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特集
2019年10月07日
メイドイン日向 男性用下着「TOOT」流行の最先端 ニューヨークへ進出(2019年10月5日放送)
今回の特集は、世界中で注目を集めている男性用下着「TOOT」。
ファッション性の高いデザインと履き心地の良さで高い評価を受け、先月ニューヨークへ進出しました。
実はこの「TOOT」を作っているのは日向市の町工場の女性たち。
2000年に誕生した「TOOT」は今年1月、ミラノコレクションに合わせ海外初となる男性用のショーを開催しました。
TOOT代表取締役枡野恵也さんは、これまで経営コンサルタントとして数々の大手企業の課題解決に取り組み、2015年4月に「TOOT」の社長に就任しました。
「商売っ気を出していけばもっと多くの人に知ってもらえるのにもったいないと思った。潜在性やポテンシャルを感じた。」と枡野社長は語ります。
枡野さんが掲げたのはメイドインジャパンをグローバルブランドにすること。
「TOOT」はこれまで国内やアジアを中心に展開してきましたが、枡野さんは体制を印新し、海外戦略を強化。
ファッションの本番イタリアなど海外でのプロモーションを重ね口コミで広がり、今では売り上げの3割を海外市場が占めるようになりました。
枡野さんを動かしたのは細部にこだわる縫製技術でした。
「1着1着違う素材で、違うデザインで、違うパターンで作っている。履き心地のために2~3ミリの調整を全てしている。この履き心地の追求だけは誰にも負けない。それを20年も重ねてきている。」と枡野さんは話します。
その高い縫製技術を持つ町工場が日向にあります。
従業員は45人。手作業で作っているのは縫製作業の経験豊富な女性たち。
手間を惜しまない徹底したお客様目線がこのTOOTを支えています。
ここでメインに使われている特殊なミシン「フラットシーマ」は、2枚の生地をまるで1枚生地のように縫い合わすことができて強度があり、障りもなく肌にストレスがかかりません。
最大の特徴であるフロントカップは長さの違う2枚の縫製が必要で立体感を出すには熟練の技を必要とします。
日向市はもともと縫製業が盛んな地域でしたが、国内企業が生産拠点を海外へ移し徐々に衰退。
宮崎工場の前身の縫製会社もそのあおりを受けて廃業することになりました。
しかし、きめ細やかな質の高い技術がTOOTの目に止まり2005年からTOOTの自社工場として再スタートできたのです。
枡野さんはその技術を「日々の研鑽をずっとされている方々は尊敬しかない。一度試して欲しい、履けば分かる。」と話します。
大手百貨店の下着売り場では長年連続トップを走るTOOT。
お客さんを飽きさせないように週一回のペースで新作を展開しています。
そんなTOOTが今年「NEW YORK」へと進出しました。
現地メディアや海外セレブなどが招待された初夏コレクション。
世界4大ファッションウィークであるニューヨークコレクションに合わせ、先月、新作の発表会を行いました。
そこでは招待客たちの興味を強く惹き、世界最大の市場でも確かな存在感を示していました。
20周年の節目を迎えるTOOT。
支えていたのは町工場の女性たちの縫製技術ともの作りへの想いでした。
「毎日踏み続けるミシン。作業工程のそれぞれが非常に忍耐に尽きるものだと思う。ここ数年嬉しいのが工場に若い方がいらして、次の世代への技術伝承という流れがあること。」そう枡野さんは話します。
宮崎から世界へ。メイドイン日向TOOT。
昔と変わらぬ伝統の技は海を渡って世界に羽ばたき続けます。