
女性の働き方についての記事は良くあるけれど、都会の話だしどこか他人事に感じてしまい共感できない…。こんな経験はありませんか?
MONE編集部では永井友梨さんをインタビュアーに迎え、ここ 宮崎で様々な分野で活躍している女性のリアルな姿を紹介します!
MONE編集部では永井友梨さんをインタビュアーに迎え、ここ 宮崎で様々な分野で活躍している女性のリアルな姿を紹介します!
取材・文:永井友梨
撮影:MONE編集部
撮影:MONE編集部
連載第1回目に登場いただくのはピラティスインストラクターの上大田葵さん 30歳。
宮崎県内の高校を卒業後、県外の実業団チームでソフトテニス選手として活躍。引退後、地元・宮崎にUターンし、トレーナーとして働く中でピラティスと出会う。結婚・出産を経て、自分自身の心と体と向き合ううちにピラティスの奥深さに魅了され、国際ライセンスを取得。現在は、自らのスタジオを立ち上げ、同じように悩みを抱える女性たちのサポートを行う。
子育て、仕事、自分のやりたいこと——
葛藤のなかで選び取ってきた人生の選択を、ありのままに語ってくれました。
葛藤のなかで選び取ってきた人生の選択を、ありのままに語ってくれました。

「人生が変わるかもしれない」選択に飛び込んだ10代
小学校1年生から兄姉の影響で軟式テニスを始めた上大田さん。
高校卒業時、“理学療法士になるために専門学校に行くか、声をかけてくれた実業団のチームに入るか”悩んだ末に選んだのは、実業団チームへの挑戦。
きっと誰もが迷う場面で、上大田さんは自分を信じて今しかできない一歩を踏み出した。
「今でも、あのとき実業団に行って良かったなって思います。自分のためだけではなく、会社の看板を背負って試合に出ることで、責任感もより強くなりましたし、何より勝負の世界の厳しさも痛感しました…。その分、チームで過ごした時間は、何ものにも代えがたい経験になりました。」
産後ボロボロだった身体と心。“ピラティス”との出会い
引退後、宮崎にUターン。結婚、出産を経てピラティスに通い始めた。
「お湯漏れってわかりますか?私、それでした。肩こりも首こりもひどくて…不意に撮られた写真を見て、『え、私こんな姿勢してた?』って衝撃でした。」
産後、体型が崩れたことがショックだったという上大田さん。以前から気になっていたピラティスにみるみるハマっていったという。
「気づいたら、もっと深く知りたくなって。資格を取ろう、マシンピラティスもやろう、自分でスタジオも持とうって。」
育児に追われながらも、自分と向き合う時間を持ったことで、子どもとの時間もより大切にでき、気持ちも前向きになった。
“健康で美しく年を重ねる” ピラティスの魅力

「揉みほぐしなどで一時的にラクになっても根本的に治していかないと。80代になっても自分の足でしっかり歩ける体でいたいですよね。」
肩こり、腰痛、姿勢の歪み——。年齢を重ねるにつれて感じやすくなる体の不調は、日常の癖やバランスの崩れが原因になっていることも多い。ピラティスは、それらをひとつひとつ丁寧に整えていくためのメソッド。
実際に日々多くの女性が上大田さんのもとを訪れ、少しずつ変化を実感している。
「体が変わると、顔つきも変わる。自信がつくことで表情も明るくなっていく。 そういうお客様の姿を見るたびにピラティスの良さと、この仕事のやりがいを感じます。」
「体が変わると、顔つきも変わる。自信がつくことで表情も明るくなっていく。 そういうお客様の姿を見るたびにピラティスの良さと、この仕事のやりがいを感じます。」
「子ども中心の人生で、私に何が残る?」30歳で選んだ“自分の道”
「子育てに合わせて、一時は事務職に転職したんです。運動が好きでトレーナーのお仕事をしていましたが、育児と両立できるか不安で。でも…心のどこかにずっとモヤモヤがあって。」
育児優先で選んだ働き方に、納得できない自分がいた。
”このまま、子どもが自立した時に、私の人生には何が残るんだろう?”
そんな思いが少しずつ膨らんでいった。
”このまま、子どもが自立した時に、私の人生には何が残るんだろう?”
そんな思いが少しずつ膨らんでいった。
「30歳になる年と、上の子の小学校入学が重なったんです。ふと思ったんですよね。“あ、このタイミングかも”って。」
昔から、やりたいと思ったらすぐに行動する性格だった。 体を動かすことが好きで、ずっと心の中にあった
「自分の好きなことを仕事にしたい」という思いを、このタイミングで形にした。
「もし失敗しても、次に何をすればいいか考えよう。ワクワクする方を選択してきたら、開業してました(笑)」

「苦手は無理しない」夫婦の家事分担、我が家のルール

「夫が本当に家事をしてくれるんです。だからこそ、今の働き方ができている。夫にも、近くで助けてくれる両親にも感謝しています。」
上大田さんがそう語るように、共働きで子育てをしながら家事を分担するには、お互いの理解と役割分担が欠かせない。
「最初から“俺は掃除と料理はできない”って言われていて(笑)。でも私は掃除好きだからそこは私、子どもと遊ぶのは夫、料理は苦手同士だからあきらめようっていうスタンスです(笑)」
ごはんを手抜きする日もある。「今日はもう無理!」と潔くあきらめて、子どもと一緒に外食することも。「ママは今日ご飯作れない日なの」と素直に伝えている。
「我が家では夫婦で、“自分の時間を大切にしよう”って言い合ってます。お互いにリフレッシュできるから、子どもとも向き合えるし、家庭の雰囲気も良くなると思うんです。」
子どもを「ひとりの人間」として尊重することが、親としての覚悟
子どもとの時間で上大田さんが意識しているのは、「ひとりの人として接すること」。選択肢を与え、自分で選んでもらう。その経験を積むことが、自立につながると信じている。
「たとえば“今日は麺とご飯、どっちがいい?”とか、“公園と図書館、どっちに行きたい?”って、些細なことでも選ばせるようにしています。親がすべてを決めると、子どもは選択することをやめてしまう。選んだ道が良くなかったとしても、自分で選んだっていう経験が大事だと思ってて。」
もちろん、完全に任せるわけではなく、「どうしてもダメな道はちゃんと戻す」とバランスもとる。それでも子ども自身が「選んで決める」習慣を持つことが、これからの人生の糧になると信じている。
「6歳の子にそんなこと…って思うかもしれないけど、早いほうがいいと思います。これからどんどん“自分で選択しないといけない場面”が出てくるから。」
今後の目標は「ピラティスの魅力を、もっと宮崎に広げたい」

自身がアスリートとして運動に親しんできたからこそ、ピラティスの魅力をまだ知らない人が多い現状は「もったいない」と感じている。
「まずは体験してもらうことが大切だと思っています。そのために、初めての方向けのイベントを企画するなどしているので少しずつでもピラティスに触れてもらいたいです。そして、体の変化はもちろん、心の変化も感じられるピラティスの魅力をお伝えできたら嬉しいです。」
ひとりひとりが心地よく、前向きに過ごせる日々へ。上大田さんの想いは、宮崎の女性をこれからも後押ししていく。
宮崎の女性に伝えたいメッセージ
手を抜くところは“ちゃんと抜いていい”
頑張りすぎて、自分を追い込みがちな女性が多いと感じている上大田さんがたどり着いた答えは
「とにかく手を抜くところは抜く!」というシンプルなもの。
「子どもを笑顔にしたいって思うのは当たり前。でもそのためには、まず自分がちゃんと満たされていないと難しいんじゃないかなと思います。疲れた時は、無理せずに自分を甘やかしてあげて、自分自身を大切にしてほしいです。」

≪取材協力≫
- 店名:pilates studio EHRE.
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