私たちが、今あえて『ウェブ』に本腰を入れる理由。UMK榎木田社長が語る、MONE誕生の裏側と宮崎への想い

私たちが、今あえて『ウェブ』に本腰を入れる理由。UMK榎木田社長が語る、MONE誕生の裏側と宮崎への想い
取材:佐々木紅音
撮影・文:MONE編集部

いつもMONEを読んでくださり、ありがとうございます!5月から新しくなったMONEのテレビCM、もうご覧いただけましたか?「UMKがやっているんだ!」と驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。

実は、MONEはUMKの現場社員による「宮崎をもっと盛り上げたい!」という熱い持ち込み企画からスタートしました。そんな社員たちの背中を、誰よりも強く、優しく押してくれたのが榎木田社長です。

今回は、佐々木アナウンサーが普段はなかなか見られない社長の素顔に迫りながら、MONEが目指す未来についてインタビューしてきました!

インタビューを担当した佐々木アナ

UMKの挑戦、その裏側にあるもの。榎木田社長インタビュー

Interview

現場社員からMONEの構想を聞いたとき、率直にどう思われましたか?

本当に素晴らしいトライだと思いました。テレビの地上波放送が持つ可能性と限界、その両方に向き合い、次の一手を模索していた時期に、社員たちが自発的に立ち上げたのが『MONE』の構想でした。

「宮崎の女性を応援するウェブメディアを、このUMKが手掛ける。」そこには大きな意義があると感じましたし、社員の想いに応えるためにも、私にできることは何でもして、必ず実現させようと心に決めました。

UMKが発信することによって、具体的にどういった形で宮崎の女性を元気づけられるとお考えですか?

地上波放送にはどうしても届く範囲に限りがありますが、ウェブメディアは宮崎から世界へとつながることができます。宮崎の女性たちの魅力、そしてこの街の素晴らしさを、場所を問わず発信できる。そこには無限の可能性があると思います。

我々テレビ局が56年間培ってきた取材力や映像力、そして地域の皆様との絆。これらをベースに、地上波放送の「プラスアルファ」を展開できるのがこのメディアの醍醐味です。実際にPV数やSNSのフォロワーが日に日に増えていくのを、私自身も毎日楽しみながらチェックしているんですよ(笑)。

MONEが、宮崎で頑張る女性に対して果たすべき役割は何だとお考えですか?

まず、テレビ局が「メディア企業」へと進化する第一歩が、このMONEだと思っています。これまで宮崎に育ててもらった私たちが進化することは、地域の皆さんにとっても大きな財産になるはずです。

MONEの企画を聞いた時に「なるほど」と思ったのが、「宮崎の情報は自ら取りに行かないと、なかなか集約された媒体がない」という視点でした。情報が集約されることで、皆さんが外に出るきっかけになったり、情報交換の場になったりする。グルメや生活情報だけでなく、輝いている女性の姿を発信することで、宮崎の女性の元気、ひいては宮崎の元気につなげていく。それがこのメディアの大切な役割です。

実は、この構想を社員たちが役員会でプレゼンした時、私以外の役員は全員男性でした。女性特化のメディアの可能性を伝えるのは私の役割だと思い、最後は私が説得するような形で「この挑戦にかけてみよう」と決まったんです。

かつて私が50周年事業で「You&UMK」というポリシーを作ったり、周囲の反対を押し切って配信設備を整えたりした時も、「これからのUMKはどうあるべきか」を必死に考えていました。今回のMONEの提案を受けた時、当時の自分と若い社員たちの姿が重なり、「この企画を通すことがUMKの未来につながる」と確信しました。

今の若い社員たちが、将来「MONEがあってよかった」と思えるような、そして県外の方が「MONEを見て宮崎に来ました」と言ってくださるような、県民にとって大切なメディアに成長させたい。もし本当にそう言ってもらえたら、私、チキン南蛮をごちそうしちゃいます(笑)。

私が今社員のみんなに伝えているのは「まずトライすること」、そして「やり抜くこと」です。エラーが出たら検証して、もう一度トライすればいい。我々はテレビ局ですが、地上波を飛び出してコミュニティビジネスを行えるメディア企業にならなければなりません。宮崎の地域情報を発信して生活者の課題を解決するのはもちろん、世界に発信して、世界とつながって宮崎のことを知ってもらう。そこにビジネスを生むということが必要だと思っています。

放っておくと、私は「侍」のように
生きてしまうんです(笑)

榎木田社長は「女性活躍」の象徴的な存在としても注目されていますが、ご自身が大切にされている「しなやかさ」という言葉には、どのような想いが込められているのでしょうか?

確かに「女性活躍」というキーワードで切り取られ、その象徴として見られることがありますが、私自身は「象徴」でいいと思っています。象徴がいないとその先は広がらないので、喜んで引き受けます。ただ、私の場合は黙っている象徴ではありません(笑)。しっかり喋りますし、意見も言います。

今のUMKは、若い人たちの意見を聞きながら、まさに新しく生まれ変わろうとしている最中です。宮崎県全体が女性や若者にターゲットを絞り、より良い街にしようと動いている中で、私もその役割をしっかり果たしていきたい。

「しなやかさ」についてですが、実は私自身、アナウンサー時代も管理職になってからも、あまり男女の差を意識せずに過ごしてきました。ですが、意識せざるを得ない場面もたくさんありました。現在、社内の取締役18名のうち、女性は私一人です。

ターゲットとしている女性や若い世代の感覚を伝える際、真っ直ぐ正論をぶつけるのではなく、少し「カーブ」をつけることで物事がスムーズに動くことがあります。角を立てずに、でもエッジは効かせて提案する。そういった柔らかさのある提案が、結果として良い方向に導いてくれることを、これまでの経験で学んできました。放っておくと、私は「侍」のように生きてしまうんです(笑)。常に刀に手をかけているような状態なので、自分でも意識して「しなやかでいなきゃダメだよ」と言い聞かせている部分もあります。

私の役割は、次の世代の女性たちが、臆することなくマネジメントやリーダーシップの場に飛び込める土壌を作ること。そこにしなやかさがなければ、みんな「リーダーになるのは辛いことばかりだ」と思ってしまいますよね。女性は素晴らしい力を持っています。彼女たちが安心して、つらくない環境で力を発揮できるよう、これからも場を整えていきたいと思っています。

しなやかにキャリアを築き、アナウンサーから社長になられた榎木田社長の存在は、宮崎の女性にとって「希望の星」だと思います。今、宮崎で頑張っている女性たちへメッセージやエールをお願いします。

宮崎はまだロールモデルが少ないと言われます。私のような「勇ましいロールモデル」を見ると、「榎木田さんだからできるんだ」とフィルターをかけてしまいがちですが、決してそんなことはありません。まずリーダーの方々に伝えたいのは、法律だからと形だけで女性を登用するのではなく、女性が「やってみたい」「これならできるかも」と思える「座組(仕組み)」を作ること。これが今のリーダーの役割です。

また、女性自身も「育児は女性がメインでやるもの」という呪縛を解く必要があります。育児は家族、そして社会みんなでするもの。その前提に立って、「自分は会社や社会にどう役立てるか」とロジックを変えてみてほしいんです。

例えば、アナウンサーに一番大事なのは「話す力」ではなく「聴く力(受容力)」ですが、自分ではなかなか気づけない強みも、周りは見てくれています。だからこそ、皆さんに伝えたいのは「自分にリミッターをかけない」ということです。そして、与えられた役割から「はみ出る」ことを毎日意識してみてください。自分の才能は、自分では気づかないところに眠っているものです。

どんなことがあっても、次にまた立ち上がる力。それは、宮崎の「ひなたの力」が支えてくれると私は信じています。宮崎の日照時間は全国トップクラス。日光を浴びれば幸せホルモンのセロトニンが溢れます。宮崎の女性に元気がないわけがないんです!

「言霊(ことだま)」も大切です。私も小学生の頃から「アナウンサーになる」と言い続けて夢を叶えました。3年後、5年後の自分を言葉にしてみてください。そうすることで、皆さんは必ず変わっていけます。

私の目標は、UMKを「世界ナンバーワンのコンテンツメーカー」にすることです。挑戦したい、やってみたいという声には、私も全力で応えていきたい。ぜひ一緒に、新しい未来を作っていきましょう。

社長業と並行して出演を続ける『ママテレ』収録の様子

キャリアを築く過程で「家庭かキャリアか」という岐路に立つ女性は多いと思います。榎木田社長は出産後、まだ周囲に例が少ない中でニュースの現場に復帰されましたが、どのような心持ちで歩んでこられたのでしょうか?

嘘偽りなく言えば、私をアナウンサーにしてくれたUMKに、まだ恩返しができていないという思いが強かったんです。出産を経て、違う視点や力を身につけた自分で、もう一度会社の役に立ちたい。それは、子どもが私に与えてくれた新しい力でもありました。

ただ、現実は本当に過酷でした。生後8ヶ月で復帰した時は、子どもと離れるのが身を引き裂かれるほど辛かったです。子どもが病気の時もオンエアはあります。家族だけでなく、保育園など外部の力を全力で頼りました。その時、長年支えてくれた方が「榎木田さんを全力で支えることは、宮崎の女性にとって大事なことだと思うから」と言ってくださったんです。

その言葉で、自分の役割に気づかされました。それまでは「母親になった自分」という自分軸で考えていましたが、私が子育てをしながら社会で活躍する姿を見せることが、宮崎の皆さんの力になるんだ、と。

「子育てかキャリアか」と分断して考える必要はないと思うんです。今は子どもとじっくり過ごしたいなら、その選択をすればいい。その後のキャリアはいくらでも築けます。もし今、役割を果たしたいと思うなら、外の力をフルに活用していい。17年前の私の頃に比べれば、今の社会基盤は働く女性をずっと応援してくれています。

UMKでは、女性はもちろん、男性の育休取得も増えています。私は男性社員に「育休を取るなら、奥さんが一番しんどい、お子さんの首が座るまでの時期に取って支えてあげて」とアドバイスしています。実際に育休を取った男性社員が「妻との会話が増え、家族の絆が深まった。あのタイミングで休ませてもらえて本当によかった」と話してくれた時は、本当に嬉しかったですね。

もちろん、育休を取る人をフォローする周囲の社員へのケアも、会社の重要な役割です。そうした「座組」をしっかり作り、素晴らしい人材がキャリアの幅を広げ、女性の登用も当たり前に進んでいく。そんな企業であり続けたいと考えています。

多忙な毎日を送られていますが、家庭での「お母さんの顔」と会社での「社長の顔」にギャップはありますか?また、どのようにリフレッシュされているのでしょうか?

実は、私の人生の師匠は17歳の娘なんです。家では娘が「ボス」で、私は彼女から日々ご指導を仰ぐ立場(笑)。私が社長就任のお話をいただいた時、ちょうど彼女の受験期と重なることもあって「私には無理かな」と悩んでいました。すると娘から「いつかはなると思ってたよ。ママが一番UMKを愛しているんでしょ、ママがやらなくてどうするの?」と背中を押されたんです。

家ではソファで寝落ちしてベッドに連れていかれたり、お菓子を買いすぎて注意されたりとまさに母と娘の立場が逆転している状態です…(笑) 娘と一緒にアニメコンテンツを観てIPビジネスのヒントをもらったり、最新のVRやAIについて若者のニーズを学ぶ良い機会になっています。また、彼女の客観的で鋭い視点には、いつも助けられています。

会社での私の役割は、方針を定め、スピード感を持って決断を下すこと。そして、新しいアイデアを具体的な形に落とし込むことです。私は昔から、止まると死んでしまうマグロやカツオのような性格で(笑)、常に仕事のことを考えています。隙間時間があれば番組や配信をチェックして、「うちならこうできる」「あの人とあのビジネスを繋げたら面白い」とマルチタスクで考えているのが、何より楽しいんです。

最近は、社内のコミュニケーションを活性化させるために「モニター撤去運動」を提唱しています。デスクにモニターを並べて壁を作ってしまうと、会話が生まれません。メディア企業はコミュニケーションが命。日常の何気ない会話から新しいものが生まれると信じています。また、親が働く姿を子どもに見せる「家族の社会化事業」も夏休み頃に実現したいと考えています。

リフレッシュ法ですか? 実は「オフ」という時間はほとんどないんです。止まっている時間の方が不安になってしまうので。強いて言えば、2匹の猫に愚痴を聞いてもらうことでしょうか(笑)。あとは、大好きな「推し」の存在も大きな支えですね。仕事に全力で向き合い、猫や推しに癒されながら、心身の健康を保っています。これからも宮崎をパワーアップさせるために、リミッターをかけずに走り続けたいと思います。

自分にリミッターをかけないこと

最後に、宮崎で頑張っている全ての女性へ、エールをお願いします。

とにかく、自分の力を信じてほしい。それだけを伝えたいです。自分で勝手に限界を決めたり、役割の殻に閉じこもったりしないでください。そうしてしまうと、せっかくの素晴らしい才能も周りから見えなくなってしまいます。

「自分にはもっといろんなことができるんじゃないか」と、良い意味で自己暗示をかけて、どんどん新しいことに挑戦してほしい。「私はこの役割だから」と、そこにとどまる必要はありません。一歩踏み出せば、必ず新しい世界が広がります。そして、今まで知らなかった「思いがけない自分」に出会えるはずです。これは長年キャリアを積んできた私自身が、嘘偽りなく実感していることです。

同時に、「こうでなければならない」「こうあるべきだ」という縛りからも、自分を解き放ってあげてください。あまりに役割や期待に応えようとしすぎると、心が壊れてしまいます。

UMKには「Change & Challenge(チェンジ&チャレンジ)」という言葉がありますが、私はその間にある「&(アンド)」こそが、自分を大事にする時間だと思っています。まさにMONEが提案している「私時間」のように、自分を柔らかく温かく慈しむ時間をしっかり持つこと。そうして心に元気を蓄えて、また次のチャレンジへ向かっていく。その健やかなサイクルを、ぜひ大切にしていってほしいと願っています。

インタビューを終えて

「止まると死んでしまうマグロやカツオのような性格」と笑いながらも、その瞳には常に宮崎の未来と、社員たちの成長が映し出されていました。

56年間、地域の皆様と共に歩んできたテレビ宮崎が、ウェブという新しい海へと漕ぎ出した『MONE』。榎木田社長が語る言葉の端々からは、このメディアが単なる情報発信ツールではなく、宮崎で生きるすべての人が自分らしく輝くための「きっかけ」であってほしいという強い願いが感じられました。

「自分にリミッターをかけないこと」。

社長からいただいたこの言葉を胸に、私たちMONE編集部も、宮崎の女性たちと共にこれからも新しい挑戦を続けていきます。

皆さんもぜひ、ひなたの光を浴びるように、自分を大切にする「私時間」をMONEと一緒に過ごしてみませんか?

この記事を書いた人

MONE編集部

MONE編集部は、宮崎県民の「こんな情報が欲しかった!」を叶えるため日々躍動中。
宮崎の魅力をぎゅっと詰め込んで「やっぱ宮崎が好きやもんね。」と再認識できるメディアを目指します。

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