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2019年01月28日

No.54 脚本家 港岳彦さん(延岡市出身)(2019年1月26日放送)

1989年、全国の高校生の間でツッパリというスタイルが大流行していた時代。
延岡工業高校機械科に、読書が大好きな一人の青年が入学しました。
それから三十年。
その青年は脚本家となり、日本映画界の最前線を生きています。

脚本家の港岳彦さん

「脚本の魅力は何かという風になると説明が難しいんですが、やればやるほど奥ゆかしさがある。」
そう語るのは、今回ご紹介する脚本家の港岳彦さん(延岡市出身)です。

脚本家の港岳彦さん

港さんに深く影響を与えた恩師 段正一郎さんは「よくその道に進んで切り込んでいきましたね。」と話します。そして、映画「あゝ、荒野」の 岸善幸監督は「本人が純粋にやりたい事をやるというよりはプロとしてどう応えるかが重要だと思います。そこが港さんはプロなんだと思います。」と港さんを賞賛します。

恩師の段先生/岸善幸監督

 

「シナリオは語るものだと思っていたけれど語るものじゃないということがある時わかる。」

 

  • 永井アナ
    脚本家とはどんな仕事ですか?
  • 港さん
    公開される、仕上げをする、撮影をする、その前に僕らがいるんですよね。
    なので映画が公開される2~3年に仕事をしているのが僕ら脚本家です。
    脚本とは「映画の設計図」なんです。映像を作るのが現場。
    あくまでテキスト、文字を書くのが仕事であるということです。

台詞・場面・状況説明などの文字情報のみで構成される脚本。
その文字をもとに登場人物や俳優の演技、衣装、美術などが決まります。
その為、脚本が作品のできを左右すると言っても過言ではありません。

  • 港さん
    原作なり企画なりをやった時に最初に徹底的に取材と資料集めをするんですが、この期間がすごく大事です。
    キャラクターってものがここにあるわけですよね。
    そのキャラクターは自分ではない人なわけですよ。
    でも自分の理解できる人物でなければ書けないんです。
    だから自分探しに等しいんです。
    脚本は「自分探しの旅」だと実感しています。

より魅力的なキャラクターや脚本づくりのため、常にあらゆる情報にアンテナを張っている港さん。
この目的のない街歩きも大切な情報収集の一つです。

この日、映画・演劇・演芸・戯曲・シナリオなどの専門古書を取り扱う書店の前に立ち、港さんは「これが人類の英知ですよ。」と語ります。
書店には港さんの先輩たちの作品が多く並び「いつでも自分が教えられる生徒の側に戻れる。その感覚は大事だなと思っていて、こうゆうところに来ると自分のホームに来た気がする。」と話します。

専門古書を取り扱う書店

1995年に日本映画学校を卒業し、脚本家として独り立ちした港さん。20年以上に渡るキャリアの中で多くの映画脚本を手がけてきました。
二階堂ふみ演じる金魚が人間に恋をする異色のラブストーリー「蜜のあわれ」。
また大学生夏美の一夏の成長を描いた有村架純主演作「夏美のホタル」など、幅広いジャンルの映画脚本を執筆してきました。

家に帰っても脚本執筆の仕事が続きます。
「最後の最後まで、これで100点満点の映画になるという結末が思いつかないんですよ毎回。そこは最後の最後まで悩みますね。あくまでラストシーンというのは自分が何を言いたいかという、本を閉じるという...決定的なこれだというものを見つけ出すのが難しい。」とラストシーンの難しさを話します。

脚本執筆の仕事

  • 永井アナ
    本当にお忙しいですね。
  • 港さん
    仕事がなかったあの時代、何のために生きているんだろうと感じたその時代に戻りたくないというのが切実にあって(笑)忙しいと生きている感じがするんですよね。

決して順風満帆ではなかった脚本家としてのキャリア。
デビューして数年は仕事がもらえずアルバイトをしながらのその日暮らしが続いていました。
それでも文学・映画への情熱を失ったことはありませんでした

当時を知る同期の脚本家 足立紳さんは「諦めるとか諦めないとか考えたことはないんじゃないかなと思います。書く事をやめなかったというよりは、ダメながらもずっと書いていた。それで書いていたものが認められたんじゃないかと思います。」と話します。

脚本家 足立紳さん/岸善幸監督

  • 港さん
    菅田さんが賞を総なめしたのでもちろん当然嬉しいんですけど、ホッとしました
    自分の脚本であんなすごい演技を見せられるのも幸福なんです。映画人として。

港さんが脚本を務めた「あゝ、荒野」は報知映画賞・ブルーリボン賞・作品賞など国内外で数多くの映画賞に輝きました。映画「あゝ、荒野」の 岸善幸監督は「寺山修司さんのファンや読者の人は寺山さんのすごい才能に、もう魅せられちゃっていると思うんですよね。だからそれを映画化するというのは正直相当なプレッシャーなんです。港さんが書いてきた本に対して"ここにこうゆう台詞をいれられないですかね"とか、"ここは別の場所でやりませんかね"ということに対してすごく早いんです。僕が言った通りに直してくるスピードではなくて、さらにプラスアルファがあってのスピードが早いということです。かなり原作が無いものを、主演の2人に合わせて2人に当て書きのように作り直したというのは港さんの能力じゃないでしょうか。」と話します。

我武者羅に書き続けることで掴み取った脚本家になるという夢。
その夢が生まれたのが故郷 延岡。運命を変えた文学、そして国語教師との出会いがありました。

  • 永井アナ
    港さんの幼少時代はどんな子供だったんですか?
  • 港さん
    とにかく山とか川とかで日が落ちるまで遊び狂っていましたね。ひたすら遊んでいました。
    とにかくやんちゃで勉強もせずに自然の中で遊びまわっていた少年時代。そんな港さんにある出来事が起こります。
  • 港さん
    生垣に犬が逃げて行ったからあとをついていったら枝が刺さってしまったんです。
    その時直感的に失明するなとわかったんです。
    一番人生の境目でした。12歳の時の11月24日は今だに覚えています。
    この日変わったという...。

12歳の少年を襲った突然の悲しい事故。
しかし、半年間の入院生活の中に港さんを変える新たな世界の入り口がありました。

  • 港さん
    読書好きってほどじゃなかったんですが、入院をきっかけに本って面白いなと。
    世界の広さを眼科の病院の一室から知っていくというその感覚をすごく覚えているんですよ。
    ああゆうのが面白かったからあの面白さに戻ろうとしているんだと思うんですよね。

幼少時代の港さん

物を書く仕事がしたい。
そんな漠然とした夢を抱き、延岡工業高校機会科に進学した港さん。
そこで後の人生に大きな影響を与えるある先生との出会いが待っていました。

  • 港さん
    受験勉強がないんですよ。
    進学する人もいるんですけど、工業高校で卒業したら就職するしかない、基本的には。ということが早い段階でわかって、だったら勉強しなくてもいいんじゃないの?と思った。
    そこに対して"そうじゃない"とちゃんと提示してくれたのは段先生なんです。
    "カリキュラムがこうなってるからこう"みたいなことは全然ない。
    "国語という文化があって我々はその国語というものを使いながら、あるいは楽しみながら生きてるんだよ"ということを教えてくれる人だったんです。
    生きた国語です。

港さんの恩師 段正一郎さんは「学校的に大学にいく事が少ないならば高校教育の彼らの最後の授業のチャンスになるので、ここで国語って案外面白いということを体験させて卒業させないと取り返しのつかないことになると思ったんです。一生懸命考えて長渕剛などの歌詞を使い"そもそもとんぼって何?"というところも含めて彼らに迫っていくとやっぱり面白いと言うんですよね。」と話します。

段先生

段先生に出会い、明確にわかった「物書きになる夢」。
港さんはさっそく行動を起こし、廃部寸前だった延工演劇部を復活させます。
県の演劇大会にも出場し一人で書き上げた脚本「 wild at heart 」で見事奨励賞に輝きました。
港さんは卒業後も演劇部のために脚本を書いていました。
港さんが復活させた演劇部は今でも活動を続けています。

そして港さんにはもう一つの顔があります。
多くの著名人を排出している京都造形芸術大学の映画学科で週に二回脚本の講師を務めています。
この日は学生達の卒業制作の仕上げの授業です。

「先生という型にはまってない人。少し話をきいただけで惹き込まれる先生。」
「生徒の考えや人生観を否定しないで"だったらこうしたら?"と丁寧に教えてくれるいい先生。」と生徒たちは話します。

講師をする港さん

  • 港さん
    燃える種があるならバンバン花開いてもらわないと困る。そのために呼ばれているから。
    段先生から教わった言葉の奥ゆかしさを今は先生として学生達に伝えています。
  • 永井アナ
    故郷 宮崎への思いを聞かせてください。
  • 港さん
    一貫してずっとやりたいという思いはある。この歳になると違う目で見ている宮崎というものを いつかどんな形であれ、故郷 宮崎を映画にしたい。と今は思っています。

高校時代から憧れていた夢の舞台で生きる脚本家として、そして次の時代を生きる若者たちへ言葉の面白さを伝えていく講師として、港岳彦さん自身の物語りはこれからも続いていきます。

 

<港さんの最新作品情報>
映画「宮本から君へ」2019年秋公開
出演:池松壮亮、蒼井優、松山ケンイチ ほか
監督:真利子哲也 
脚本:港岳彦、真利子哲也

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