」です。

(子供は)
「コーンおにごっこがたのしかった」

体育遊びのインストラクターとしてこの日初めて派遣されたのが、総合型スポーツクラブを運営する「都農enjoyスポーツクラブ」の河野仁志さんです。

(体育遊びインストラクター 河野仁志さん)
「小学校に行ってもいろいろなスポーツをすると思うんですけども、それに共通できるような動きを取り入れて(体育遊びを)やりました」

河野さんは10月30日から小学校にも派遣され、体育の授業の一環で同じ「体育あそび」を行います。

都農町で今年度から本格的に始まったこの取り組み。
メリットは、保育園や幼稚園の子供たちが小学生になったときに同じ指導者に教わることができるということです。
子供たちが小学校入学後の環境の変化にスムーズに適応できるようにするのが狙いで、文部科学省も推奨しています。

(都農町教育委員会 森崎陽介指導主事)
「(幼保小で)同じ運動を取り入れていくことで、(子供が)小学校に上がっても同じことをするんだ、ワクワクするなとか楽しみだなということにつながればいいなと思います」

さらに、10月15日に都農町立中央保育所では「英語あそび」が行われました。
講師として派遣されたのは、普段は都農町の小学校で英語を教えているALTのTeal高橋さんです。

(Teal高橋さん)
「小学校や中学校に進学したときに英語に慣れるために、幼い頃から英語を始めるのはとても良いことだと思います」

この日、子供たちは10月31日のハロウィーンにちなんだ単語を学んだほか、いす取りゲームで体も使いながら「英語あそび」を楽しんでいました。

この保育所ではTealさんの英語あそびを今年に入って7回行っています。

(都農町立中央保育所 寺原紀美代所長)
「(Teal先生が)顔なじみというか安心して一緒に英語を楽しんでできるというところが、やはり子供たちの笑顔を引き出しているんだなと関心しているところです」

英語あそびをした子供は…

(子供は)
「楽しかったです」

しかし、その一方で…

Q(小学校に入ったときに)何が心配だなとかある
「お勉強」

幼稚園や小学校で体育教師として子供たちと関わってきた宮崎大学の三輪佳見名誉教授は、小学生になるときの大きな環境の変化が子供の不安につながっていると話します。

(宮崎大学 三輪佳見名誉教授)
「決まった時間を教室に座って学習しなければいけないという(学習の)内容も方法も幼稚園とはガラッと変わってしまうという点が、幼稚園生にとっては問題を抱える原因になっていたのではないでしょうか」

子供の不安を解決するため都農町が始めた今回の幼・保・小連携の取り組み。
その意義について三輪教授は…

(宮崎大学 三輪佳見名誉教授)
「(都農町の取り組みは)最初のきっかけとしては非常にいいのではないかと思います。(子供が)小学校に入ってきたら、じゃあこんなふうにこのことをこういうふうに教えたらうまくいくかなっていうことをちゃんと(先生側が)入学前に分かっているということが一番大事なんだと思います」

地域の大人が連携し子供の不安を減らすことを目指すこの取り組み。
全国で少子化が進む中、子供を守るためにこうした連携がいま求められています。

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