番組表

2025年05月12日 18時46分
宮崎国際音楽祭30年「クラシック音楽・映像・AI」がコラボした演奏会も

いま行われている宮崎国際音楽祭は「宮崎で一流のクラシックを」と始まりました。
今年は30回目の節目の年、聴衆の思いを敏感に感じ取ろうと試行錯誤を重ねています。
宮崎国際音楽祭が始まったのは1996年。
日本を代表するバイオリニスト徳永二男さんが立ち上げに関わり、20世紀の名バイオリニストアイザックスターンを迎え、徳永さんは去年まで音楽監督を務めてきました。
今回からは徳永さんを師と仰ぐ三浦文彰さんが音楽監督を務めます。
(宮崎国際音楽祭・佐藤寿美総監督)
「上質の音楽を世代超えて聞いていただく、あるいは地域を超えて広がっていくものにしていきたいというのが私のほう。努力というかそういう意味の10年だったし長い目で見ると30年だったのかなと」
この10年は500円で鑑賞でき、著名人をゲストに迎え、人気の演奏家を招くなど聴衆の裾野を広げることに工夫をこらしてきました。
(宮崎国際音楽祭・佐藤寿美総監督)
「クラシック音楽について拒否反応をしなくなっていくような、そういう世代そういう層が少しでも増えてくれれば。(スタート時)40代だった人が70代になる、そこで終わっちゃうよね、お客さんは」
10日初めてのタイプの演奏会が開かれました。
(森山裕香子記者)
「これから始まる演奏会。県内では初めて、映像とクラシック音楽、そしてAIがコラボします」
(大学生は)
「AIで音声と(映像が)一緒に動くというところに、とても興味を持って来ました」
(60代・30代女性)
「普段の演奏会と違って映像もあるということで、おもしろいなと思って」
演奏会のタイトルは「四季AIによる音楽と映像の共演」
(東京藝術大学・岡本美津子教授)
「音楽と映像は非常に親和性が高い。映像も音楽も、その場の色々な雰囲気、思いなどをそのまま生かせるようなシンクロができたらと思い、AIのコンサートを企画しました」
東京藝術大学の音楽と映像のコラボ演奏に着目したのは三浦文彰さんでした。
演奏家の視点でこう解説します。
(三浦文彰音楽監督)
「演奏家は、譜面に書かれているものを演奏する。映像に合わせて弾くには無理がある」
そこでAI技術を活用します。
(テンポは)「普通からゆっくり」。
演奏会が始まると世界的に有名な映像作家4人が手がけたヴィヴァルディの四季の世界がアニメーションで映し出されました。
ソリストは春夏秋冬それぞれ変わるチャレンジングな構成、映像作家と演奏家の才能の真剣勝負の舞台裏でAIが演奏と映像がずれないように合わせていきます。
(20代女性)
「とても画期的なコンサートだったと思います。映像があることで、音に色がついたような感じがして、より季節がイメージしやすかったです」
(高校生)
「いつもは耳だけで聞きますが、目でも見れるので両方楽しめました」
(70代女性)
「映像見ながらクラシックを聞くという経験が今までないから。画面があると、気が散るではないけれど、集中がいまいちできないかな」
音楽祭の転換点かもしれません。
(東京藝術大学・岡本美津子さん)
「AIはひとつの人間が生み出した道具だと思う。これまでの伝統的な表現や手法に加えて(AIを)どんどん活用してさらに新しい表現ができたらと考えている」
演奏家も大きく若返った今年の宮崎国際音楽祭の公演は5月18日までです。