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特集

宮崎で働くバングラデシュIT技術者(2018年8月4放送)

2018年08月06日

今回は宮崎で働く外国人のIT技術者に注目します。
下は宮崎市内でIT企業が新しく立地した件数のグラフです。
10年間で45件増加していることがわかります。
この増加に伴って新しく雇用も多く生まれているのに対し、全国的に今IT技術者は人手不足となっています。
宮崎でも募集したのにも関わらず、人材が集まらないという慢性的な人手不足となっています。

宮崎市内でIT企業が新しく立地した件数のグラフ

そこで今注目されているのが外国人のIT技術者。中でもバングラデシュのエンジニアです。
なぜバングラデシュなのか、宮崎で新しく始まったプロジェクトを取材しました。

宮崎×バングラディッシュ

 

宮崎市にオフィスを構える東京のIT企業スカイコム。
ここでエンジニアとして働いているのがバングラデシュから来たマルジアさんです。
「日本の会社で働くと色々なスキルの人と仕事をし話す。色々なことを学ぶことができる。私もグレートエンジニアになることができる。だから日本に来た。」とマルジアさんは話します。
バングラデシュの大学ではコンピューター理工学を専攻。
日本でより高いスキルを身に付けたいと宮崎での就職を決めました。
はじめは日本語がうまく話せず相談するのにも一苦労。
三ヶ月経ってようやく社内でコミュニケーションがとれるようになってきました。

スカイコムの社内:マルシアさん

「日本語は頑張って頑張ってだんだん分かるようになっている。仕事は好き。」と笑顔で話します。
同僚の大久保さんは「私よりもプログラミングの知識が豊富で外国人がいた方が勉強になる。」とマルジアさんたちを尊重しています。
この会社で外国人のIT技術者を受け入れるのは今回が初めての試みです。
スカイコムの川橋郁夫社長は「なかなかUターン・Iターンで戻ってくる人が少なく苦労している。そんな中で優秀なエンジニアを採用できるなら国籍関係なく一つのチャレンジかなと思って採用した。」と話します。
IT業界に立ちはだかる人材不足の壁。
外国人IT技術者がその救世主として新しい風を吹かせています。

スカイコムの社内

 

日本から約5000キロメートル、インドの隣に位置するバングラデシュ
国民の所得水準を上げようと今、国を挙げてIT技術者の育成に力を入れています
そこで生まれた優秀なエンジニアに目をつけたのが、インターネットを利用した学習教材の開発を行う宮崎の企業教育情報サービス
多くのIT人材が働く場所に困っているバングラデシュの現状を目の当たりにし、宮崎のIT企業と繋ぐことを考えました。
教育情報サービスの荻野次信社長は「人材が輩出されるバングラデシュと人材の足りていない宮崎を繋げば両方の地域の課題解決に繋がるだろうと思った。」と話します。

宮崎の企業教育情報サービス

バングラデシュの大卒の初任給はエンジニアの場合、日本円で月4~5万円
日本で働くことは多くのIT技術者にとって憧れとなっています。

日本人に親しみを持ち、日本の旗を参考にして国旗が生まれたというくらい日本が大好きな国だと言われているバングラデシュでは、日本のIT企業で働くエンジニアの育成のため日本語の教育やビジネスマナーなどのトレーニングが全て無償で行われています。
プログラムには約2000人が応募するという人気ぶり。
こうして日本で活躍できる技術者が育っているのです。

バングラディッシュでのトレーニング

一方、宮崎では大学がプロジェクトに協力し日本語教育や学生寮の提供など生活面でのサポートも行なっています。
大学にはお祈りできるスペースもあり、毎週金曜日、約60人のムスリム(イスラム教徒)が集まります。

大学がプロジェクトに協力

 

去年バングラデシュから宮崎に移り住んだモクタディルさん。
彼が働いているのはアプリ開発を行うIT企業です。
日本のIT企業で1年間働くとバングラデシュの企業で4年働いたのと同じ知識量や技術を得られる。それほど早く学ぶことができる。」と話します。
Katatiumの東郷剛代表は「こういうものを作りたい、こうしてほしいとだけ伝えれば一人で全部してくれるので助かる。アプリ開発は彼一人でやっている。」と話します。日本語はまだまだ勉強中ですが、翻訳機能やチャットを使い積極的にコミュニケーションを図っています。

モクタディルさん:Katatium の東郷剛代表

来日して半年、嬉しいことがありました。
これまで離れて暮らしていた妻と息子のビザを取得し、家族3人で暮らせるようになったのです。
この日は同僚に付き添われ、転入手続きへきたモクタディルさん。書類の記入も決して簡単ではありません。
「届出用紙に外国語のものはないので翻訳が必要だし、結婚証明書や出生証明書の原本が必要で揃えるものがたくさんあり、手続きそのものに時間がかかります。」と付き添いの同僚も話します。

モクタディルさんと家族

 

手続きは無事に終了。
家族が来て初めての週末に、モクタディルさんは会社のメンバーを夕食に招待しました。
旦那さんと一緒に暮らせてとても嬉しいと話す奥さんのサンジダさん。
その横で「やっと私たち家族での生活がスタートしました。」とモクタディルさんも嬉しそうに話します。

モクタディルさんの家

 

宮崎市も企業が新たに雇用する技術者に対し家賃補助などの優遇制度を設けて人材確保を後押ししています。
宮崎市観光商工部商工戦略局の永井裕子局長は「宮崎に新たに立地しおうとする企業が注目してくれている。宮崎は色々なことをやっていて様々な支援が受けられるという視点で見てもらえる。」と話します。

IT業界の救世主とも言えるバングラデシュの技術者たちは、宮崎での生活を楽しんでいるのでしょうか?
「宮崎は美しい場所がたくさんある。いっぱい旅行した。宮崎は人も優しい。」「休みの度に色々な店や青島に行っている。」と在住歴1年2ヶ月のアリフさんとラフィさんは答えてくれました。
仕事もプライベートもとても充実しているようです。

バングラディッシュの技術者たち

「こうした外国技術者の存在は技術者全体のスキルアップだけではなく、宮崎で働く若者の増加にも繋がる。若者はグローバルな時代を本能的にキャッチしてそれに対応しようとしている。目の前に外国人がいるという環境は必ず生きてくると思う。」と教育情報サービスの荻野次信社長は話します。
「今は技術を身に付けたい。新しいテクノロジーが学びたい。宮崎が好きだからずっと宮崎で勉強・仕事がしたい。」とラフィさんは話します。

とても生き生きとしたバングラデシュのエンジニアたち。
彼らの存在がこれから宮崎全体に新しい風を吹かせてくれそうです。

今宮崎に来ているバングラデシュの技術者たちが県内の様々な観光地を巡って楽しんでいる様子をSNSで発信しています。
それを見てバングラデシュのエンジニアの多くが宮崎に行くことを望んでいます。
こういった次に繋がる良い循環も生まれはじめています。

今年の秋には新たに10人のエンジアが来る予定にもなっています。
まだ始まったプロジェクトですが、IT企業の人材不足解消だけではなく若者や定住人口の増加など宮崎県全体の活性化がこれから期待できそうです。