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被害額は年1億円以上 シカの食害から農業を守るには 移住4年目の猟師が奮闘【特集】
2026年04月21日 18時20分
宮崎県内では毎年1億円以上のシカによる農作物への食害が確認されています。
こうした中、4年前、西都市の銀鏡地区に移住した女性は、廃棄されるシカ肉を活用し、地域の活力につなげようと奮闘しています。
須賀正子さん42歳。
作っているのは鹿肉バーガーです。
須賀さんは4年前、神奈川県から西都市東米良の銀鏡地区に移住しました。
趣味のサーフィンを通して知り合ったパートナーの玉井克幸さんと、日本一周する中で、アルバイトのために立ち寄った銀鏡に魅了されました。
(須賀正子さん)
「(銀鏡で)ゆず取りのバイトがあるっていうので2~3カ月だけ働きに来ようかというつもりで来たら、人も良くて場所も良くてというのに惹かれて」
自給自足の生活に憧れ、ゆず畑や家庭菜園などを始めた須賀さんは、去年、罠猟の免許を取得し、猟師となりました。
猟師になって感じたのは「命の重さ」でした。
(須賀正子さん)
「一番初め、自分で鹿を仕留められなかった時に、猟をやめようと思った。寝るときも鹿の鳴き声が頭の中に残っていて。猟師になるという選択を自分でしたから、その落とし前。やると決めたなら覚悟してやらないとなという感覚」
現在は、地元の猟友会で有害鳥獣の駆除としてシカを捕獲しています。
県によりますと、2024年度県内のシカによる農作物への被害は約1億4262万円に上ります。
銀鏡の特産・ユズの生産から加工・販売までを手掛ける「かぐらの里」では、シカの食害に頭を抱えています。
(かぐらの里濱砂修司社長)
「会社も50年やっているが、深刻とかそういうレベルじゃない。収量が1~2割減収というのは普通。皮まで最近は剥いで木を丸ごと枯らせる」
こちらは、食害を受けていないユズの木です。
一方、柵やワイヤーなどの対策がされていないユズ畑では…。
(玉井克幸さん)
「結局、下の枝葉が鹿に食べられてしまうので、育つことができなくて下のほうがまったく枝がない状態」
(須賀正子さん)
「本当は、食べる分だけしか狩りたくないが、生活がかかっているのでそうしないと対策できない」
人の暮らしを守るためには駆除しなければならないシカ。
しかし、その多くは肉に加工されても捨てられています。
去年1月に東米良にできたジビエの解体処理施設では、冷凍庫がジビエ肉でパンク状態になったこともありました。
(めらんジビエ石川翔さん)
「当時は力不足で在庫として結構抱えていた。正直なところ、もう少し販路を拡大してたくさんの人に手に取って食べてもらいたい」
ジビエは家畜に比べて、希少価値が高く、安売りができないためなかなか買い手がつかない現状があるといいます。
須賀さんは、シカ肉ならではの長所に活路を見出しました。
(須賀正子さん)
「栄養価は高い。女の人が特に必要とする鉄分が抱負。あと高たんぱく」
(早瀬純哉記者)
「いただきます。思ったより柔らかい」
(須賀正子さん)
「なるべく火を通さずに。火を入れすぎると硬くなる」
4月19日、西都市中心部で開かれたマルシェ。
シカ肉の販路拡大へ。
須賀さんが考えたのが鹿肉バーガーです。
(須賀正子さん)
「老若男女関係なく、いろいろな人が楽しめるんじゃないかと思ってハンバーガーにした」
(お客さん)
「めちゃくちゃ美味しい」
「噛み応えがめっちゃあってジューシーで美味しい」
「ジビエって癖がある感じがするが、食べやすい」
「(鹿肉バーガーは)初めて。ハンバーガーで栄養があるのはあまり聞かないので嬉しい」
(須賀正子さん)
「「鹿肉ですか」ってちょっと抵抗がある、けど買って食べたら「美味しいですね」と言ってくれる人がいるので、手ごたえは感じた」
須賀さんは、駆除され捨てられていたシカの命をつないだ先に、銀鏡の未来もつなぎたいと話します。
(須賀正子さん)
「ここに定住するという気持ちで住んでいる。もっと銀鏡の知名度があがって、こういう取り組みをしているところがあるんだと知ってもらったら、ここに10人(新たに)暮らせば限界集落というのはなくなってくる」
東米良の人口は現在212人。
高齢化率56.13%の限界集落です。
「銀鏡を守りたい」と話す須賀さんに住民も期待を寄せています。
(山の駅銀鏡上米良隆杜さん)
「嬉しい限り。だんだん東米良全体で地域住人の人数が減っている。尊敬している」
(めらんジビエ石川翔さん)
「頼みの綱というか、藁をもつかむ思いというか」
(かぐらの里濱砂修司社長)
「すごく頼もしい。大事な助っ人。(銀鏡の)未来を一緒に語れるのがいい。すごくいい」
命と向き合い、地域の未来を紡ごうと奮闘する須賀さんの原動力は、銀鏡への真っすぐな思いでした。
(須賀正子さん)
「銀鏡大好きです」











