番組表
賃上げ率15%のIT企業 狙いは「人材育成と業績向上の両立」
2025年09月29日 18時20分
宮崎県内で11月に最低賃金が引き上げられます。
宮崎県内の最低賃金も初めて1000円を超えます。
連合宮崎によりますと、104の組合に今年の春闘の結果を尋ねたところ、今年3月から8月末までの全体の平均賃上げ額は月1万1265円、平均賃上げ率は4.31%と初めて月1万円を超えました。
全国平均は5.25%の上げ率で宮崎はこれを0.94ポイント下回っています。
こうした中で15%の賃上げを実現した企業が宮崎市にあります。
人材確保や人材教育に力を入れることで業績向上をめざすIT企業で話を聞いてきました。
アミュプラザみやざきにオフィスを構えるIT企業クラフ。
Webアプリなどをサイバー攻撃などから防ぐサイバーセキュリティ事業を展開していて、およそ150人が働いています。
この会社は9月決算で去年10月から今年9月にかけての平均賃上げ率は実に15%。
(クラフ 金内 忍取締役)
「賃上げを意識しているというよりは、社員の成長に伴った賃金上昇があるからこそ、そういった水準になっている。企業では賃上げ=コストという言い方をするが、クラフは社員の成長が会社の成長」
クラフは創業8年目。
3年前に年齢給から成果給に切り替えました。
(入社3年目 松岡 大樹さん)
「仕事の成果がそのまますぐに給与に反映されるというのは、頑張ったらこれだけもらえるようになるのかもなと思える。モチベーションにはつながる」
クラフの企業理念は「人への投資」。
給与のアップに加えて新人への教育期間を1年設けるなど人材育成にコストをかけています。
徹底的に人を育てる環境を作ることで売上高は、毎年伸びているということです。
(クラフ 金内 忍取締役)
「教育コストはだいたい大企業は1~2%と言われているが、これに対して4~5%をかけている。育てるコスト、成長につながるための源泉は非常に高い水準」
また評価制度を明確にし社員のモチベーションアップを図っています。
(入社3年目 松岡大樹さん)
「毎月上長と面談をしていて、1年後3年後5年後の自分の目標とする役職、給料も設定しているので、それに向けてどういった動きをしていけばいいかということを話している。(給与が)上がらなくなったとかで不満に感じることは少ない」
8月、クラフに転職してきたばかりの品田篤志さんは東京のゲーム業界で、エンジニアの採用担当として働いていました。
Q.給与のギャップは感じた
(東京から転職 品田篤志さん)
「結論から言うとギャップは感じていない。水準もさほど変わらない」
宮崎で首都圏と変わらない給与を実現できる理由は顧客が宮崎に限らず全国にいるというIT業界ならではの強みです。
その分厳しい競争にさらされるため社員にも全国水準の技術が求められます。
業績向上にむけて今後の賃上げについても前向きです。
(クラフ 金内 忍取締役)
「根源となる社員の成長に対して、どれだけ会社が向き合えるか、(カット)(昇給は)10%とは言わず、20%、30%やれる年度があってもいい」
クラフでは賃上げを継続し5年後の2030年までに社員を現在のおよそ150人から1000人に増やしたい考えです。
(クラフ 金内 忍取締役)
「日本では今、人手不足と言われて人口が下がる中で、地方は可能性がすごくある。モデルをいかに作って展開していくかというところに意義がある。宮崎でやれたモデルを違う地方に展開することで、日本の生産労働性が下がっていくところをカバーしていく企業になりたい」
人材獲得競争が激しくなる中で賃金アップに加えて入社後の社員への人材育成にどれだけ費用をかけられるかも企業が問われる局面となっています。