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【特集】トラックドライバーの労働時間規制 輸送力と働き方改革の両立は

2025年12月22日 18時20分

特集です。
年末年始特に需要が高まる物流業界、去年4月トラックドライバーの時間外労働に上限が設けられ、現場では輸送力の維持と働き方改革を両立すべく対策が進められています。

12月20日、都城市にある運送会社・マキタ運輸では繁忙期の年末年始に向け、積み込みや荷下ろしが行われていました。
マキタ運輸では、約200人のドライバーが宮崎県内の農畜産物や乳製品を関東や関西方面にも輸送しています。

(マキタ運輸ドライバー 葉山拓朗さん)
「(東京から移動して)昨日の夜、福岡で積んで帰ってきた」

今回、葉山さんは都城~東京を5泊6日の日程で往復しました。
5日目は午後5時に北九州市の門司港を出発し、福岡市の営業所まで運転して荷下ろし、福岡で新たに荷物を積んだ後、途中で休憩をはさみながら翌朝8時ごろ、都城市まで帰ってきたということです。

(マキタ運輸ドライバー 葉山拓朗さん)
「寝るときは後ろの寝台で寝る。ちょっと狭い」
「多分一番いる時間が長い。家みたいなもの。愛着がある」

農林水産省によると、日本の農産物や食品の輸送は96.5%がトラックです。
マキタ運輸の社長で県トラック協会の牧田信良会長は、これまでの業界の労働環境の厳しさをこう振り返ります。

(県トラック協会 牧田信良会長)
「悪い会社では、(時間外勤務などを)無制限でやってドライバーたちも働きたくて賃金を求めて無理な運行をしていた時代がずっと続いていた」

こうした状況を是正しようと、去年4月、トラックドライバーの時間外労働の上限は年間960時間に。
また原則1日9時間の休息などが設けられました。

働き方が変わる一方で、懸念されるのは輸送力の低下です。
国土交通省によると、何も対策を講じなければ2030年には34%の輸送力が不足すると予測されています。

(県トラック協会 牧田信良会長)
「一番初めに生鮮食品が止まる。今我々が感じている当たり前が全く当たり前じゃなくなる」

マキタ運輸では、対策として県内から関東や関西へ輸送する際、一部区間でフェリーを利用しドライバーの運転時間の短縮に取り組んでいます。

(県トラック協会 牧田信良会長)
「こちらで積んでフェリー乗り場に行って人間は帰る。ドライバーは日帰り。神戸に着くと大阪の事務所のトラックが大阪の仕事をやる。それで月間の労働時間をだいぶ短縮できる」

そしてもう一つ、荷物の積み替えにも工夫が...
フォークリフトを使ったパレット化です。

(マキタ運輸 東良二取締役)
「以前はベテランのドライバー、現場の方で3枚の積み替えに1時間かかっていたが、今はこの機械を使うと1枚当たり1分半ぐらいで差し替えできるので、5分程度で3枚が積み替えできる。かなり効率化されている」

県は9月補正予算に約250万円を計上し、運送会社がフォークリフトの運転技能講習を受けるための費用を補助しています。

(県トラック協会 牧田信良会長)
「県もしっかり物流対策には力が入っているように思える。ドライバーたちの環境は間違いなく一歩ずつ変わってきている」

一方で、牧田会長によると、時間外労働の規制導入から1年半以上が経ちましたが、ドライバー不足を背景に労働時間を守ることが厳しい状況にある会社もあるということです。
求められるドライバーの労働環境の整備と安定した物流の維持。業界全体や荷主となる企業も一緒になり、限られた時間・少ない人材でも機能するシステムの構築が必要となっています。

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