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特集
2018年03月05日
食の都を目指して「グランシェフの饗宴」(2018年3月3日放送)
今日は豪華なディナーイベントの話題です。
その名も「グランシェフの饗宴」。
今回のこの賞美会、ただ豪華なイベントだけではないんです。
ポイントは3つあります。
まずは宮崎出身のトップシェフが集まって宮崎の素材を使って腕を振るうこと。
そして、料理人だけではなくおもてなしも大切だということ。
そして何より、地方の食文化は大切な観光資源だということ。
宮崎の食の魅力を発信する豪華なディナーイベント「グランシェフの饗宴」の舞台裏に密着しました。
2月26日宮崎観光ホテル。
この日を待ちに待った県民の方々が会場に大勢集まりました。
いよいよグランシェフの饗宴が始まりました。
240人もの参加者の舌を唸らせる最高の料理を手がけたのは、宮崎県出身の5人のグランシェフでした。
「グランシェフ」。それは優れた料理人のみに与えられる最高の称号。
宮崎で愛され続けて40年の老舗「らんぷ亭」の藤澤賢二シェフ。
「食材と食材の希味だったり、今までみなさんが経験していないであろう味覚や香りを驚きで表現できたらいいなと思う。」
「宮崎観光ホテル」総料理長 高屋正信シェフ。
「料理人として47年になるがまだ満足した料理はできたことがない。少しでも満足できるように努力することが大事だと思って、今回はみんなそういう意気込みでお客さんに感動を与える料理を提供してくれると思っています。」
独創的な料理で県外からのファンも多い「燠火kawaguchi∴」川口雅由シェフ。
宮崎の料理界を牽引するトップシェフに加え、県外で活躍するシェフも集いました。
埼玉市浦和のイタリア料理店「Primavera」のオーナー 大山五夫シェフ。
「やっぱり生まれたところですから、自分の店の宴会やパーティよりもテンションが高いですよね。120パーセントで来たという感じです。」
そして東京丸の内と恵比寿に店を構える「Monna Lisa」のオーナー 河野透シェフ。
「今回良いものができていると思っているので期待して欲しい。」
こうして宮崎の食の歴史に名を残す豪華な饗宴がスタートしました。
このイベントを企画したのは、宮崎観光ホテルの高木直幸さんです。
「宮崎の食は宝庫です。畜産の牛・豚・鶏は全国でも上のランクで野菜や魚など素晴らしい食材があるので、宮崎は食の都になれるのではないかと思ってこの企画をさせていただいた。」と話します。
きっかけは去年5月に行われた「DINING OUT MIYAZAKI」。
世界で活躍する東京のトップシェフが青島で賞美会を開催。参加者はその地の歴史や風土を感じながら最高の景色と共に料理を味わい、宮崎の食とおもてなしは高く評価を受けました。
「昨年のDINING OUT を通して宮崎の食に確信を持てたのでさらに広めて行きたいと思う。」と高木さんは話します。
まずテーブルに置かれたのは藤澤賢二シェフの「新門さんのフルーツトマトと三股黒ゴマ」です。
門川のフルーツトマトと三股の黒ゴマを使ったマリアージュ。
まさに藤澤シェフが話していた「驚き」を感じる一皿です。
トマトの甘みと黒ゴマのフレッシュな香りがとてもマッチした一品です。素材の味をしっかり生かした前菜です。
料理に使った食材はシェフ自らがこだわって選んだもの。
賞美会の一ヶ月前、シェフたちは生産者の元を訪れていました。
新鮮なトマトの香りを吸い込みながら「この香りをお客様に感じてもらいたいんです。」と語る藤澤シェフ。
こちらの新門トマト農園の新門剛さんは「手塩にかけた娘を嫁に出す気持ちです。」と話します。活き活きとした料理を作りたいと話す藤澤シェフに新門さんも期待を寄せます。
目指したのは生産者が見える料理。
故郷宮崎が全国に誇る食材を生かし、その背景にある物作りのこだわりを伝えます。
そして次々に運ばれてくる美しい料理たち。
彩り豊かなこちらのパスタは、麺が紅白になっている大山五夫シェフの「紅白・手打ちパスタ 宮崎牛のラグソース」です。
赤い部分はトマトで白い部分はじとっこの卵を使っているそうです。とてもコシがあってパスタ自体に深い味わいがある一品です。
240人分の料理を全て最高の状態に仕上げるため、イベント中も舞台裏は大忙しです。「普段のイベントは100以内が多いので200食を越えると僕にとってはちょっと大きいけれど精一杯やらせていただきます。任せてください!」と川口シェフも話します。
五人のグランシェフを宮崎市内の料理人たちもサポート。
「宮崎を代表するトップシェフたちとこんな間近にお仕事させていただくことはないので、一緒に仕事ができて光栄です。」「色々な有名なシェフたちの料理を間近に見ることができて、もっと頑張っていきたいと刺激になります。」とトップシェフたちの料理を間近に経験できることに喜びを感じていました。
仕上がった料理をいかに迅速に効率よくテーブルに届けるか。料理を良い状態で提供するには配膳も重要になります。配膳を担当するスタッフも休む暇はありません。
サービススタッフには専門学校の生徒達もサービススタッフとして参加しています。
普段学校では学ぶことのできない貴重な体験を通して、次の世代のサービススタッフを育てたいと高木さんは考えています。
「シェフたちだけではなく、ホールのサービスの方達も一緒になってコラボ企画をやっているということが宮崎の食文化を向上させる良い取り組みだと思う。自分たちの今の役割は、若いスタッフの魅力や個性を発掘し気づかせることだと思っている。」
宮崎調理製菓専門学校で講師も勤めている高木さん。
最高のおもてなしとはどういうものなのか、長年の経験と知識を次の世代に伝えていきます。レストランサービスの心構えやノウハウを丁寧に指導しています。
レストランサービスは大きな要素が2つあると高木さんは話します。
1つは実務をしっかり身につけること。もう1つはお客様の要望を瞬時に察知して提供する心の部分。
この2つがきちんとしていないとサービスはできないと思うので、学校を通してそういうところを教えているそうです。
大勢の参加者を前にサービスを提供する生徒たち。その表情は自身に満ちていました。細やかなおもてなしも宮崎の立派な財産として育まれています。
そしてコースはいよいよメイン料理です。
じどっことトリュフが入っている河野シェフのパイ包料理。
お肉の旨味をしっかり閉じ込め、じどっこの味をしっかり活かした一品です。そして抜群に美味しいソース。宮崎の自慢すべき食材がぎゅっと詰まっています。
河野シェフは「宮崎に帰ったら食べたくなるのは鶏。この鶏を生かした料理を作りたいと思った。」とこの一品への思いを語ります。
「一つ一つのお皿に宮崎を感じられてとても良かったです。」「美味しいものがたくさんあるので宮崎の食材のPRをどんどんやってもらいたいと思う。」と満足そうに話すお客様たち。
会場に食べに来ていた戸敷市長も「外に発信できる状態で食材を生かすことが大事になる。まだまだ外に向けて発信力を持つということを考えていきたい。」と話します。
「食の都」で検索したら「宮崎」と出てくるようなイメージを作っていきたいと高木さんは語ります。
グランシェフの饗宴。
それは全国に誇る宮崎食材の価値を再確認し、地方から発信する食の力を改めて感じる機会となりました。
「生産者の思い入れは凄い。宮崎の食材には力があるのでそれに負けないように料理人も頑張っていきたい。料理から生産者の想いが伝わりましたでしょうか?今後も宮崎の食を豊かにできるように頑張ります。」という高屋シェフの言葉で会は締めくくられました。
これぞグランシェフ、これぞ宮崎の食材だと思わず唸ってしまうような一皿。
料理人だけではなく、生産者のこだわりも見事にコラボレーションして素晴らしいスペシャルディナーが出来上がりました。
「食の都」で検索すると「宮崎」と出てくる将来を目指して、料理界だけではなく様々な分野がタッグを組んで力を合わせ、宮崎から食として発信していくことが大切だと思います。