番組表
2025年07月01日 18時20分
1907年以来の刑罰変更 拘禁刑導入から1カ月 導入の背景にあるのは「社会復帰」
ここからは特集、オカファーアナウンサーお願いします。
刑罰などを定める改正刑法が施行されてから1日で一カ月が経ちました。
これまでの刑罰のうち刑務所で受刑者に、金属加工などの作業を義務として行わせていたのが「懲役刑」。一方、刑務所に収監するものの、作業が義務付けられていないのが「禁錮刑」でした。
これら、懲役刑と禁錮刑が今回の改正により廃止され、新しく「拘禁刑」が導入されました。
拘禁刑とは何なのか?
また、導入の背景にあるものとは何なのか取材しました。
先月1日からこれまでの懲役刑と禁錮刑に代わり新しく導入された刑罰、拘禁刑。
刑罰が変わるのは、1907年の刑法制定以来初めてです。
この拘禁刑について、法律に詳しい宮崎産業経営大学の上野純也講師に聞きました。
(宮崎産業経営大学・上野純也講師(刑法が専門))
「懲役はどちらかというと労働をさせることによる罰の面が強かった。今回拘禁刑になり義務ではなく、あくまで本人の社会復帰に必要な範囲で作業や指導をするという形に変わる」
法務省によると、新たに導入された拘禁刑では義務としての刑務作業は廃止に。
更生のために必要な作業や指導を行い、社会復帰を目指すとしています。
(宮崎産業経営大学・上野純也講師)
「本人がどういう原因で犯罪をして、どんな理由で刑務所に入っているかということを考慮できるようになった」
法務省によると、拘禁刑のもとでは薬物などの依存者、高齢者、障害者など24のグループに分け、それぞれの特性に合わせてこれまでより効果的に指導が行われるということです。
(宮崎産業経営大学・上野純也講師)
「やはり、最終的には本人が自律的に社会で生活できるようになるのが(拘禁刑の)第一の目標と考えられる」
拘禁刑導入の大きな目的である自立と社会復帰。
私たちは先月26日、宮崎市の更生施設で社会復帰を目指す元受刑者の男性を取材しました。
男性は2022年、63歳の時、コンビニでパンなど数百円相当を万引きをし窃盗で服役。今年1月、宮崎刑務所から出所したということです。
(窃盗で服役した男性)
「お金は持ってたんですけど、手でカメラに向かって品物を見せて懐に入れた。それで自分でお金も払わずに出ていった。それで捕まった。その時の気持ちが僕自身も分からない」
刑務所内での刑務作業は折り鶴などの単純作業が多かったといいます。
(オカファーエニス豪アナウンサー)
Q・作業は社会復帰につながったと思いますか?
(窃盗で服役した男性)
「いや、僕は何も思わなかった。捕まったらこういうことをするのかという感じ。みじめになりましたね。部屋で一人で折っているわけでしょ。これをどれぐらい続けるのかなと思った娘に会いたいなとか、色んなことを考えながら折っていた。もう二度としないと思った。悪いことは。」
また、男性によると刑務所には一度は出所したものの、再び罪を犯して戻ってくる人もいたということです。
(窃盗で服役した男性)
「なんでそんなに何回も来たのか聞いたら、『いや分からないけどしてしまった』と『もう癖になってしまった』と言っていた」
犯罪白書によると、おととし検挙された刑法犯の再犯率は47%で10年間で高止まりしているのが分かります。
それぞれの特性に応じた処遇を行い、再犯を防ぐのも拘禁刑の目的の一つです。
元受刑者などの更生を支援する保護司は拘禁刑について、全国の刑務所が連携し受刑者の特性に合わせて特定の刑務所で指導や作業をすることが効果的だと話します。
(保護司・横山公美さん)
「全国に刑務所はある。ケースケースに合った仕事を全国ネットでやって、その子に応じた仕事(作業)を見つけて、そちら(刑務所)に移してくれたら、うまくいくんじゃないかな」
法務省によると、拘禁刑の対象になるのは6月1日以降の事件や事故です。
ただ、宮崎産業経営大学の上野講師によると受刑者に適切な処遇を誰がどのように決めるのか、また拘禁刑に必要な作業や指導を行うために地域や民間と上手く連携ができるのかなど課題は多くあります。
どうすれば犯罪から立ち直った人を受け入れられるのか、社会全体で考えることが大切です。ここまで特集でした。